山根治blog

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裏金アラカルト 9

 フィクサーであるO.H.氏についての詳しい情報を寄せてくれたのは、異国で仕事をしている「友人の友人の友人」でした。私の直接の友人に依頼してから二週間余り過ぎた頃、二枚の用箋にビッシリと書き込まれたO.H.氏の身上書が届きました。複数の現地在住者に聴き取り調査をしたレポートです。19××年9月21日付のもので、ヒルトン・インターナショナル(バーレーン)の用箋に記されたものです。私が友人に依頼したの […]

裏金アラカルト 8

 「友人の友人はアルカイダ」と発言して物議をかもしたのは、法務大臣の鳩山邦夫氏でした。全世界がテロに対して極端に神経質になっていることに加えて、大臣という要職にある人物の発言でしたから騒ぎが大きくなったのでしょうが、よく考えてみますと、ことさら騒ぎ立てるほどのことではありません。日本の国会議員であれば、ほとんどの人達が「友人の友人がアルカイダ」と言ってもおかしくないからです。  鳩山氏が記者からの […]

裏金アラカルト 7

 納入価額に100億円を上乗せすること、― 昨今防衛省がらみの不正事件で話題になっている、防衛商社の山田洋行による水増し請求と同じような構図です。防衛省の場合は、アメリカのメーカーからの請求書を商社である山田洋行が改竄(かいざん)したといわれていますが、このODA案件でも、日本のプラントメーカーもしくは大手商社の段階で積算の水増しがなされているものと思われます。特殊なプラントであり、しかもODAが […]

裏金アラカルト 6

 以上をまとめてみますと、この450億円のODAのコミッションは、 表が、18億7,500万円 裏が、37億5,000万円 となり、合わせて、56億2,500万円という、トンデモない金額になります。  その内訳は、多い順に並べてみますと、 ^^t^cc^相手先^cc^内訳^cc” colspan=”2^金額^^^ll” rowspan=”2^1. 日 […]

裏金アラカルト 5

 フィクサーであるO.H.氏が渋々ながら重い口を開いて明らかにしたのは、次のようなことでした。「大手商社が受けとるコミッションは5%、そのうち、自分の会社(現地のダミー法人のことです)が1%、別の会社(日本のダミー法人のことです)が1%だ。これは表向きのもので、この他に実は裏のコミッションがある。 この裏のコミッションは10%、これは両国(日本と中近東のODAの相手国)の“天の声”に渡すことになっ […]

裏金アラカルト 4

 数日後、O.H.氏は私を伴ってこの大手商社の本社に行き、責任者に会わせてくれました。応接室で待つことしばし、現われたのは部長ではなく次長でした。名刺交換して、この人物が覚え書を作成した当事者であることが分かりましたので、私は単刀直入に、2通の覚え書のコピーを示して、文書の確認を求めました。  O.H.氏が来訪の趣旨を告げていなかったからでしょうか、私が覚え書のコピーをテーブルに置いて次長氏に示し […]

裏金アラカルト 3

 アラブの地で、武道家として特異な人生を歩んでいたO.H.氏。この人物が持ち込んだ話は次のようなものでした。 +総額450億円のプラント建設事業(ある物資の年間100万トンの生産能力を持ったプラント)。 +450億円のうち、 ++375億円は日本政府負担(円借款375億円)。 ++75億円は受入国政府負担。 +受注会社 ++本契約 - 日本の大手商社 ++プラント製造 - 日本の大手メーカー +発 […]

裏金アラカルト 2

 昭和から平成に変わる頃ですから、今から20年ほど前のことです。ODA(Official Development Assistance。政府開発援助)の利権に関わっている人物との出会いがありました。私と同年輩のO.H.氏です。  O.H.氏。昭和16年岡山県生まれ。大学卒業後、日本古来のある武道の普及・指導のために、海外青年協力隊の一員として中近東へ。武道を通じて現地の上流階級(王族)との親交が生 […]

裏金アラカルト 1

 このところ防衛省をめぐる疑惑が取り沙汰され、なんともにぎやかなことです。いつものように、その筋から小間切れに情報がリークされ、その挙句、守屋武昌氏という一人の前事務次官が、その妻と共に収賄罪で逮捕されました。検察が描いているストーリーが政治家にまで及ぶかどうかについて各マスコミの憶測記事が乱れ飛んでいますが、仮にそこまで及んだにしても氷山の一角が明らかになるだけではないかと思われます。  年間4 […]

裏口上場 3

 完璧な絵図(えず。犯罪シナリオのことです)をつくり、大手証券マンの立場をフルに利用して30億円の大金を荒稼ぎした上に、ほとぼりが冷めるまで(つまり、犯罪の公訴時効が完成するまで)、じっと身を潜めていたA氏。  鮮やかなまでの犯罪手口とその名前は、私の脳裡にしっかりと刻み込まれており、決して忘れることはありませんでした。私と同世代のA氏は東京大学、私は一橋大学と、大学こそ違ってはいましたが、青春の […]

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