Uチャート分析 -号外2

[コメントNO.1290] Sだ 殿へ。



Uチャート分析では、簿記の知識は必ずしも必要ではありません。もちろん、3級程度の知識があればそれに越したことはありません(ただし、簿記の知識にこり固まっていると、逆にUチャート分析の理解の妨げとなるかもしれません)が、簿記とか会計の知識がなくとも会社の実態が分かるように工夫したものです。あるいは、Uチャート分析の基本を理解し、実際に実務で使いこなしていくにつれて、自然に簿記とか会計のしくみが分かっていくシステムであると言えるでしょう。

このことを思いついたきっかけは、私の事務所で30年来続けている記帳システムでした。
中でも開業医向けの記帳システムは、簿記・会計の知識が全くない人向け、具体的には開業医の奥さん向けに考えたものでした。
勤務医のときはまだしも、自分の医院を開設し医院経営をしようとする場合には、配偶者の理解と協力が不可欠なものとなります。そのためには医院の実態を医師本人だけでなく奥さんもまた、常に把握している必要があります。
その最善の方法は、医院の記帳を他人任せにすることなく、自分で作成することだと考えたのです。ところが、医師の奥さんのほとんどは簿記・会計の知識を持っていません。
そこで一計を案じ、誰でも簡単に記帳することのできるシステムを作りました。家計簿のようなものですから、その日から記帳をはじめることができ、一ト月か2タ月、試行錯誤を繰り返すうちに、半年もすれば、記帳のベテランになり、1年もすれば資金繰りをはじめとした経営の判断が自分でできるようになります。慣れてくると、1日に10分から20分程の時間さえ割けば十分なのです。現在、私の事務所では60以上の個人開業医あるいは医療法人にこのシステムを使ってもらっています。

この医院記帳システムは、『IN-OUT-残』が基本になっています。INについていえば、毎日発生するのが窓口収入で、月に一度だけドカッと入ってくるのが保険収入です。OUTについていえば、毎日発生するのが小口の支払いで、月に一度だけドカッと出ていくのが、給料と薬剤費の支払いです。借金があれば、元利金の支払いが加わります。残は、現金と預金の残ですが、現金の残は毎日チェックできますし、預金の残は、月に一度だけチェックすれば十分です。
この『IN-OUT-残』の内容は、小さな町中の開業医だけでなく、数百人、数千人の医師とか職員を擁する大病院にもそのまま当てはまるものです。病医院の会計システムは、極めて単純なもので、最も分かり易いものなのです。

『お金が入って、出ていく、出ていかなかったものが残となる。』-この単純明快なチャートは、実は複式簿記の基本でもあります。ただ、現在の簿記の方式は、11世紀頃からアラビアで用いられ、15世紀終りごろイタリアに移入されたものが全世界に広まったとされ、日本には、1973(明治6)年になって伝えられたと言われているものです。
しかし、簿記のシステムはこれだけではありません。考古学者の中には、紀元前8000年の古代シュメールの都市遺跡で世界最古の会計記録と思われるもの(トークンと呼ばれる、未焼成の円錐形をした土の物体)が確認されたと主張している人がいるほどです。日本においても江戸時代に高度に発達した記帳方式(大福帳とも、帳合(ちょうあい)の法とも呼ばれています)があります。1万年前のトークンにせよ、大福帳にせよ、現在のものとは方式は異なるものの、間違いなく複式簿記です。ことに江戸時代の大福帳は、極めつきの秀れもので、当時の世界最高水準をいくものでした。これこそ現在のIT社会にピッタリ適合するものではないかと、私はひそかに考えているほどです。

私がイメージしている新しい会計システムは、年に一度とか半年に一度、あるいは月に一度決算をして会社の状態を把握するというのではなく、いつの時点でも、その瞬間瞬間に会社の状態が目で見て把握できるものです。”企業“は、フルカラーの立体三次元の存在で、常に大きさ、形、色彩、輝度を変えながら推移していきます。過去、現在、未来の時間軸を自由に動き回っています。立体三次元に時間が加わるのですから、四次元空間に存在しています。会社法、税法、証券取引法などによる、いわば制度会計の決算書は、いつでも変換モジュールを経て取り出すことができます。

Uチャート分析は、このような新会計システムに至る一つのプロセスです。制度会計による決算書を前提として、一定の加工をして分かり易くしたものですから、必ずしも十分なものではありませんが、一般の方にはとりつきにくい有価証券報告書を、より身近なものにすることができることから、それなりに役立つことでしょう。
平成19年の初夢は、無数の企業がそれぞれの衣装をこらして点滅しながら四次元空間で乱舞するものでした。私の初夢は、近い将来必ずや現実のものになると確信しています。

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ここで一句。

“上がるもの企業収益・税・テポドン 下がる支持率・日々の小遣い” -大阪府池田市、医師岡崎欣一、78歳。

(朝日新聞、平成18年12月21日号“声”欄より)

(“政界振り返り戯れてみれば”と題する11首の一つ。岡崎先生はおそらく無党派層、テレビなどで大声を出し口から泡をとばしてわめいたりしない、市井(しせい)の良識派。寸鉄人を刺すなかにもにじみ出るユーモアが先生の人柄を表しているようです。)

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