やりたい放題の査察官(2)
- 2013.04.16
- 山根治blog
一般の人はもとより、税理士の関与をも一切排除して進められてきたのが査察調査である。税理士として納税者の依頼を受けて、話し合いに行ってもケンもホロロの門前払いをされるのがオチであった。国税局の査察部に足を運んでも直接の担当者は現われず、査察の管理部門の職員が出てきて、話を聞いたふりをするのが常であった。慇懃無礼な応対に終止し、いくら、
「代理人税理士として、納税者の言い分を陳述したい。」
とか、「このケースは告発するような事案ではない。誤りがあれば修正申告に応ずるので、告発をやめてもらえないか。」
などと申し入れても、「個別事案には答えることはできない。」
とか、「話は承っておく。」
など、ノレンに腕押し、事実上の門前払いであった。
もちろん、このような対応は明らかに誤っている。憲法と税理士法の規定を無視したもので違法である。国税局は、国税犯則取締法(以下、国犯法という)の規定を根拠にしているようであるが、間違っている。
たしかに、国犯法第九条「出入禁止」には、
となっており、査察官(収税官吏)は、質問・検査をする現場に第三者が同席するのを拒絶することができる。しかし、これは調査の立会いの問題だ。
もともと「立会い」は、税理士業務ではない。判例で明らかにされているように、税理士でなくとも誰でもできるものだ。税理士法で定められている税理士業務は、
+税務代理
+税務書類の作成
+税務相談
の3つである(税理士法第2条第1項)。この3つの業務は税理士だけに与えられた独占的な業務で、税理士ではない者(非税理士)が行なうことはできない。非税理士は、有償の場合はもちろん、たとえ無償(お金をもらわない)であっても税理士業務を行なうことは禁じられている(税理士法第52条、第59条、税理士法基本通達第2-1)。税理士業務の無償独占性(「脱税摘発の現場から-7」参照)といわれるものだ。
税理士業務のうち特に大切なのは、1)の税務代理である。
と定められている業務が税務代理だ。
税務調査については、税務署とか国税局の調査がなされる場合、納税者の求めに応じて、納税者側の言い分(主張、陳述)を代理して申し述べたり、代行することが法で定められている(税理士法第2条第一項三)。
これを納税者の側から見れば、税務代理人を選任する権利があるということだ。この税務代理人選任権は、弁護人選任権(刑事訴訟法第30条)のような明文規定はないものの、当然に存在している。査察が税理士を門前払いするのは、納税者の税務代理人選任権を否定するものだ。明らかに違法である。
もともと税理士は、
とされ、極めて公共性の高いものだ。
日本国憲法第3条(法定手続の保障)
及び、同第84条(租税法律主義)
は、国民の権利を定めたもので、税理士法自体、これら憲法の規定に由来するものだ。この点、同じように公共性の高い公認会計士の独占業務である監査とは異なっている。会計士の監査業務は憲法の要請に基づくものではないからだ。
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ここで一句。
(お互いさま。)
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