粉飾された2兆円 -8

 年便益(B-2)をもとにして、総便益(B-3)を導く計算式は次のとおりです。(『マニュアル』P.41)

<%image(20080610-image001.gif|135|61|年便益の計算式)%>

-bt: t年における年便益

-r: 割引率(0.04とする)

-S: 整備期間(年)

ここでBは総便益(B-3)のことですし、btは年便益(B-2)のことです。上の計算式は、治水施設が完成してから50年の間の年便益(年4%で割引還元したものです)の総合計(総和)を計算するものです。尚、公表されている平成17年4月版の『マニュアル』には、上のBに治水施設の残存価値を加えるようになっていますが、平成12年5月版の『マニュアル』にはこの残存価値が総費用(C)の控除項目になっており、総便益の加算項目ではありません。ちなみに、斐伊川水系全体の治水事業の総費用は、すでに述べましたように6,047億円ですが、その内訳として、
+建設費 5,851億円
+維持管理費 419億円
+残存価値 △223億円
となっています。
 ここでは、総費用の控除項目になっている、平成12年5月版の『マニュアル』に従って、総便益(B-3)の計算には残存価値は関係しないものとします。それにしても、200億円余りの残存価値を分母(総費用)から差し引いてみたり、あるいは一転して、分子(総便益)に加えてみたりと、もっともらしい屁理屈をつけて、なんとも楽しそうにキャッチ・ボールをしていますね(「治水経済調査マニュアル(案)の見直しについて」、平成15年10月17日)。いずれにせよ、今私が吟味検討しようとしているB/C(ビー・バー・シー)比率には、残存価値が分子と分母のどちらにいこうともさほどの影響がありませんので、総費用の控除項目のままとしておきます。

 さてそこで、さきに掲げた年便益の総和(これがB-3です)の計算式によって、年便益(B-2。式の中のbtです)を逆算してみますと、
-年便益(B-2)は961.7億円
となります。これは、「年便益の計算式」に、期間(t)を50年とし、総便益B=2兆658億円(20,658億円)、割引率r=4%の値を入れて出したものです。
 このように、年便益を逆算してみますと、
-961億円
となるのですが、この961億円という金額の意味するところは、

『この治水工事をすれば、毎年961億円以上の水害を防ぐことができる』

ということです。前回述べましたように、年便益(B-2)とは、『年平均軽減期待額』のことだからです。別の言い方をすれば、この治水工事をしなければ、『毎年必ず961億円以上の水害被害が発生する』ということでもあります。

“毎年必ず961億円以上の水害が発生する”

-これは一体どういうことでしょうか。本当にこのようなことがあるのでしょうか。実は全くあり得ない、絵空事(えそらごと)なのです。全くあり得ないことを論証するために、次の2つの方法を用いることにいたします。
 一つは、実際に起った過去の水害を振り返ってみる方法、つまり経験則に照らしてみる方法です。
 今一つは、論理的な矛盾を導き出す方法です。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“近所では 暫定夫婦と 呼ばれてる” -湖西、宮司孝男。

(毎日新聞、平成20年4月23日号より)

(“暫定の 期日がきたら ひと揉(も)めし”)

***<今の松江> (平成20年6月1日撮影)
東本町三丁目川端のあおさぎ 南田町の堀川
<左:東本町三丁目川端のあおさぎ> <右:南田町の堀川>

瀬田橋(北田町) 普門院橋へ
<左:瀬田橋(北田町)> <右:普門院橋へ>

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