400年に一度のチャンス -11
- 2011.03.29
- 山根治blog
***11.不良公務員の実態
自民党長期政権の積年のウミ、その最悪のものは不良公務員の存在だ。公僕(憲法第15条)であることを忘れ、日本国を食い物にしてきたと評しても決して過言ではない。自分達を国の主人公と勘違いして、無能な政治家を手玉に取り、税金を我がもの顔に食い散らしてきた人達だ。
その驚くべき実態が次から次へと暴かれ出した末の政権交代であり、政権交代後もその動きは止まらない。
しなくともよい仕事をしている公務員、あるいはしてはいけない仕事をしている公務員が余りにも多い。税金ドロボーと言われても仕方がない。
その筆頭が財務省の役人達だ。日本を思いのままに操ってきた官僚機構の頂点に君臨し、役人の中の役人と自負している財務省の役人からして、平然として政治家と国民を欺き、国民一般ではなく、自分達のことを中心に考えて予算を弄(もてあそ)んでいるのは、既に述べた通りである(「日本は破産しない-(4)財務省の戯言(たわごと)①」参照)。このような連中の事実上の配下にある税務職員の質(「脱税摘発の現場から-6」参照)も悪くなろうというものだ。
民主党のマニュフェストなどどこ吹く風、1,700万人にも達する生活困窮者(労働人口の4分の1、次回に詳述)を顧みることなく、公務員あるいは公務員OBの利権だけはしっかりと予算に組み込んでいるのである。このことは、360万人の公務員だけでなく、900万人ともいわれるパブリック・セクターの人達全体にも及ぶことだ。国家財政の健全化を阻害する最大の要因を、財務省の役人達が率先して創り出しているということだ。元大蔵省主計官であったことを自慢してはばからない片山さ〇き(敬愛する安部譲二さんの言葉づかいを借用)が、何故安部氏に忌み嫌われているのか(「あんぽんたんな日々:第148回 『好きと嫌い』」「あんぽんたんな日々:第131回 『悪口悪たれアメアラレ』」参照)、故なしとしない。若い頃“ミス東大”であったほどの美貌の持ち主が、20数年を経てあれほどまでに変容するのは驚きだ。哀れであるとしか言いようがない。
あるいは、私がこの4年ほど追求している国交省の各地方整備局。全国の道路、河川、ダム等の整備を担当している部門である。
作らなくともよい、あるいは作ってはいけないダムや道路をつくり、必要のない河川の整備を巨額の税金を投入して行っている。
私は必要性のない根拠として、「費用対効果」(B/C、ビーバイシー)(「『疑惑のダム事業4,600億円』-八ッ場ダムの費用対効果(B/C)について」参照)に着目し、B/Cを国交省がもてあそび、信じ難い“粉飾”を行って、7,000億円もの公共事業を強引に推し進めている実態を明らかにした(「粉飾された2兆円」参照)。事業の遂行を正当化するために、法で定められたB/C算定の基礎となるバック・データをゴマ化しているのである。政策評価法に違反しているものの、直接の罰則がないことから、私がいくら指摘しても(「粉飾された2兆円 -6 」参照)素知らぬ顔、知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる。
たしかに、国家公務員が公務として行った仕事について、仮に間違ったことをしていたとしても現在のところ担当した公務員を処罰する法律がない。
しかし、虚偽の公文書を作成した場合には、刑法156条で処罰規定が用意されており、それに該当する蓋然性が高いのがこの事例だ。
このようなことを恥ずかしげもなく平然として実行している国交省の地方整備局は、存在意義そのものが問われてしかるべきだ。
また、このところ全国の市町村が徴収している固定資産税等の誤りが各地で指摘され、還付請求が相次いでいる。全国で固定資産税等の賦課徴収にたずさわっている役人は7万人、それにかかる費用(税金)は1兆4,000億円とも推計(「建物の固定資産税は適正化により軽減できる | 株式会社建物鑑定」参照)されている。
これだけの人数の役人が、間違った税金の計算をし、仮に間違ったことが納税者の側から指摘されてもこれまでは四の五のと言いつくろって決して直そうとはしなかった。かつての社会保険庁が行っていた、デタラメな年金行政と同じパターンである。このところは風向きが変ってきたらしく、還付請求に応ずる自治体が全国各地で現れてきた。
一年間で全国の地方自治体が徴収する固定資産税の額は10兆円。仮にその10%が誤っているとしたら、年間で1兆円もの税金を過大に徴収していることになる。これは課税の公平・不公平以前の問題だ。納税者からの指摘を待つのではなく、自発的にしかるべきチェックをして直ちに是正し、過去において過大な徴収を行っているならばお詫びをした上で進んで還付すべきである。当然のことだ。
ここで“そもそも論”になる。そもそも10兆円ほどの税金を徴収するのに、全国で7万人もの公務員が本当に必要かどうか、ということだ。
今の制度のままでも半分以上は、しなくともよい仕事をしていたり、してはいけない仕事をしたりしているのではないか。不良在庫ならぬ不良公務員だ。更には制度の手直し(賦課課税方式から申告納税方式への変更)をすれば、7万人のうち90%以上が不要になると指摘する人(「建物の固定資産税は適正化により軽減できる | 株式会社建物鑑定」参照)もいる。
以上の例示は決して特殊なものではない。一般に、国家公務員と地方公務員は明らかに人数が多すぎる。その上に、給与水準が民間の生活困窮者と比べて異常に高い。この間の事情については、政治学者福岡政行氏の著書、『公務員ムダ論』(角川書店刊)に詳しい。多くのデータをもとに、的確な分析がなされている名著である。
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ここで一句。
(一日に何回となく辞書を引く私。電子辞書が手軽で便利であるとは分かっているが頑として辞書にこだわっている。意味、用例を再確認したり、道草をしてみたりと、いろいろな辞書をひっくり返しては楽しんでいる。)
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