悪徳会計屋の経済事件ノートvol.8

2005年01月20日 第8号 発行部数:379部

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悪徳会計屋の経済事件ノート

なぜ上場会社社長は国税局ロビーで壮絶なる自殺を選んだのか。
国税局OB税理士が納税者を食いものにする手口とは。
税務署とマスコミから悪徳会計士の烙印を押された
会計のプロが税金法律金融事件の深層に迫る。

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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●ハニックス工業事件の真相

「ハニックス工業 事件の真相 8」より続く
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2. 自己株式

(1) 自己株式とは

まず第一に目につくのは、自社株のことである。

自社株 ― 商法上自己株式といい、現在は商法改正によって合法
的に取得できるようになっているが、当時は原則としてその取得が
禁じられていた(商法210条)。会社が「何人の名義を以ってす
るを問わず、会社の計算に於て不正に其の株式を取得し…たるとき」
は、会社の役員等は、会社財産を危うくする罪として「五年以下の
懲役又は三十万円以下の罰金に処す」ものとされていたのである
(商法489条)。

当時の証券取引法は、会社が不正に自己株式を取得することを全
く想定していない。不正な自己株式の取得など、証券市場に対する
重大な背信行為であり、株式を一般に公開している会社において、
あってはならないことだからだ。

仮に国税当局が認定したように、ハニックス工業が商法の禁止規
定を潜脱するために、個人名義に仮装して自己株式を取得したこと
が事実であるとすれば、有価証券届出書もしくは有価証券報告書に
虚偽の記載があったとして、株主等から賠償責任を問われ、更に店
頭登録の取り消しさえなされる可能性があるほかに、刑事的には商
法の会社財産を危うくする罪(五年以下の懲役)及び証券取引法の
虚偽記載罪(三年以下の懲役)に問われる可能性がある。事実とす
れば、まさに証券市場における前代未聞の不祥事である。

企業経営者、とりわけハニックス工業のH社長のようなオーナー
経営者が、このような危険きわまりない自己株式の取得など思いつ
くであろうか。これが第一の疑問点であり、かつ最大の疑念である。

商法が懲役刑まで用意して禁止している自社株の取引という犯罪
行為を、名義を個人に装ってまで敢えて実行に移すからには、オー
ナー経営者であるH社長に、やむにやまれぬ事情があったか、ある
いは、大きなリスクをしのぐメリットがあったか、いずれにせよ具
体的かつ客観的な理由がなければならない。

経営権の争奪をめぐって、会社経営者が自らの地位を保全するた
めに、あるいは、株価を維持もしくは高騰させるために、会社の資
金で自社株を買い集めることは想定しうることではあるが、ハニッ
クス工業の場合には全く当てはまらない。マルサの指摘している自
己株式の取得は、30万株を超えないものと推定されるが、店頭登
録前の株式取得であり、かつ、店頭登録前に五回に分けて行なわれ
た新株の発行株数706万株(平成元年12月4日の3割無償、及
び同2年4月24日の株式分割を加味して換算したもの)のうちの
5%にも満たないものであるからだ。

この他に、やむにやまれぬ事情というのは、どうしても思いつく
ことはできない。

では、大きなリスクをしのぐメリットがあったのであろうか。

東京国税局は、法人所得として申告するのと比較して、個人所得
であれば、半分の20%で済むというメリットを指摘し、脱税の動
機としているようである。

このことが果して脱税の動機となりうるものなのか、これが第二
の疑問点である。仮に脱税の動機たりえないことが明らかになり、
かつ、その他の動機が見あたらないものとすれば、第一の疑問点が
解明され、不正な自己株式の取得という国税当局の認定そのものが
怪しくなってくる。

(次号へ続く)

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