***2.マルサの取調室-その1 平成24年4月××日、午後2時。私は、東京国税局の拠点である大手町合同庁舎3号館にいた。リョウチョウ(資料調査課による調査)の用事などでいつも通り抜ける1階の右側のゲートではなく、左のゲートから入り、エレベータで4階へ。4階のエレベータ・ホールで待ち受けていたのは、野間田芳徳(東京国税局査察部査察第31部門査察官)であった。 エレベータ・ホールと廊下の蛍光灯は明 […]
***1.はじめに 暴力集団としてのマルサ(査察)の襲撃を受けたのが平成5年9月、今から19年前のことである。その後私は巨額脱税事件(「冤罪を創る人々」参照)の主犯として松江地検に逮捕され、刑事被告人として刑事法廷の場に引きずり出された。手錠、腰縄姿を公衆の面前にさらされた屈辱は、今なお鮮明な記憶として残っており、脳裡を去ることはない。 延々と続いた法廷闘争の末、マルサ事件で無罪をかち取った私 […]
情夫の副社長氏、早速情婦の元ホステスを呼んで、親しくしている国税局のエライさんに頼み込んでくれるように懇請した。脱税のモミ消し依頼である。 男の二股をかけているこの女性、もう一人の情夫である税務職員にこの話を取り次ぎ、色好い返事を持ってきた。『今のうちなら自分の手の内にある。なんとかできる。できないことではない。ただ条件といったらなんだが、お願いしたいことがある。』として、情婦を通じて税務職員 […]
犯罪の絵図(えず)ができたら、次は実行だ。犯罪の着手である。 女の武器を使ってからめとった金庫番の副社長に、なにげなく話しかける。「おたくの会社、国税局の調査が入っているんですって? 親しくしている同級生が国税局のエライさんになっているんだけど、ポロっと漏らしていたわ。」 情婦が漏らしたさりげない言葉が、副社長氏に突き刺さった。税務調査の情報が外部に漏れていることに衝撃を受けたのである。 た […]
私が想定する犯罪の構図は次のようになる。 これまで可もなく不可もなく過ごしてきたノン・キャリアの税務職員、-40才半ばになってようやく局の課長補佐にまで辿りついた。あと10年勤めを続けたところで、二番手、三番手の税務署長になるのが関の山。この先は知れたものだ。すでにタナボタの税理士資格は手に入れた。税務署のゴマカシ方も分かったし、納税者をたぶらかす術(すべ)も身につけた。余生は税理士で稼いで楽 […]
ウラ金については、普通の企業であれば、税務上の制約がついており、表立って堂々と支払うことはできない。ウラ金として支払った金額とほぼ同じ額の税金が、ペナルティとして企業に課せられるからだ。本稿(「高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-4」)で述べた通りである。 ところが、犯罪企業である東京電力(「11/28講演会「闇に挑む『原発とは何か?』-福島第一と島根-」」参照)のような電力会社は、ウラ金につ […]
私が睨(にら)んだのは、従来からこの会社にもぐり込んでいる複数の顧問税理士の存在だ。この連中がユスリ行為の重要な役割を演じているのではないか、ということだ。 つまり、この国税職員、在職中にネライをつけた産廃企業にもぐり込むための大芝居を打った。この猿芝居の片棒をかついだのは元ホステスだけではなかった。会社の内情を知悉している顧問税理士が重要な役割を演じたのではないか。更にこの三文芝居を完璧なも […]
これまで述べてきたように、元ホステスが暴露したとされる、「国税職員が、税務調査されていた会社にウラ指南し、その見返りに多額の現金を受け取り、その会社に天下りさせてもらった」というのは、元ホステスがそのように思い込んでいただけのことで、その実、情夫である国税職員の手先になって会社から金を脅し取っただけのことではないか。 この元ホステス、会社の副社長をたらし込んでいるあたり、新手の美人局(つつもた […]
全国の税理士は7万人、その半分を国税OB税理士が占める。正規の税理士試験を受けることなく、単に一定期間税務職員であったことだけで、タナボタ式に税理士資格が付与されている人達だ。 ちなみに、この税理士試験、一般の人が真正面から向かっていくとすれば超難関の試験である。税務職員ではなくても、大学院の修士課程を出たことにすれば安易に資格が取れる抜け道があるが、大真面目に正規の税理士試験を真正面から突破 […]
週刊ポスト(「大阪国税局の犯罪-暴力組織としての“資料調査課”」参照)に続いて、週刊朝日(2012年3月9日号)が、高松国税局がらみのスキャンダルを報じている。『“黒革の手帖”元ホステスが暴露、国税職員と産廃企業社長の癒着』と題する記事だ。国税職員、産廃企業社長はともに実名で報道され、執筆した記者も実名だ。「国税職員が、税務調査された会社にウラ指南し、その見返りに多額の現金を受け取り、その会社に […]