裏金アラカルト 8

 「友人の友人はアルカイダ」と発言して物議をかもしたのは、法務大臣の鳩山邦夫氏でした。全世界がテロに対して極端に神経質になっていることに加えて、大臣という要職にある人物の発言でしたから騒ぎが大きくなったのでしょうが、よく考えてみますと、ことさら騒ぎ立てるほどのことではありません。日本の国会議員であれば、ほとんどの人達が「友人の友人がアルカイダ」と言ってもおかしくないからです。

 鳩山氏が記者からの詰問(きつもん)に対して、

「事実を言って何が悪いのか」

と、憮然(ぶぜん)としていましたが、たしかに「友人の友人はアルカイダ」というのは、ごく一般的な事実にすぎないのです。

 何故か?
 よく、「友人を次々と辿っていくと、7人くらいで、全世界の60億人の人に辿りつける」ということが言われています。これはごく初歩的な算数の問題で、一つの事実と考えていいでしょう。
 アルカイダについては、もちろん一人ではないのですから、友人の輪がもっと縮まります。仮に、イスラムの人達、10数億人、少なく見積もって10億人のうちの0.01%、つまり10,000人に一人が、アルカイダもしくはいつでもアルカイダになる予備軍であると仮定いたしますと、その数は少なくとも10億人×0.01%で、10万人ということになります。
 この10万人のうちの一人に行き着くのには、単純計算をしてみても、一般の人でさえ3人ほどの友人の輪でつながります。つまり、「友人の友人の友人がアルカイダ」ということです。
 鳩山氏のような国会議員であれば、私達一般国民とくらべて、知人の数はケタ違いに多いはずです。従って、友人の輪が1つ減り、3つから2つになって、「友人の友人がアルカイダ」となるのは単なる算数的な帰結に過ぎないのです。
 ただ、言わずもがなの発言であったのは、一年前の柳沢元厚生大臣の「女性は産む機械」発言と同様でしょうか。

 閑話休題(かんわきゅうだい。話を本筋に戻す、というほどの意味です)。
 フィクサーであるO.H.氏が持ち込んだODA話の真偽を確認するために、私はODA案件のチェックと並行して、O.H.氏なる人物が中近東の地で実際に何をやっているのか、現地でどのように評価されているのか調べています。身元調査ということです。
 このとき私は、友人の輪を活用しました。「友人の友人の友人」、つまり直接の友人から数えて3人目の友人が現地にいましたので詳細なレポートを送ってくれました。この人物とは面識があるわけではありませんが、信頼の輪がつながっていく限り、情報の信頼性が崩れることはありません。
 日本人でなく、どの国の人であろうとも、その人物に行き着くのに、私の場合には同じように3人の友人の輪で足りるようです。私の直接の友人はさほど数が多い訳ではありませんが、単なる利害関係だけではなく、お互いの信頼が基本になっていますので、いざという時に強力な情報ネットワークとして機能してくれます。

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 ここで一句。

“官僚がいなきゃ日本は黒字かも” -稲城、うなぎ。

(毎日新聞、平成19年12月31日号より)

(遊んでいる役人、しなくてもいい仕事をしている役人、さらにはしてはいけない仕事をしている役人。役人OBを含めて、今の3分の2が余計かも。)

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