検証!! 『ホリエモンの錬金術』-13

 まず、堀江氏の発言を整理してみることにします。(“検証!!『ホリエモンの錬金術』-12”)



***“「ホリエモンの錬金術」サイト批評2”本文より

+A氏親子とのやり取りは、(部下の)宮内氏と中村氏に任せていた。

+上場時の大量保有報告書には、2億6千万円のA氏からのローンを受け、株を買い取っていることになっている。

+2.については(当時)宮内氏から、A氏がA氏の娘に2億6千万円支払ったと聞いていた。

+しかし、実際には(そうではなく)、野村の簿価上げクロスの時に(山根注:堀江氏は、平成14年8月8日に野村証券に1株398千円で20,632株を売り、翌日同一価格で19,032株を買い戻すことによって税務上の取得価額を引き上げると共に、差し引きで1,600株を売り抜け、6億円余りを手にしています。)堀江氏から直接支払われた。

+4.の時点での支払額は、5億円程度であった。利息分(山根注:平成11年11月5日から同14年8月9日までの、2年9ヶ月間の利息ということです)を含めて5億円程度であった。

+(支払が遅れ、これだけ多くの利息を支払うことになったのは)上場後株価が上がらなかったことから、持株を売って借金(山根注:借金ではなく株代金の未払金)を返済(清算)できず、約束した期限を2回も繰り延べしてもらったからだ。

+A氏の残りの株は光通信キャピタル(山根注:実際には光通信パートナーズ)と大和証券SBCMに譲渡された。

以上までが、3億6千万円の譲渡代金についての、本文における堀江氏の説明です。堀江氏は追記の中で、次のように補足説明をしています。

***“「ホリエモンの錬金術」サイト批評2”追記より
+(本文の中の7.の事実は間違っており、本当のところは)A氏は、持ち株の全て(山根注:120株)を一株300万円で堀江氏に売り渡した。代金は3億6千万円。
+1.のうち、1億2千万円分(の40株)は光通信キャピタル(光通信パートナーズ、10株)と大和証券SBCM(30株)に転売した。
+1.と2.によって、A氏からの買取価格は実質的には2億4千万円となる。
+(本文の中の2.と3.で2億6千万円と言ったのは誤りで、本当のところは)2億4千万円がA氏の父親から借り入れた形式になっていた。
+その2年後に(山根注:正確には2年9月後に)持ち株を(1,600株)売却して、利子を含めて5億円程度を支払った。
+5.の事実があったために、(著書の中で言っているように)A氏に5億円支払ったという記憶になるわけである。
 堀江氏は、有馬晶子さんから買い取ったとされる、120株(3億6千万円相当)の経緯について以上のように発言しているわけですが、これを見て一体何人の人がスンナリと理解し納得することができるのでしょうか。
 会社名が間違っていたり(光通信キャピタル→光通信パートナーズ)、金額が間違っていたり(2億6千万円→2億4千万円)するのは、単なる記憶違いということで流すこともできるでしょう。しかし、堀江氏の文章の中には、単なる記憶違いとか書き違いでは説明できない不可解な記述が見受けられます。
 その最たるものは、A氏とA氏の娘とがゴチャまぜになっていることです。このことは、『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』の中でもいたるところで見受けられるところです。

 具体的に言えば、-
-本文の、1.~3.の「A氏」は父親である有馬純一郎氏のことのようですし、
-追記の、1.3.4.6.の「A氏」は有馬純一郎氏の娘である有馬晶子氏のことのようなのです。
 このような混乱が生じているのは、単に堀江氏の文章表現能力に欠陥があるだけでなく、こと出資金というお金の件に関しては、堀江氏の中では親娘が一体のものであったことを窺(うかが)わせるものです。単なる書き間違いではなく、金銭の面では親子一体であったというのが実態ではないかということです。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“味方かと 思えば敵になる 銀行” -福岡、只乃愚痴。

(毎日新聞、平成21年5月21日付、仲畑流万能川柳より)

(変り身の早さで競うカメレオン、もとをただせば高利貸。)

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