116 容疑者

****(3) 容疑者 ― 犯罪の疑いを持たれている者で、逮捕された者 ―

一、 容疑者という言葉は、刑事訴訟法上のものではなく、一般に、被疑者が逮捕された場合に使用されているようである。

二、 私のタイトルが、被疑者から容疑者に変わったのは、平成8年1月26日午前8時40分、松江地方検察庁の三階にある地検検事室において、二人の検察事務官立会のもとで、中島行博検事が私の面前で逮捕状を読み上げて、執行した時である。
このときの逮捕容疑は、「公正証書等原本不実記載、同行使」であり、明らかに別件逮捕であった。

三、 逮捕されて容疑者となると、身柄が拘束されるほかは、法的には被疑者であることに変わりはないものの、一般社会の取り扱いが一変する。
各マスコミが一斉に報道に踏み切り、容疑者に対して集中砲火が浴びせられる。社会的制裁の最たるものだ。
私の場合、時期が確定申告の直前ということもあって、公認会計士による大型脱税事件というセンセーショナルな標題のもとに、マスコミの恰好の餌食にされた。この為、私の妻は、十日程体調を崩し、寝込んだほどである。

四、 推定無罪という言葉がある。何人(なにびと)といえども、刑が確定するまでは、無罪であると推定されるというものだ。
建前は確かにそうである。しかし、実際には、逮捕されただけでマスコミのバッシングによって、犯罪人として指弾され、社会的生命が葬り去られることが多い。推定無罪ならぬ推定有罪である。これが日本社会の現実である。

 

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