「悪徳税理士」の弁-③
- 2012.07.24
- 山根治blog
私を「悪徳税理士」呼ばわりした齋藤義典税理士、返す刀で国税当局を切りつけている。私とグルになって不正を働いたのではないかとして、大阪国税局の職員を私同様、実名で公表し、指弾しているのである。名指しで批判された資料調査課の人達は、私以上に驚き、困惑しているのではないか。誠実に公務を遂行していたところを、理不尽な言いがかりをつけられたのである。問答無用の闇討ちだ。
実名が出ている料調主査U氏には、5ヶ月程の間誠実に対応していただいた。相当以上に難しい事案であったにも拘らず、税務職員として模範的な対応に終止し、税務調査の基本を外れることはなかった。U氏の名誉を守るためにも、今回の齋藤義典税理士の所業がいかに荒唐無稽で理不尽なものであるか、明らかにしなければならない。
まず、この人物が何を喚き散らしているのか、要点は次の3つである。
+料調職員U氏らが私と密約を交して公務を逸脱したこと。
+私、山根治が業務上横領をしたこと。
+私、山根治が詐欺をしたこと。
上記3点について、それぞれの論旨が支離滅裂で、理解不能である。従って、この人物が言いたいことを次のようなものであるとして、話を進めることとする。
+本来納付すべき税額を減少させることを契約書に記し、減少額に応じて報酬を受け取ることは公序良俗に違反する。
+私人の交渉により、本来納付すべき税額が減少するがごときを許容する課税庁の対応は、課税の公平の原則を逸脱し、申告納税制度の根幹を揺るがす重大問題である。
+山根治税理士と課税庁は1.と2.について密約を交わし、税額を減少させた。
+山根治税理士は、依頼者と委任契約を結び着手金・前受金名目で1,000万円を受け取っている。受任者が報酬を受ける場合には委任事務を履行した後でなければこれを請求することができない(民法648条2項)にもかかわらず、すでに1,000万円を不法領得した上に更に182万円の請求までしている。業務上横領である。
+山根治税理士は、依頼者を脅したり騙したりして報酬を受け取った。詐欺である。
上記1.~5.は、一連のものである。以下、実態を明らかにした上で、齋藤義典税理士が自分勝手な思い込みをもとに、私と国税当局とを誹謗中傷していることを明らかにする。
確かに、「本来納付すべき税額を減少させる」というのであればトンデモないことである。してはいけないことだ。政治ブローカーとか国税OB税理士、あるいはヤメ検(検事OBの弁護士)が暗躍する犯罪の世界だ。脱税のモミ消し(「高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-⑦」参照)と言われている暗闇の取引である。
しかし、私の場合は全く異なる。コソコソと密談するのではない。オープンな場での話し合いだ。「本来納付すべき税額」自体を国税側と話し合いの上で決定していくもので、決して、「本来納付すべき税額」を不当に削ったりはしない。両者は似て非なることがらである。
査察調査とか料調において頻繁に出てくるのが「推計課税」である。帳簿や証憑がなかったり、あるいはあったとしても、いいかげんなものであった場合に法律で認められている推計による課税処分のことだ。
同様の規定は所得税法第156条にも規定されている。現在のところ相続税法には存在しないが、「国税庁による平成24年度税制改正意見」(「国税庁における平成24年度税制改正意見から相続税の改正の動向を探る(税理士法人FP総合研究所)」参照)には「推定課税」規定がこっそり盛り込まれている。いい加減な税務調査を助長し、税収増を図ろうとする財務省の陰謀だ。
この推計課税、課税当局にとっては便利この上ない伝家の宝刀だ。条文を見ても明らかなように、これといって決った方式があるわけではない。とりあえずもっともらしい理屈がつけばいいのである。なんだか怪しい、税金をのがれているのではないか、ということだけで、適当な理由をつけて追徴すればいいのであるから、課税当局としては笑いが止まらない制度である。シャウプ勧告によって申告納税制度が導入されるまでに実施されていた賦課納税制度のようなものだ。お上(かみ)が決定した税金を文句を言わずに支払えという制度である。
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ここで一句。
(松下政経塾、保守・革新がウラで癒着していた55年体制を温存するための寺小屋。一期生の野田首相のもと、念願の55年体制へとめでたく復帰。それにしても、幸之助さん、ヘンなものを残してくれたものである。)
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