冤罪を創る人々vol.31
- 2004.10.19
- メールマガジン
2004年10月19日 第31号 発行部数:245部
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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-
日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ) 昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
http://www.mz-style.com/
【お知らせ】
「冤罪を創る人々」が週刊ダイヤモンド(※10月25日発売の
10月30日号)にて取り上げられることになりました。
週刊ダイヤモンド http://dw.diamond.ne.jp/
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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態
「(10) 日常業務の処理」より続く
http://www.mz-style.com/item/129
(11) 盗聴とひっかけと尾行
一、 平成8年2月6日、午前10時45分から11時4分まで中村
弁護士と面会。中村弁護士曰く、「自宅の奥さんの方に、野村証券
から電話があり、“逮捕直前に山根から解約の申し入れがあった。
300万円程どこに送金したらよいのか、銀行の口座番号を教えて
欲しい”と言ってきた。自分にはよくわからないので、聞いてきて
くれと言われた。」
山根:「現在はどこの証券会社とも取引していない。かつて取引して
いたのは、コスモ証券だけで、2年半前にNTT株100株を売却
してから一切の取引はない。野村証券など全く関係ない会社だ。検
察かマルサのひっかけではないか。妻から私の隠し口座を聞き出そ
うとしたのではないか。」
私に隠し口座などあるはずがない。薄汚い手を使う連中である。
二、 平成8年2月8日、午前11時から11時30分まで、中村弁
護士と面会。
中村弁護士曰く、「中村法律事務所と自宅の電話にザーッという
雑音が入るようになった。山根事務所と山根の自宅にも同じような
音が入っている。どうも盗聴されているようだ。N通信かT電気に
頼んで調べてもらってもよろしいか。」
山根:「徹底的に調べてもらって下さい。」
中村弁護士:「もっとも盗聴してもらったほうが、かえっていいかも
しれませんね。自分は皆さんに、良いとか悪いとかの判断は必要な
い、事実ありのままを話せばよいと言っているんですから。」
山根:「今度誰かとの電話の中で、マルサにごくローサンとでも言っ
てエールを送ってやったらどうですか。盗聴しているとしたら慌て
るでしょうね。」
中村弁護士は、盗聴の証拠をつかんだら島根県警に告発すると
言った。
私は、翌日の取調べの折に、中島行博に対して盗聴の件を伝えた。
同年2月9日、午後4時30分頃である。
先日は、野村証券の名をかたった「ひっかけ」、今度は盗聴とき
た。まさに何でもありの世界である。検察の正義の砦としての誇り
はどこに行ってしまったのであろうか。
三、 平成8年1月26日、私が逮捕されてから、主な人物に尾行が
ついた。私の妻、元組合長の福山義弘氏、職員の大原輝子氏と古賀
益美氏、それに中村弁護士の6人である。尾行をしたのは、マルサ
の連中であろう。
尾行に気がついたのは、古賀氏であった。背後に気配を感じてふ
りむくと、常に同じ二人がいたというのである。二人のうちの一人
は、中年の小太りの女性であった。
(12) 起訴後の捜査
一、 私は、平成8年2月15日、別件の公正証書原本不実記載同行
使容疑で、同年3月7日、本件の法人税法違反容疑で起訴された。
(続きはWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/133
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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
http://consul.mz-style.com/catid/21
・ゴーイング・コンサ-ンの幻想-1
平成16年10月13日、テレビ各社は西武鉄道グループのオーナー
経営者である堤義明さんがグループ各社の全役職を辞任し、経営の第
一線から身を引くことを一斉に報道しました。驚きましたね。
翌10月14日、新聞各社はより詳しく辞任の背景を説明していま
したので、目を皿のようにして読んでみました。またまた驚きました
ね。
上場会社である西武鉄道が作成していた有価証券報告書に誤りがあっ
たために訂正し、その責任を取ったというのです。
西武鉄道の筆頭株主である(株)コクド(未公開会社)を、株式の
43.16%を保有する“関連会社”であると公表していたのを、
64.83%を保有する“親会社”に訂正したというんですね。
