裏金アラカルト 9
- 2008.01.29
- 山根治blog
フィクサーであるO.H.氏についての詳しい情報を寄せてくれたのは、異国で仕事をしている「友人の友人の友人」でした。私の直接の友人に依頼してから二週間余り過ぎた頃、二枚の用箋にビッシリと書き込まれたO.H.氏の身上書が届きました。複数の現地在住者に聴き取り調査をしたレポートです。19××年9月21日付のもので、ヒルトン・インターナショナル(バーレーン)の用箋に記されたものです。私が友人に依頼したのが、19××年9月8日、実際にレポートを受け取ったのが19××年9月26日ですから、18日ほどかかったことになります。
その内容はおおむね次のようなものでした。
国のコネクションをもとに、その国のスーパーマーケット「○○」を経営したり、ウナギの養殖にも手を出したが、いずれも行きづまり、昨年1月頃、夜逃げ同然で一家が雲隠れした。現地の日本人会の話によると、1年間ほど会費を滞納したので除名扱いにした。しかし、今年の6月に再び日本人会にふらっと現れて、「もう一度日本人会に登録したい」と言ってきたが、まだ会費は払われていないので、保留にしているとのこと。
人柄は一見朴訥(ぼくとつ)に見えるが、口は上手であり、アイデアマンとの評がなされている一方、かなりの野心家と見る向きもある。大部分の人が言うには、「あの人には関わらない方が良い。周囲が手を焼いている」とのこと。但し、ここの邦人社会は全部で1000人足らずであるため、具体的なことは余り教えてもらえない。おそらく、金銭問題(踏み倒し)ではないか。』
更には、O.H.氏の出身大学である××大学との関連についても記されていました。ちなみに、××大学は、首相経験者である大物政治家がバックにいることで知られている私立大学です。
友人にO.H.氏の身元調査を依頼する際に、氏名、生年月日、現住所、出身地、出身大学のみを記し、大学の裏金疑惑はもちろんのこと、ODA案件についても全く触れていませんでした。それだけに、現地でささやかれている××大学に関する裏情報までが盛り込まれているのに驚いてしまいました。
先入観なしで作成された、この生々しいレポートは、O.H.氏がODAという二つの国がからむ国家プロジェクトにかかわるに至った背景を雄弁に語るものとなったのです。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(口入れ屋とか女衒(ぜげん)が派遣業に、高利貸しが消費者金融に、乗っ取り屋とか総会屋がMファンドに。それぞれがもっともらしい大義名分を掲げて正業を装っているものの、怪しげな中味は変らず。一世を風靡(ふうび)したヒルズ族の多くがサギ師だったりして。)
-
前の記事
裏金アラカルト 8 2008.01.22
-
次の記事
裏金アラカルト 10 2008.02.05