冤罪を創る人々vol.59

2005年04月26日 第59号 発行部数:370部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
http://www.mz-style.com/

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●(第五章)勾留の日々

一.被勾留者の心得

一、 平成8年1月27日、逮捕された翌日の朝のことである。
担当看守が、視察窓ごしに、房内備え付けの2つの冊子をよく読
んでおくように申し渡した。
一つは、「被勾留者所内生活の心得」(37頁)であり、
二つは、「被収容者遵守事項」平成6年7月1日達示第4号(9頁)
である。
被勾留者といい、被収容者というのは、日本書紀の言葉によれば、
“獄中囚”(ひとやのなかのとらへびと) ― 孝徳紀大化二年三月
条 ― のことである。
私は、獄(ひとや)にとらわれた囚(とらへびと)であり、看守
は、獄卒(ひとやつかひ)であった。このような古い時代の言葉が、
生々しい現実味を帯びて迫ってくる世界がここにはあった。

二、 手許にまだ一冊の本も届いていないし、その上、時間は持て余
すほどあった。早速読んでみた。

面白い。第2次大戦前ではなく、戦後の、しかも50年も経って
いる日本において、このようなシロモノが現実に存在しているのは、
正直いって新鮮な驚きであった。
前日のハミガキ粉といい、荒石けん(アルカリ分を多く含んだ洗
たく用の固形石けん)といい、現在でも、このような物があったの
かと驚いていた矢先に、またしてもといった感じであった。

三、 余りに面白いし、珍品であるので、読むだけではもったいない
と思い、暇にまかせて全部書き写すことにした。なにせ、時間は腐
るほどある。
ところが、全部ノートに書き写したところで、問題が起こった。
ノートは、一週間に一度は房内から引きあげられ、入念な検閲を
受けてから、再び手許に帰ってくるきまりになっていた。そのノー
ト検査に引っかかったのである。
看守長が担当看守と共にやってきて、検視窓ごしに私にいきなり
カミナリを落とした。

看守長:「なんでこんなものを書き写すんだ。直ちに削除しろ。ノー
トを破れ。バカヤロー!!」

大変な剣幕であった。所内の処遇が外部に漏れることに、異常な
までの神経を使っているようである。

山根:「法務省の達示書を部外秘にしなければならない理由はないは
ずです。余りに珍しいことが書いてあるものですから、記念にと思っ
て書いたものです。多くの時間をかけて書き写していますので、自
分で消したり破ったりするには忍び難いものがあります。
どうしてもいけないというのであれば、あなた方の職権で抹消し
て下さい。」

看守長は窓の外の廊下で、しばらくブツクサ文句を言っていたが、
結局抹消されることはなかった。

四、 以下、この珍品ともいうべき冊子の中で使われている言葉で、
特殊なもの、あるいは、特別の意味が付けられているものを適宜拾
い出してみることとする。

1. 願(がん)せん=いろいろな願い出をするときに使用する用
紙のこと。
2. 官物(かんぶつ)=施設の所有にかかる物品(施設から貸与
されえているもの)。
3. 私物(しぶつ)=個人の所有にかかる物品。
4. 自弁(じべん)=差し入れを受けた物、領置の物あるいは自
己の領置金等で購入した物を施設内で使用すること。
5. 拭身(しきしん)=身体をタオルなどで拭くこと。
6. 検身(けんしん)=身体に不正物品の所持がないか、検査を
受けること。
7. 領置(りょうち)=被収容者の金品を監獄法に基づき、施設
において強制的に保管すること。
8. 仮出(かりだし)=領置している物品を許可を得て所内(房
内)で使用すること。
9. 宅下(たくさげ)=領置している物品を許可を得て外部の特
定の人に対して郵送又は施設(面会時等)において交付すること。
10.午睡(ごすい)時間=昼食後、所定の方法により横臥(昼寝)
を許可した時間。
11.休庁日(きゅうちょうび)=土曜日、日曜日、国民の祝日及
び年末年始の休庁期間その他特に指定した日。
12.情願(じょうがん)=自分に対する施設の処置について、法
務大臣及び巡閲官に対して書面又は口頭で不服申立てをすること。
13.検閲(けんえつ)=発受信する信書の内容を施設が検査する
こと。
14.懲罰(ちょうばつ)=規律違反者に対して科し、反省悔悟さ
せるための制裁のこと。
15.訓戒(くんかい)=懲罰事犯より軽度の規律違反者に対して
科し、反省を促すもの。
16.官本(かんぽん)=施設が備え付けている本。
17.私本(しほん)=自弁に係る本。

その他に、交談(こうだん)、洗身(せんしん)、動作、閉房点
検、喫食(きっしょく)、糧食(りょうしょく)、横臥(おうが)、
指印(しいん)、閲読(えつどく)、金品、房内放送、認書(にん
しょ)、図画(とが)、臥具(がく)、ズロース、サルマタ、越中
ふんどし、配食、空下げ(からさげ)、抗弁、医務、捜検、中腰、
かしわ折り、等があった。

