山根治

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020 その後― (1)

****6)その後 ― (1) 一、 平成5年10月27日、午後1時から同2時50分まで、山根ビル一階の島根総合研究所サロンにて、益田市畜産協同組合の人達6人と、今後のマルサ対策について話し合った。同席者は、職員小島泰二。   二、 皆の了解を得て、テープで録音することにした。組合の人達の証言が、マルサの口車に乗って二度とぶれることがないようにするためであり、仮にぶれた場合でも、私と皆の前で話した […]

空海と虫麻呂 -その4

 万葉歌番号1742番の歌、― 河内の朱塗りの橋の上を、赤いスカートをはき、青い上衣をつけた乙女が優雅に通っていく、― ここには虫麻呂の乙女に対する憧憬が唱われており、この乙女は決して虫麻呂の現実の世界には入ってくることができないのです。  空海の「三教指帰」巻の下に、”或るときは雲童(うんとう)の娘(をんな)を眄(み)て心懈(たゆ)むで思いを服(つ)け、或るときは滸倍(こべ)の尼(あま)を観て、 […]

冤罪を創る人々vol.8

2004年05月11日 第8号 発行部数:209部 ◆◇――――――――――――――――――――――――――――◆  「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-     日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。     マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。 ◇◆――――――――――――――――――――――――――――◇  山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年 […]

019 強制調査 四日目 ― 平成5年10月1日(金)

****5)強制調査四日目 ― 平成5年10月1日(金) 一、 午前10時30分。松江税務署取調べ室。  二人が待っている。野菜スープの入ったポットを持って部屋に入った。  新本修司がしばらくしてから、黙ったまま道路側の窓を開けた。二人とも余り話をしない。  昨日食ったニンニクが相当の威力を発揮しているようだ。藤原孝行、イタチの最後っ屁をくらったドラ猫となる。面白い顔である。 二、 藤原:「山根さ […]

018 強制調査 三日目 ― 平成5年9月30日(木)

****4)強制調査三日目 ― 平成5年9月30日(木) 一、 午後10時。松江税務署、取調べ室。  前日同様、野菜スープを持参。  藤原と新本の二人が、昨日私が話したことを質問顛末書を清書して、待っていた。  藤原曰く、「山根さんの要望を入れて、抗議の言葉を入れておきましたよ。」  少々ふてくされた様子である。一部修正させた上で、サインに応じる。再び筆写する。 二、 午後2時30分から6時まで、 […]

空海と虫麻呂 -その3

 高橋虫麻呂は、山部赤人、山上憶良、大伴旅人らと共に、天平時代の歌人で、万葉集に長歌15首、短歌20首、旋頭歌1首、あわせて36首の歌を残しています。  女性のエロスを高らかに歌い上げ、色彩感豊かに言葉を紡いでいく手法は見事というほかありません。  私が291日の間いた独房という空間は、華やかな色のない、いわば単色の世界でした。白い壁、茶色の畳、ステンレスの流し台。色彩的には単調そのものでした。 […]

冤罪を創る人々vol.7

2004年05月04日 第7号 発行部数:208部 ◆◇――――――――――――――――――――――――――――◆  「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-     日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。     マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。 ◇◆――――――――――――――――――――――――――――◇  山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年 […]

017 強制調査 二日目 ― 平成5年9月29日(水)

****3)強制調査二日目 ― 平成5年9月29日(水) 一、 午前10時、松江税務署、取調べ室。すでに藤原孝行、新本修司の二名が待機している。  ポットに入れた野菜スープを持参。― 国税のお茶など飲めるか。 二、 私は、藤原と新本の二人に対して、厳重抗議を申し入れた。 ― 誘導尋問をやめろ。 ― 質問顛末書は、本人が話した通りに書け。デッチあげはやめろ。 ― 威圧的な言辞は慎め。 ― 余罪の追及 […]

空海と虫麻呂 -その2

 四六駢儷体は、四六文(しろくぶん)とも言い、広辞苑では、次のように説明されています ― ”漢文の一体。古文と相対するもの。漢魏に源を発し、六朝(りくちょう)から唐に流行。四字及び六字の句を基本として、対句を用いて口調を整え、文辞は華美で典故を繁用するのが特徴。奈良、平安時代の漢文は多くこの風によった。”  今から8年前、平成8年の今頃、私は、無実の罪を着せられて、松江刑務所の拘置監に閉じ込められ […]

空海と虫麻呂 -その1

 上野の東京国立博物館で空海の特別展を見てきました。三筆と称される空海の真筆は私に深い感動を与えてくれました。    中でも、空海24才の時の書、『聾瞽指帰(ろうこしいき)』は、若い学僧の手になる雄渾な書風であり、拡大グラスを通して青年空海の鼓動が直接に伝わってくる思いでした。  自宅に帰っても興奮さめやらず、『聾瞽指帰』の別本とされている『三教指帰(さんごうしいき)』(岩波書店:日本古典文学体系 […]

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