400年に一度のチャンス -13

***13.不良公務員の排除と過大人件費の現実

 福岡政行氏は、“どうする日本”への処方箋として、次の5つのロードマップを示している(『公務員ムダ論』角川書店刊、P.146~P.157)。

+政権交代

+政治家の定数削減は半分!

+公務員の天下り全面禁止

+公務員の人件費2割カット、退職金は3割カット

+有償ボランティア300万人―公務員と市民(住民)による民官パートナーシップの確立

 いずれも的確な指摘であり、基本的に賛成である。ことに4.の公務員の人件費のカット分を5.の有償ボランティアに配分する案は斬新かつ素晴らしい提案だ。高齢化社会に突入している日本にピッタリである。これから高齢者の仲間入りをするいわゆる団塊の世代の人達は、戦後の日本を立ち直らせた最大の功労者であり、若い人達に負けないどころかそれ以上の知恵と力とを持っている。団塊ならぬエネルギーの塊ともいうべきこれらの人達が、社会の第一線から引退することなく、有償ボランティアとして地域社会に再び貢献することができるようになれば、日本の社会は一変することであろう。

 無理な経済成長など目指したり、少子高齢化で騒ぎ立てる必要もなくなるのではないか。現状のままでも、日本社会をより健全なものにし、活性化できるのではないか。公務員の過大な人件費をカットすること、つまり、国家の富の配分を変え、適正にするだけでいいからだ。



 福岡政行氏は、公務員の人件費2割カット、退職金3割カットの提案をしているが、カット率が低すぎるのではないか。これだけでは日本社会の活性化に資することはあっても、日本社会に潜む根本的な問題-以下で説明を加える1,700万人にも達する生活困窮者の問題を解決することができないからだ。

 このため、私は、公務員について更に踏み込み、

-1) 人員

–平均2割カット

–国会議員、地方議会議員は5割カット。

–一般職は3~9割カット。

–警察・自衛隊・教育関連等は1~2割カット。

-2) 人件費

–平均5割カット。

–国会議員は5割カット、地方議会議員は有償ボランティア(日当制)。

–一般職は5~7割カット。職務に応じて日当制に。

–公務員に与えられている各種優遇措置の撤廃。

を提案したい。

A)提案の根拠を示す前に、まず公務員の実態を人数と人件費の面から明らかにする。

****1.公務員の人数
-1) 国家公務員 66万人
–一般職 36万人
–特別職 30万人
-2) 地方公務員 291万人
–都道府県 156万人
–市区町村 135万人
-1)、2)合せて357万人(※2006年度末。上記の数字は、福岡政行前掲書P.53より採用。財務省「日本の財政を考える(平成20年9月)」P.28では、国家公務員59.9万人、地方公務員299.8万人、合せて359.7万人となっている。)
****2.公務員の人件費 30兆円
-2006年度実績(財務省「日本の財政を考える(平成19年5月)」P.16より)。
****3.公務員一人当りの人件費
-840万円/年(=30兆円÷356万人)

B)次に、現在の日本の労働者の就業形態は次の通りである。

****1. 日本の総人口 1億2,800万人。
****2. 1億2,800万人の内訳
-1) 労働人口 6,700万人
–就業者 6,400万人
–失業者   300万人
-2) 就業者6,400万人の内訳
–正規労働者  5,000万人
–非正規労働者 1,400万人
-3) 非労働人口 6,100万人
–専業主婦・主夫、学生、高齢者 4,400万人
–15歳以下 1,700万人
(上記の数字は、福岡政行前掲書P.54~56より採用。)

 ここで問題なのは、300万人の失業者と1,400万人の非正規労働者の存在だ。
 仕事をしたくとも仕事がない人達(失業者)と、仕事はしていてもいつクビになるか分らず、その上に安心して暮らしていけるだけの収入がない人達(非正規労働者)が、合わせて1,700万人もいるのである。失業者は労働収入がゼロであるし、非正規労働者の多くは、派遣業者のピンハネを受けてギリギリの生活を維持するのがやっとの有様だ。年収200万円前後の、いわゆるワーキング・プアである。
 1,700万人といえば、日本の全労働人口6,700万人の実に25%。4人に1人が、“健康で文化的な最低限度の生活”(憲法第25条)さえままならぬ状況にあるということだ。非正規労働者の平均年収を200万円/年と仮定すれば、失業者を含む1,700万人の平均収入は160万円強/年となる。平均169万円の生活保護費をも下回る文字通りの「生活困窮者」である。
 一方では、世界最高水準ともいえる840万円もの生活保障を得て役人天国を謳歌している公務員が360万人も存在している現実。
 生活困窮者の平均収入が160万円強/年であるから、840万円/年といえば、ナントその5倍強である。最低賃金(労働基準法第28条、最低賃金法)と比較すれば、更にこの開差は大きくなり、6.7倍となる。(最低賃金は730円-一時間当り全国平均-、公務員の一時間当りの平均人件費は4,900円(一年間1,700時間として、30兆円÷360万人÷1,700時間)であるから、4,900円÷730円=6.7(倍))
 主人公であるべき国民の4人に1人を、生活困窮状態に放置しておきながら、公僕である自分達だけはその5倍~6.7倍もの生活保障を受けて裕福な生活をしているのである。本末転倒の現実だ。全ての議論は、まずこの現実を直視するところからスタートすべきである。これこそ日本社会に潜む根本的な問題であって、これからの日本を考える上で避けて通ることができないのではないか。

***【追記】
 この原稿は、3.11東日本大震災以前に書いたものである。震災後一ト月を経た現在、被災者、ことに福島原発による被災者の余りにも悲惨な現状を見るにつけ、公務員がのさばりかえっているこの国を根本的に変えなければならないと改めて痛感している。
 公務員の過大人件費に大胆なメスを入れるだけで、震災の復興財源は十二分に確保できる。50兆円規模の10年国債を直ちに発行すること、人件費カットの中から年5兆円を積み立て、返済財源とする。日本における本当の“埋蔵金”は、公務員の過大人件費の中にあったということである。 (2011.4.12 9:00am 山根治記)

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“「お宝は」妻に聞かれて「お前だよ」” -神奈川、荒川淳

(毎日新聞、平成22年12月26日付、仲畑流万能川柳より)

(そう言っておくのが無難です。ジョーダンも時によりけり。)

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