今、改めてこれらの特異な語彙を書き出してみると、当時の気持
が鮮明に蘇ってくる。
タイムマシーンに乗って明治憲法下の日本に舞い戻ったのか、あ
るいはまた、一昔前の日本語を繰る人達の住む、日本ではない離れ
小島に置き去りにされたような心持ちとでも言えようか。

五、 珍妙な言葉は、もちろん、2つの冊子の中にだけ存在するので
はない。日常活動の中で頻繁にとびかっていたのである。
初めのうちは、看守が、願せんだ、仮出しだ、宅下げだと言って
いるのを、どこかよその国の言葉でも聞くような思いで聴いていた
のであるが、だんだん慣れてくると面白いことに、身についてきた。
今では、愛着さえ湧いてきて、私の出雲弁の語彙に加えて時々使
わせてもらっている位である。

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
http://consul.mz-style.com/catid/21

「ホリエモンの錬金術 -6」より続く
http://www.mz-style.com/item/290

・ホリエモンの錬金術 -7

私はこれから、ホリエモン・マジックのカラクリを一つずつ解き
明かしていこうと思いますので、読者諸氏も一緒に考えてみて下さ
い。
もっとも、私の手許には特別な極秘情報があるわけではありませ
ん。会社の情報が必ずしも十分に開示されていないのに加えて虚偽
の記載さえある(らしい)有報とか目論見書とかが主な情報源です
ので、あるいは私の推断に誤りがあるかもしれません。そのときに
は是非指摘していただきたい。
さあ、一緒に考えていきましょう。

もう一度、ホリエモン・トリックのスタート時点(平成11年8
月3日)に立ちかえって、会社の資本金に関する棚卸し(インベン
トリー)をしておきます。トリックのカラクリを明らかにするため
ですので、取り敢えず前回指摘した借名株のことは棚に上げて、こ
こでは、開示された法定資料が基本的には正しいものとして考えを
進めていきます。ちなみに、インベントリーは、私が30年の会計
屋生活の集大成として考えついた認知会計(Cognitive Accounting
―私の造語です)の基本をなすもので、会社の状況を把握するのに
不可欠のスキルです。

◆1:3の株主割当増資後(平成11年8月3日)

1.会社の資本金 40,000千円
2.会社の発行済株式数 800株
3.株主6名の持株状況
1.堀江貴文  580株
2.有馬晶子  120株
3.有馬純一郎  80株
4.宮内亮治    8株
5.和井内修司   8株
6.小飼弾     4株
計    800株

ここまでは、不当でもなければ違法でもありません。世間一般で
なされているところと変りません。和井内さんから24株、小飼さ
んから12株、合わせて36株が、一株5万円で堀江さんに譲渡さ
れている(らしい)ことも全く問題ではありません。ただ、この譲
渡が事実であるとすれば、上場時の目論見書の特別利害関係人に関
する株の移動の記載から漏れていますので、虚偽記載の問題が残る
だけです。
ホリエモンが常軌を逸するのはこれから先です。一株300万円
という異常に高い価格で第三者割当増資を行なったのです。平成11
年9月4日に、株式会社光通信へ150株、同年9月30日に、株
式会社グッドウィル・コミュニケーションへ50株。会社には、そ
れぞれから450百万円(300万円×150株)、150百万円
(300万円×50株)入金。資本として入ってきた6億円は、資
本金と資本準備金に半分ずつ振り分けられています。
この時点、つまり平成11年9月30日時点での資本金に関する
棚卸しは次の通りです。

1.会社の資本金 340,000千円
2.会社の資本準備金 300,000千円
3.会社の発行済株式数 1,000株
4.株主8名の持株状況
1.堀江貴文  580株
2.(株)光通信  150株
3.有馬晶子  120株
4.有馬純一郎  80株
5.(株)グッドウィル・コミュニケーション  50株
6.宮内亮治  8株
7.和井内修司  8株
8.小飼弾  4株
計   1,000株

一株300万円という価格は、「収益方式(ディスカウントキャッ
シュフロー法、DCF法-資料Dを参照)による価格を基礎として
当事者間で協議のうえ決定した価格」(目論見書78ページの注3.)
だそうですが、実際の計算式とやらを見てみたいものですね。将来
のキャッシュ・フローをどのように設定したら、一株300万円
(額面5万円の60倍)というトホウもない価格がはじき出される
のでしょうか。算定の計算式にどのような数字が入れてあるのか見
てみたいものですね。参考までに、この時点の会社のPBR(株価
純資産倍率)を計算してみますと、36.6倍になります(計算の
根拠は資料Eを参照)。

ホリエモンの錬金術 -7(※資料)
http://www.mz-style.com/item/296

設立してわずか3年あまりの会社で、これといった収益を生み出
す構造をもっていない(その後の実績を見てみますと、上場後5年
間の決算書の示す通り、まともな利益が出ているとは思えないから
です)うえに、利益剰余金が25百万円余りしかなく、含み損はあっ
ても含み資産の全くないと考えられる会社のPBRが36.6倍に
もなるようなことは、まずありえないことです。

(続きはWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/295

 

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