400年に一度のチャンス -14
- 2011.04.19
- 山根治blog
***14.公務員人件費の削減①-その効果と根拠①
前回、福岡政行氏の提言を一歩進めて、
+公務員の人員の2割カット。
+公務員の人件費の5割カット
を提案した。
****(1)この提案を具体的な数字で説明すると次のようになる。
+現状は、360万人の公務員に対して、30兆円の人件費が投入されている。
+人員の2割カットで70万人減の290万人。更に人件費の5割カットで18兆円のカット。(30兆円-(30兆円×0.8×0.5)=18兆円)
****(2)公務員の人員2割カット、人件費5割カットを実行すればどうなるか。
+国、地方の予算で人件費分18兆円が浮く。
+この18兆円を、仮に全て1,700万人の生活困窮者に振り向けるとすれば、この人達の160万円強の平均年収は、260万円へとアップする。((28兆円+18兆円)÷(1,700万人+70万人)=260万円)
+一方で、20%人員を削減された290万人の公務員は、現在の平均人件費840万円/年が、420万円へとダウンする。
+結果、生活困窮者は、“健康で文化的な最低限度の生活”がなんとかできるようになる。公務員は収入等が半減するものの、生活困窮者と比較すれば、いまだ1.6倍もの生活水準を維持することができる。
****(3)私の提案(公務員の人員2割、人件費5割カット)の根拠は次の通りである。
+憲法25条は、第一項で全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を有すると定めると同時に、第二項で国は、国民の生存権を保障する義務を有することを定めている。
+1,700万人の生活困窮者の平均年収が160万円であるとすれば、生活保護費(平均169万円。国立社会保障・人口問題研究所「生活保護」に関する公的統計データ一覧、「扶助別保護費1人当たり月額の年次推移」平成19年、月額141,333円)にも達しない。この事実は、労働人口6,700万人の4分の1にも達する多くの国民の生存権が侵害されていることを示している。
+一方、公僕たるべき公務員は破格の高待遇を享受している。360万人の公務員と1,700万人の生活困窮者との生活較差は5倍強(対生活保護費)~6.7倍(対最低賃金)にも達し、明らかに異常であり、不当である。
+公務員は特別公務員である政治家と共に、1,700万人もの生活困窮者の窮状を放置し、国に課せられている生存権保障義務を無視して、国民からの血税を自らのために不当に使い込んでいる。公僕(憲法第15条)としてはあるまじき所行であり、このような所行によってもたらされた不当な較差を放置することなく是正するのは当然である。
+公務員は特別公務員である政治家と共に国の運営をしてきた。900兆円もの公債は財政赤字のタレ流しをした結果である。しかも、財政赤字の最大の原因は不良かつ不要な人員を含む公務員の過大人件費だ。360万人の公務員が公のお金を自分達のために食い散らかしてきた結果、年々のプライマリー・バランスを大きく崩し、国の借金がGDPの2倍近くまで膨れ上がったということだ。過大人件費を是正するだけで財政健全化、少なくともプライマリー・バランスの健全化は直ちに実現できるはずであり、国民として公務員人件費のカットを要求するのは当然のことである。
尚、生活困窮者については「平均収入」を用い、公務員については「平均人件費」を用いたことに関して、あるいは、単純に比較するのはおかしいのではないかといった疑問がでてくるかもしれない。
しかし、現在の公務員は給与水準が生活困窮者に比べて著しく高いだけではなく、その他の手当が破格である。公務員には割安の公務員宿舎・福利厚生施設、特別の共済年金、高額の退職金があるだけではない。退官後も至れり尽くせり、天下りの人生が待っている。このような優遇措置は、生活困窮者には全くないものだ。これらは全て、現在の給与水準に換算できるもの、即ち「平均収入」に含めてしかるべきものであり、公務員の「人件費」を生活困窮者の「平均収入」の比較対象にしたのは何ら不合理なことではなく、むしろ当然のことである。
更に言えば、財務省が公表した公務員全体の人件費が30兆円というのもなんだか怪しくなってくる。中味が分らないからだ。先にあげた、割安かつ至れり尽くせりの公務員宿舎とか福利厚生施設などの建設費、管理運営費などは含まれてはいないのではないか。もちろん、退官後の天下りの利益などは全く反映されていないはずだ。この他にも、他の予算項目に隠されている人件費がかなりあるものと思われる。隠れ人件費である。
以上は、公務員の人件費だけの話であった。しかし、問題なのは、360万人の公務員だけではない。予算措置が講じられているその他の団体、特殊法人、公益法人、あるいは、JA、商工会議所といった、いわゆるパブリック・セクターにも目を向けなければならない。
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ここで一句。
“静かです妻が何かを食べている” -都城、西博隆
(とりあえず平和な家庭の一コマ。)
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