国税庁が再びスパイ組織を送り込んできた!!―④

 前回、財務省のキャリア官僚である村中健一・名古屋国税局長(現、横浜税関長)に宛てて申述書を提出し、名古屋国税局査察第7部門が、違法かつ犯罪的な査察調査を敢行している事実を申し述べ、直ちにそのような間違った査察調査を中止させるように要請したことを明らかにした。

 しかし、私の要請は全く無視され、違法な査察調査は継続された。まさに、“蛙(かえる)の面(ツラ)に水”(厚かましくてどんな仕打ちにあっても平気でいるさま。しゃあしゃあしていること。-広辞苑)である。

 先般国会で繰り広げられた、森友学園と加計学園をめぐる疑惑の追及に対して、

「記録が残っていない」
「記憶にない」

を言い通して切り抜けた、
財務省財務局長 佐川宜寿(現、国税庁長官)
をはじめ、複数のキャリア官僚もまた、“蛙の面に水”のたぐいである。官僚の“無謬(むびゅう。理論・判断などに誤りがないこと。-広辞苑)神話”をなにがなんでも貫き通したいのであろう。
 しかし、それはもはや徒労(とろう。むだな骨折り。-新明解国語辞典)である。3.11福島第一原発のメルト・ダウンによって、原発安全神話が一瞬にして消え去ったように、官僚内閣制を支えてきた“官僚の無謬神話”がメルト・ダウンを始めているからだ。100年以上にわたって日本国民の上に立って日本国を支配してきた官僚が、私利私欲のために腐り切っていたことが白日のもとに曝(さら)されたからだ。

 では何故、村中健一・名古屋国税局長は、私の申述書を無視したのか。
 理由は簡単だ。税理士である私に、申述書を作成する権限もなければ、税務代理人となる資格もないと考えていたからだ。税務代理人となる資格のない者(私)が作成した申述書など、一顧(いっこ。(どういう様子かと)ちょっと目をとめて見ること。-新明解国語辞典)の価値もないと考えたからだ。

 つまり、こういうことである。
 税理士には、税理士法によって独占的な権限が与えられているが、査察調査は、その権限の範囲外であるということだ。
 従って私を含めた全ての税理士がこれまで査察調査に関与しようとしても、全てシャット・アウトされてきた。門前払いである。これは税理士に対してだけではない。弁護士あるいは公認会計士に対しても同様だ。
 国犯法第9条(出入禁止)の、

『収税官吏質問、検査、領置、臨検、捜索又ハ差押ヲ為ス間ハ何人ニ限ラス許可ヲ得スシテ其ノ場所ニ出入スルヲ禁スルコトヲ得』

というカビだらけの条文を勝手に解釈して、税理士だけでなく、

「何人(なにびと)に限らず」

査察調査に関与させることをしなかったのである。
 以上のことを税理士法について言えば、税理士の独占業務である「税理士業務」(税理士法第2条第一項)の中に査察調査に関する業務が入っていないということだ。つまり、私が村中健一・名古屋国税局長に対して行った行為は「税理士業務」ではないということである。
 まさに専制君主が政治の中核に据えた教えである

“寄(よ)らしむべし、知らしむべからず”

を地でいったものだ。臣民である税理士は、自分達・お上(かみ)が作ってやった資格だ。臣民たる者、つべこべ言わずに、お上(かみ)に従ってさえいればいいといったところか。冗談じゃない!!

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。

”入(はい)れても出られないだろ核シェルター” -大津、石倉よしを

 

(毎日新聞、平成29年8月2日付、仲畑流万能川柳より)

(島根原発10キロ圏内に、30ヶ所余りの“核シェルター”が。社会福祉法人、病院などに一ヶ所7億円ほどの金をかけて作られた、見せかけの“核シェルター”だ。原発事故があった場合、核被爆が多少は少なくなる、しかも一時的に、といった程度のインチキ装備。)

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