A13 ハニックス工業 事件の真相 13
- 2005.02.17
- 経済事件ノート
***(8)倒産の真相
私が確信するに至ったハニックス工業倒産の真相は、 ―
関連会社の倒産を背景にして、一部情報機関が会社の信用不安説を流し、銀行筋が信用供与に慎重になった。
このような状況の中で、東京国税局が、虚構のシナリオによる脱税の告発を行ない、マスコミに公表した。
この告発は単なる脱税の告発ではなく、証券市場におけるディスクロージャーの根幹を傷つける自己株式の不正取得とその売却を内容とするものであった。
金融筋は、次のように考え、融資の特信条項に抵触するものと考えたのではないか、 ―
店頭公開に際して証券市場から2百億円以上調達した会社が、自己株式を操作することによって最高値に近いところで売り逃げ、32億円もの利益をあげながら隠匿していた。株式市場に対する重大な背信行為である。しかも国税局のマルサによる告発であるから間違いないだろう。
会社は証券取引法の複数の条項に違反しており、店頭登録抹消は避けられない。会社とそのグループは、株式を店頭登録することによって大きな信用を獲得し、急激な与信の増大を背景に、業績を伸ばしてきた。
店頭登録の抹消は、この会社の場合決定的なダメージとなり、倒産は不可避である。
各金融機関が、融資との相殺権を盾にして150億円もの預金を直ちに封鎖したのはこのような事情からであったろう。
つまり、会社は単なる脱税報道によって倒産したのではない。脱税の中身である自社株の取得と売却が、改正前の商法と証券取引法に違反する重大な犯罪行為であり、それが一般に真実であると受けとられたために倒産したのである。
しかも、すでに述べたように、およそ、株式を公開している会社が不正な自社株の取得をすることなど現実には想定しがたいことであった。
マルサが架空のシナリオを創り上げてH氏を犯罪者に仕立てあげ、会社を倒産せしめ、H氏を死に追いやったのである。同時にマルサは、本来は徴収することができない17億円余りの重加算税を含む税金を会社から騙し取ったことになる。マルサが欺取した17億円余りは、会社が倒産した現在、会社の債務者に返還されるべき筋合いのものであろう。
***(8)倒産の真相<br />
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