孤高な碩学からの贈りもの 1
- 2008.02.12
- 山根治blog
昨年の暮に、一冊の本が届きました。北野弘久著、『税法学原論』-第六版(青林書院)です。日本における税法学の教科書として名高いこの本は、1984年の初版以来版を重ね、2007年12月20日付で第六版。著者自ら、贈って下さったものです。
会計事務所を経営していく上で、北野先生の『税法学原論』-初版は、私の座右の書であり、バイブルでした。税務署を相手にしてドンパチをやるときにはその都度目を通し、どれだけ勇気づけられたか分かりません。
このたびの第六版は、文字通り私にとっては記念すべきものとなっていました。私の冤罪事件(「冤罪を創る人々」で詳述しています)を明確な形で取り上げて下さっているからです。第六版の序文で、
とされ、本文においては、
と、分かり易い明解な言葉と論理構成によって無罪論を展開して下さいました。
更には、この記述の注記として、
と説明が付されています。これは私達実務に携わる者としてはごく当然の扱いなのですが、このとき立件した検察官だけでなく、判決を下した裁判官も全くの無知であったことが、法理論だけでなく、税務の実際にも通暁されている、税法学の権威によって明らかにされたのです。
注記は、これに加えて引き続き、
と、はっきり冤罪と断定して下さいました。
一人の職業会計人として、北野弘久博士を従来から師と仰ぎ、先生の「税法学原論」をバイブル的な存在としてきた私にとって、その最新版である第六版において、私の無実を宣言していただいたことは、感激であり、何よりも光栄なことでした。
尚、北野先生が取り上げて下さった冤罪は、私の事件の中の本件部分ではなく別件部分についてです。本件部分は、検察と一体になっている感のある裁判官でさえも有罪にはできなかったほどのヒドイ「デッチ上げ」で、私が「冤罪を創る人々」で主なテーマとしたものです。
付録のようにくっつけられた、別件の有罪が確定したことによって、3年間資格(公認会計士、税理士)が抹消された訳で、その有罪確定について北野先生は冤罪であったと公言して下さったのです。
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ほどなく傘寿(さんじゅ、80歳のこと)をお迎えになる師の、瑞瑞(みずみずし)さをイメージして一首。
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