検証!! 『ホリエモンの錬金術』-号外12
- 2009.09.22
- 山根治blog
実は4年前、上場前の堀江氏の持株の推移を調べているときに最初に突き当たった矛盾が、この和井内修司氏と小飼弾氏への株式の譲渡でした。どうしても理屈に合わないのです。上場時点から遡ってみたところ、平成11年8月3日になされた1:3の株主割当増資後の株式数と、一年前に譲渡されたことになっている、この2人の株式数が合わない。つまり、合わせて12株の株式譲渡が一年前になされているのであれば、一年後に行なわれた、1:3の株主割当後の2人の株式数は、その4倍である48株になっていなければならないのですが、そうなっていない。2人の株式数が、一年前の12株のままになっているだけでなく、堀江氏の株式数が36株(48株-12株)多くなっているのです。
4年前私は、このいきさつについて、
その後会社は、平成11年8月3日に、発行価格一株5万円で1対3の有償株主割当増資を行なっています。この時、和井内さんと小飼さんに割り当てられたはずのそれぞれ24株、12株の株式が二人の手許にはいかずに、どうやら堀江さんのところに行っているようなのです。つまり、2人に割り当てられた24株と12株は、割当増資の後、一株5万円で堀江さんに譲渡されたのではないかと考えられるのです。
以上の私の推断が正しいものとすれば、この2回の株式の移動、つまり和井内→堀江への24株、小飼→堀江への12株の移動が漏れていることになります。』(『ホリエモンの錬金術-6』)
と述べ、目論見書の記載が正しいものとすれば、1:3の株主割当増資の後、つまり、平成11年8月3日以降に、この2人から堀江氏に36株、一株5万円で譲渡されているはずであり、その事実が目論見書に記載されていないことから、記載モレではないかと指摘しています。
ところが、このたび堀江氏は、目論見書の記載自体に誤りがあり、二人への譲渡年月日がちょうど一年だけズレていたことを自ら明らかにしました。このとき順序が逆になっているといって騒ぎ出し、
といった、逆ギレの言葉が発せられたという訳です。尚、その後間もなく、その後につづく、
の部分が、堀江氏のブログからスッポリと削除されています。
私が記載漏れではないかと指摘したのは、単なる記載ミスといった形式的な誤りを論(あげつら)うためではありませんでした。それから導かれることこそ重要なことであり、まさにインチキ上場のキーポイントであると判断したのです。
私が重要なものと判断した事実は、1株300万円というトホウもない株価の算定が行なわれた、平成11年9月30日のわずか2ヶ月前の平成11年8月3日以降の時点で、一株5万円という価格で現実に売買が行われていたのではないか、ということでした。これは私が逆算した結果から導き出した推断でしたが、このたび堀江氏が、
ことを明らかにしたことによって、私の推断は推断ではなくなり、確定的な事実になったのです。同じことは、平成10年4月30日に譲渡されたことになっている、有馬晶子氏から堀江氏へ48株、宮内亮治氏へ2株、一株5万円での譲渡が、実際には平成11年8月3日の1:3の株主割当増資の直前になされたものであり、1年3ヶ月ほどバックデイト(日付の捏造)されていることからも言えることです。
このことは次のことを意味しています。
オン・ザ・エッヂの株式の時価として、
+平成11年8月3日に、 一株 5万円。
+平成11年9月30日に、一株300万円。
という二つの時価が存在したということです。この間、わずか2ヶ月弱、しかも会社の内紛があって、10人ほどのスタッフが会社から離れていき、会社の業績が一段と悪化した時期のことです。
1.の平成11年9月30日における300万円の時価は、資本還元率を20%としたDCF法をベースに算定されています(目論見書、P.76、注5)が、2.の平成11年8月3日における5万円の時価についても、同じDCF法で計算したらどうなるというのでしょうか。どのように数字をいじっても、この2つの時価に整合性を与えることは不可能です。つまり、株式の評価方法が同一であるならば、このように60倍もの開きが生ずることはあり得ないのです。
つまり、特別利害関係者間での上場前の株式の移動状況は、上場審査において重要なチェック項目であることから、上記のような指摘をまぬがれるために、わざわざ一年あるいは一年三ヶ月だけ譲渡の時期を遡らせた(バックデイト)ということです。私が単なる記載ミスではなく、一定の意図、つまり隠蔽の意図をもってなされた捏造の足跡であると称した所以(ゆえん)です。
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ここで一句。
(それを言うなら行かず後家。)
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