検証!! 『ホリエモンの錬金術』-18
- 2009.09.22
- 山根治blog
さて、いよいよ私の検証作業も最終段階に入ってきました。これまでの検証作業によって明らかになったことをまとめてみることにいたします。
まず、私が、『法定資料で開示されている有馬さん絡みの以下の4つの事実は、ウソである可能性が高く、それが立証されるならば、ホリエモンの“完全犯罪”はもろくも崩れてしまうのです。』(『ホリエモンの錬金術-11』)として摘示した、4つの事実は次の通りでした。
+平成10年4月30日、額面金額一株5万円で、有馬晶子→堀江貴文へ48株、有馬晶子→宮内亮治へ2株、譲渡されたこと。
+平成10年8月3日、額面金額一株5万円で、堀江貴文→和井内修治へ8株で、堀江貴文→小飼弾へ4株、譲渡されたこと。
+平成11年11月5日、一株300万円で、有馬晶子→堀江貴文へ120株、譲渡されたこと。譲渡価額3億6千万円。
+上場直前の株式960株(評価額57億6千万円)が有馬純一郎名義であること。
これら4つの事実のうち1.~3.の事実は、オン・ザ・エッヂが上場に際して提出した、新株式発行届出目論見書の中の、“株式公開情報”の第一番目に開示されている「特別利害関係者等の株式等の移動状況」の主要部分です。ここで開示されている情報について故意の偽りがあるとしたら、上場審査をパスすることはまず不可能であるとされているところです。
検証作業の総括は次の通りです。
1.について
実際に譲渡されたのは、平成10年4月30日ではなく、それより一年三ヶ月余り後の、平成11年8月3日の直前であった。一年三ヶ月ほどのバックデイト。
2.について
実際に譲渡されたのは、平成10年8月3日ではなく、それより一年後の平成11年8月3日であった。一年のバックデイト。
3.について
+譲渡契約日とされている平成11年11月5日には3億6千万円の現金の受け渡しはなされていない。虚偽の金銭消費貸借契約書の作成。
+平成11年12月17日に堀江氏が、大和証券SBCMと光通信パートナーズに持株を売却して受け取った1億2千万円が、有馬晶子さんに右から左へと渡されたかどうかについては不明。渡されていない可能性大。推断の根拠については、号外9で詳述。
+有馬家に5億円ほどの現金が実際支払われたのは、平成14年8月4日以降。5億円の趣旨と支払時期についての堀江氏の説明は、二転三転。
オン・ザ・エッヂが上場するときに開示した、株式公開情報の重要部分が捏造されたものであり、虚偽であった、-このことは、4年前の時点では、推断の域を出なかったものですが、このたびの堀江貴文氏の“自白”、つまり語るに落ちたことによって、確定的な事実となったのです。会社と上場を担当した証券会社、更には、監査を担当した会計士とがグルになって、重要情報の捏造を行ない、新株式発行届出目論見書に虚偽の記載を行なったことが、推断ではなく、事実として確認されたということです。
ことに監査責任者であった二人の会計士、小林元氏と高野伊久男氏は、監査報告書に適正意見を表明しているものの、実際の監査をほとんどしていなかったものと思われます。盲(めくら)判を押していたのでしょう。
この二人は、オン・ザ・エッヂの第3期(自平成10年3月1日、至平成11年2月28日)と第4期(自平成11年3月1日、至平成11年9月30日)の二期について監査報告書を提出しています。上場直前の二期ということです。
第3期と第4期の売上高は、それぞれ259百万円と263百万円となっており、仮にこの売上高とそれに対応する経費が適正なものであったとしても、監査対象はそれが全てではありません。ことに、第4期は、2回(平成11年8月3日と同年9月30日)にわたって増資が行なわれ、資本金が1,000万円から3億4千万円へと増加し、資本準備金がゼロから3億円へと増加しています。上場を直前に控えた会社の監査としては、監査の最重要項目であったはずの資本項目の監査がなされていないのです。
たとえば、筆頭株主である堀江貴文氏の持株は580株(平成11年9月30日現在)、その取得の経緯を検討するだけで、バックデイトの実態は容易に把握できたはずです。更には、上場後の第5期(平成12年9月期)も同じ2人の会計士が監査をしているのですが、堀江氏の上場時点における持株7,920株の取得資金の内訳を確認し、チェックするだけでも、架空の金銭消費貸借契約の存在とかバックデイトの実態は簡単に解明できたはずです。あるいは、堀江貴文氏が会社から17,687千円借り入れをしている(平成11年9月30日現在のB/S上に、役員に対する短期貸付金として計上。)事実がありますが、その借入の趣旨とか、監査報告書の提出日(平成12年3月6日)までに返済がなされているかいないか、返済がなされているとしたらその返済財源は何かなど、少し探りを入れるだけで、堀江氏を含む数人が創り上げたインチキスキームは、たちどころに馬脚を現わしたことでしょう。
また、監査対象である附属明細表の1つ、資本剰余金明細表(目論見書、P.58)の記載が誤ったままになっており(3億円とすべきところが3千万円となっている)、訂正されていないことからも、いかにおざなりの監査であったか判明します。ちなみに同目論見書は、平成12年3月8日に提出された後、4回も訂正報告がなされているものです。会計士だけでなく、マザーズにおける上場審査でも書類のチェックなどまともにしていなかったということでしょうか。
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ここで一句。
(原発は事故一瞬の危険物。CO2出さぬと言って胸を張り。)
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