更に、(株)コクドの100%子会社である(株)プリンスホテルの持
株比率を0.98%から4.20%に訂正しています。
この結果、(株)コクド、(株)プリンスホテルを含む大株主上位10
社の保有比率が88.57%になり、「特定少数者の比率が80%を
超えた場合」と定めた上場廃止基準に触れることになり、東京証券取
引所は10月13日付で西武鉄道株を監理ポストに移し、真相究明の
ための調査を開始。
現在は、(株)コクドの持株を第三者に譲渡することによって、10
社合計が80%を切り、74.9%となっているようです。ただ、長
い間80%を超えた状態が続いていたようですし、特に平成12年3
月期末と同13年3月期末には、それぞれ91.19%、90.64%
と90%を超えており、上位10社の持株が90%を超えた場合には、
猶予期間を置かずに上場廃止にすると定めた基準に触れています。今
後の調査次第では上場廃止になるかもしれません。
以上が各メディアが報じた大要ですが、私が本当にびっくりしたの
は、堤さんが記者会見で話した内容でした。なんてことを言うんだ、
といった感じでしたね。
“昔から続けていたことで、法律が変ったことに気がつかなかったとい
うボケた話で、…悪意を持ってやったことではない。西武鉄道の株価
は中身と比べて安すぎると考えている。解散しても(一株当たりの資
産価値は)もっと高い。上場廃止になっても損をしたということには
ならないのではないか。そもそもなぜ西武鉄道を上場しなければなら
なかったのか私にはわからない。”
(日本経済新聞、平成16年10月14日付)
まず、前段について。このたび訂正された株式が2社合わせて、
24.89%と、西武鉄道の発行済株式の実に4分の1にも達するも
ので、株数にして1億株を超えるものです。しかも、5億円を超える
配当金が毎期この2社にまとめて払い込まれていたというのです。つ
いうっかり忘れていたとか、法律が変ったことに気がつかなかったと
かで通る話でしょうか。堤さんは、“ボケた話で”などと、トボケて
いるようですが、さて。
次に、後段について。堤さんは仮に上場廃止になっても、決して株
主に迷惑をかけることはないと開き直っているようです。本当でしょ
うか。私には堤さんがネボケたことを言っているように思えてなりま
せん。
そこで、西武鉄道の財務諸表(平成16年3月期)を調べてみまし
た。
総資産は一応9,765億円となっていますが、これはあくまでも、
会社が継続していく(ゴーイング・コンサーン)という前提で計算さ
れたもので、しかも会社の実態を必ずしも正確に反映するとは言い難
い現在の会計基準によっていますので、上場廃止→解散という前提に
立って大雑把に洗い直してみます。
すると、まず前払費用とか繰延税金資産といったもともと資産価値
のないものが合計で257億円もありますので、まずそれを差し引き
ます。
次に関連会社に対する債権とか株式が合わせて2,261億円あり、
各関係会社の業態はあまり芳しくないようですので、少なくとも30%
の評価減(678億円)は必要でしょう。既に33億円程の引当金が
ありますので、引当不足として678億円マイナス33億円の645
億円を差し引きます。
主な資産である鉄道事業等の固定資産の評価はそのままとしても、
総資産は9,765億円から257億円と645億円とを合わせた
902億円を差し引いた8,863億円となります。
一方負債の方は9,282億円となっていますが、この中には債務
ではない準備金が227億円含まれていますので、これを差し引いて
計算しますと、9,055億円となります。
すると、取り合えず洗い直した資産8,863億円から、負債
9,055億円を差し引くと192億円の欠損ということになり、株
主資本(純資産)はマイナスになります。
公表されている株主資本は、プラス482億円ですが、ゴーイング・
コンサーンという幻想を取り払ってみただけでも、683億円もの評
価減等が考えられ、一転してマイナスの192億円に転じてしまうの
です。このことは、4億3千万株強発行されている西武鉄道の株式が
単なる紙切れになってしまうことを意味しています。
西武鉄道株式会社 決算短信・開示情報
http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/kessan/
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
“オーナーと言っているけどサラリーマン” -八王子、寝太郎
(毎日新聞:平成16年10月4日号より)
(プロ球団のオーナーと称する人達はほとんどがオーナーもどきのサラ
リーマンのようです。堤さんだけは西武グループの総帥として揺るぎ
ない経営体をバックにした真のオーナーだと思っていたんですが。)
****注)メールマガジン発行後、「ゴーイング・コンサ-ンの幻想-1 」を一部訂正しました。訂正後の文章については「西武鉄道 : ゴーイング・コンサ-ンの幻想-1」をご覧ください。
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