島根原発と御用商人-⑦

 原発マフィアの雑魚(ざこ)・細田博之が国会議員の職を世襲したのが平成5年。時を同じくして、ミニ田中角栄とでもいうべき人物が松江市長になった。宮岡寿雄である。

 宮岡は神戸市の助役として、公共ディベロッパ-方式を他の自治体に先駆けて採用し、神戸株式会社と称されるほど、土建業者顔負けに収益を追求した人物だ。このような男が、収益性と効率性を貪欲(どんよく)に追求する公共ディベロッパー方式を松江市に持ち込み、強引に推し進めようとしたのである。それが、中海干拓事業を変更して、1400haもの中海を埋め立てて産業廃棄物処分場にする計画だ(「やりたい放題の査察官(3)」参照のこと)。

 宮岡が松江市長になってから、松江市の公共事業が一変した。松江市の旧市街地を再開発と称していじくり回し、一部の支持者(御用商人)の利益を図るために多額の公金をつぎ込んだ。美術館とかテーマパーク、市立病院などを次から次へとつくり、湯水のように公金を使いまくった。公共事業の大盤振舞いである。

 何故、一介の市長にこのような“大尽遊び”ができたのか。そのカラクリは何であったか。ズバリ、島根原発にからむ交付金とか電力会社、電事連などからの寄附金だ。原発立地にからむ、地元への迷惑料である。

 これら自前の財源ともいうべき原発交付金とか寄附金はヒモ付きではなく自治体として自由に使えるものだ。しかも、地方を優遇する法律と地方債の発行を組み合わせれば、この財源は5倍にも10倍にも膨らませることができる、いわば“打ち出の小槌”だ。原発立地の迷惑料をテコに法のカラクリを悪用して、国民の税金をむしり取っていたのである。体(てい)のいい税金ドロボーである。

 松江市民の多くは、バリバリと仕事をこなし、次から次へと多数の公共事業を実行していった宮岡市長に拍手喝采を送っていたが、その裏には島根原発にからむ財源のカラクリがあったことを忘れてはいけない。松江市の中心部から10キロ圏内に位置する、原発という名の核兵器工場を認める見返りに、つまり、松江市民の生命と安全とを危険に晒(さら)す見返りに、手品のような小細工を施して市長自らと御用商人の利益が図られたのである。

 ヤクザ組織の舎弟と疑われてもしかたのない、金権市政を強引に押し通した宮岡寿雄・松江市長の急逝をうけて、松江市長になったのが松浦正敬だ。現松江市長である。
 松浦正敬、昭和23年生まれの67歳。東京大学法学部を卒業して自治省に入省、平成12年、宮岡寿雄・松江市長の急逝により、自治省を退職、松江市長に。キャリア官僚が、いわば天下りした“過去官僚”だ。「ジバン」、「カンバン」、「ソロバン」のうち、「カンバン」(東京大学卒のキャリア官僚)だけは自前で、「ジバン」と「ソロバン」とは借りものという、典型的なサラリーマン市長の誕生である。
 当初のスポンサーは自民党、二期目以降は民主党も加わっている。サラリーマン市長であるだけに、首長としての自らの定見はないに等しい。ほとんどスポンサーの言うがままだ。体(てい)のいい操り人形である。この点、溝口善兵衛島根県知事も同様である。これまた、東京大学出身の“過去官僚”だ。両人とも、明治以来続いてきた官僚内閣制を守ることと、スポンサーと一握りの御用商人のことさえ考えていればよく、地域住民のことなどどうでもいいのである。

 松江市議会は、自民党系議員が圧倒的多数を占めており、民主党系をはじめその他の議員は“刺身のツマ”扱いの野党である。島根県議会も同様だ。このような状態は、私が郷里松江市で開業した昭和51年以来、全く変ることなく連綿と続き、現在に至っている。松江市が保守王国と言われる所以(ゆえん)である。
 この保守王国はほとんどの野党を抱き込んでいるだけに磐石(ばんじゃく)だ。野党であるはずの民主党系、公明党系の議員が利権を分けあう形で与党自民党とテーブルの下でがっちりと手を握っている(アンダーハンドの)間柄(あいだがら)だ。
 この点、現在の安倍政権が大多数の国民の意向を無視して国会を形骸化し、デタラメの限りを推し進めているのとソックリだ。国会における民主党が安保違憲法案に反対のフリをして下手な三文芝居を打っているのは見るに耐えないが、松江市の場合は露骨である。松江市は県庁所在地とはいえ、人口わずか20万人という小さな町だ。松江市という狭いエリアであるだけに、利権を求めてウロチョロする御用商人があからさまに利益を貪る構図が具体的に透けて見えるのである。

(この項つづく) 

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 ここで一句。

 

”夫在宅ストレス同居” -坂戸、コーチャン

 

(毎日新聞、平成27年10月17日付、仲畑流万能川柳より)

(“亭主元気で留守がいい”)

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