検証!! 『ホリエモンの錬金術』-21
- 2009.10.13
- 山根治blog
上場詐欺については、日本では罰する法律がないから議論すること自体がおかしいとか、あるいは罰する法律がない以上、違法性の問題など出てこないとか、更には一歩進めて、違法でないならば仮に上場詐欺をやったとしても全く問題はない、などトンデモないことを公言する弁護士がいます。まさに三百代言(さんびゃくだいげん)そのもの、呆(あき)れてものが言えませんね。
ちなみに、上場詐欺というのは、上場に際して重要な事実を偽って上場を果たし、上場による利益を不正に手にする、というほどの意味合いのものです。つまり、真実ありのままの事実を申告すれば上場審査をパスできないために、事実を加工(捏造)して上場審査を欺くインチキ上場のことです。堀江貴文氏が行ったのは、このような意味での上場詐欺です。
確かに、刑事事件として立件することができるかどうかという観点からすれば、上場詐欺自体については罰する法の規定はありませんので、前記の弁護士のような言い方もできるかも知れません。しかしゴマかして上場したことは明らかな証取法違反ですので、証取法に違反していることをしたとしても構わないと、受け取られかねないようなことを公言するのは間違っています。いかにも検察官あがりの弁護士(いわゆるヤメ検のことです)の考えそうな詭弁ですね。
その上に、違法性は刑事罰だけに限定されるものではありません。違法だからといって全てが刑事罰の対象になるのではないのです。長い間法曹の世界、しかも無辜(むこ)の人まで断罪する検察の中に身を置いていると、このように歪(いびつ)な考え方になるのでしょうか。とても一般社会で素直に受け入れられるものではありません。
私はこの連載のはじめにおいて、堀江氏が私に対して理不尽な非難を展開していることを捉えて、
ようなものだ、と述べました。一連の検証作業を終えた今、
とでも言えるでしょう。
前回、
と述べたのですが、それを喩(たと)え話にすると上のようになるでしょうか。
ライブドアが摘発されて3年半をすぎました。刑事事件としては風説の流布とごく一部の粉飾に矮小化され、私が『ホリエモンの錬金術』の中で強調した、上場に際してのゴマカシ(上場詐欺)がいつしか忘れられ、風化してしまいました。私が『ホリエモンの錬金術』で主張したかったのは、ライブドアはもともと上場してはならない不良会社であった、つまり、上場する資格のない会社であった、ということだったのです。
万引きのような微罪(粉飾)で死刑(上場廃止)宣告がなされたようなもの、といったピント外れの議論がまことしやかに横行し、上場詐欺の疑惑に関してはマスコミからも、一般の人からも忘れ去られた感がありました。私も今更この疑惑を掘り起こしてまで問題にするつもりはありませんでした。タイミングとしては遅すぎたものの、ライブドアの上場が廃止され、それを契機として日本の株式市場と会計士監査のあり方が厳しく問い直され、かつてとは様変りの状況に改善されたからです。
ところが、他ならぬ堀江氏自身が私に対する理不尽な非難を始めたことによって、わざわざ上場詐欺の疑惑を掘り起すことになった、いわば寝た子を起すことになったのです。
私は堀江氏本人だけでなく、この人物に賛同する多くの人々からネット上で悪口雑言を浴びせられ、私の名誉と誇りを傷つけられただけでなく、第一線で業務を行っている会計士としての信用を傷つけられ少なからぬ業務妨害をされました。堀江氏の理不尽な言い分をこのまま放置しておけば、私の損害は取り返しのつかないものになると考えて、4年前の記事と同様に、しっかりと時間をかけて検証を行ない、論述を進めてきたのが、一連の検証記事でした。
私の検証結果は、すでに述べた通り、上場詐欺の疑惑が疑惑ではなくなり、事実として堀江氏本人によって証明されたことでした。堀江氏が上場詐欺疑惑という寝た子を起こして騒ぎ立てた結果、上場詐欺の実態が明確に浮かび上がり、事実として確認されたということです。
この諺が鮮(あざや)かに浮かんでくる一幕でした。
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ここで一句。
(余計な心配取り越し苦労、誰でも彼でも手は出さぬ、ヤング 金持ち 姿良し、とっさに人をより分ける。)
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