八ツ場(やんば)ダムの中止と税金ドロボー-1

1.前原国交相は何故はっきりした理由を言わないのか。

 言うべき理由は明白であり簡単なことである。これまで国交省が公表してきた費用対効果(B/C。ビー・バイ・シー、効果を費用で割った値)の計算が誤っていたこと、つまり、効果と費用の計算が共にインチキであったこと、効果が故意に水増しされており、費用が過少に計算されていたこと、これを説明するだけで十分だ。3.4と計算されている八ツ場(やんば)ダムのB/Cの値が、実際のところは、基準値とされている1を大きく下回ることが確実ではないか。だとすれば粉飾である。

 公共事業をするかしないか、あるいは実施中の公共事業を継続するか中止するか、この判断基準を定めているのが政策評価法だ。これまでの自民党政権下での国交省は、道路にせよ、河川・ダムにせよ、この法律を勝手に踏みにじり、数字をいじくり回してはインチキの限りをしてきた。自民党の族議員とグルになって、必ずしも必要ではない事業をデッチ上げては国交省がらみの仕事をどんどん増やしてきた。公金の横領、税金ドロボーである。政治献金という名のワイロと不正役人達の天下り先の確保にも直結するもので、この50年延々と続いてきた自民党政権の悪政のシンボルと言っていい。

2.民主党政権は、全国の、道路、河川・ダム等の全てのB/Cを徹底的に洗い直すべきである。
 典型的なサンプルは、保守王国の名をほしいままにしてきた島根県にある。斐伊川治水事業がそれだ。今から30年余り前にスタートした、この亡国の事業は、膨れに膨れて今や7,000億円の規模にまで膨張した。この事業については、B/Cの観点からすれば、適正な事業規模は1,000億円未満にしかならないものだ。つまり、6,000億円以上がムダということである。
 これまでに費消された予算は5,000億円弱。まだ2,000億円強が着手されていない。せめてこれだけでも直ちに凍結すべきであって、これ以上の税金ドロボーを許してはならない。寄って集(たか)って公共事業を食い物にしてきた政治家と土建業者を、身近なところで眼にしてきただけに許し難いことだ。これまで島根県が長い間保守王国とされてきた裏の実態は、税金ドロボーの天国であったと言っても過言ではない(「粉飾された2兆円」参照)。税金ドロボーの根絶に立ち上った民主党政権に、心からのエールを送りたい。

(この項つづく)

<付記>

 八ツ場ダムについては秀れた検討成果が公表されている。真摯な検討に携った人達に敬意を表したい。

 ・八ツ場あしたの会(八ツ場ダムを考える会)  http://www.yamba-net.org/
 ・八ツ場ダムをストップさせる千葉の会  http://yanbachiba.blog102.fc2.com/

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 ここで戯(ざ)れ歌を一つ。

<落日のエレジー>

○出雲の国に煙(けぶり)立つ
戦い終えて日が暮れて
牙城の死守も徒(いたずら)に
身は空蝉(うつせみ)の心地して

○保守の王国50年
我が世の春と嘯(うそぶ)きて
飲めや歌えと明け暮れた
栄華の夢は今いずこ

○市会・県会・国会と
バッジをつけた集(たか)り虫
お国のカネと民草(たみくさ)を
しゃぶり尽したその跡に
とり残された荒野原

○取り巻き連中引きつれて
揺(ゆ)すり集(たか)りの50年
恨み辛(つら)みを撒き散らし
牙城守れど山河なし

○政権交代その日から
にわかに揺らぐ足下に
ポッカリ開(あ)いた底無しの
淵の深みに沈みゆく

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