冤罪を創る人々vol.32

2004年10月26日 第32号 発行部数:249部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-



    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。

    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。

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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ

 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント

http://www.mz-style.com/



【お知らせ】



 「冤罪を創る人々」が週刊ダイヤモンド10月30日号にて取り

 上げられました。特集「丸ごと一冊 図解 節税入門」の中の

 「突撃レポート 冤罪だった“脱税日本一” 国家権力との10年

 間の死闘」(P.80~82)という記事です。書店・コンビニ等で

 ご一読していただければ幸いです。



 週刊ダイヤモンド10月30日号

http://dw.diamond.ne.jp/number/041030/



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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態



三.公判の現場から



(1) 第一審



(ア) 冒頭陳述

 

一、 平成8年5月7日、第一回公判が開かれ、公判検事立石英生は、

 松江地裁第31号法廷で冒頭陳述を行った。

  立石が作成した49ページの冒頭陳述書には、4つの計算図表が

 別紙として添付されている。



(別紙1.)資金の流れチャート図

  売買代金1.650百万円の流れが追跡されており、このチャー

 ト図自体は正しいものである。B4版、一枚。



(別紙2.)逋脱所得の内訳明細書

  組合の3事業年度にわたって、費目別に逋脱(不正)所得が列挙

 されており、それぞれの証拠として査察官調査書が挙げられている。

 検察がマルサと共に捏造した中核部分である。B4版、4枚。



(別紙3.)修正損益計算書

  組合の3事業年度にわたって、公表金額に別紙2.の逋脱所得を

 加味して計算した損益計算書。別紙の逋脱所得が虚構のものである

 ので、これら修正損益計算書も虚構の産物である。B4版、8枚。



(別紙4.)税額計算書

  組合の3事業年度にわたって、別紙3.で計算された修正課税所

 得をもとに算出された法人税と脱漏税額の一覧表。修正課税所得が

 虚構であるので、これら各年度の脱漏税額も虚構である。B4版、

 1枚。



〈脱漏税額〉

 (1).平成3年3月31日期 203,356,200円

 (2).平成4年3月31日期 250,131,600円

 (3).平成4年5月22日期  67,231,700円

           合計 520,719,500円

 

二、 初公判において、検事立石英生が読み上げる冒頭陳述を、私は

 被告人席で聴いていた。

  はじめのうちこそ、立石は、私を含めた各被告人の経歴と組合が

 42億6000万円の移転補償金を受け取るに至った経緯について、

 事実に即して述べていたものの、途中から、荒唐無稽なことを言い

 始めた。神聖であるべき刑事法廷の場で、虚構のストーリーが、検

 事立石英生によって展開されたのである。



三、 被告人席にあった私は、現実の出来ごととは思えない気持で耳

 を傾けていた。禍々しい言葉が次から次へと立石の口から繰り出さ

 れ、私は胃が締めあげられる思いを味わった。



 「仮装売買」

 「4億円の融資」

 「共謀」

 「還流」

 「仮装取得」

 「謀議」

 「実在しない財団法人松江支部」

 「税務上のフィクション」

 「代替資産として取得したこととして」

 「捏造」

 「罪証隠滅工作」

 「犯行」



四、現時点で、改めて立石英生が創りあげた虚偽の冒頭陳述書を読み

 返してみると、当時の法廷の状況がくっきりと甦ってくる。

  小太りで背の低い立石英生のしまりのない顔と、背広の胸につけ

 られた検事のバッジとが、不協和音と共に私の脳裏を去来する。

  秋霜烈日 ― 検事の白いバッジに託された検察の理念と、立石英

 生の負のイメージとが余りにも離れすぎているのである。



五、 立石が無理に無理を重ねて私を罪人に仕立てあげた冒頭陳述書

 は、ほとんど全てが捏造であり、虚偽の作文である。

  しかも、改めてこの冒頭陳述書を仔細に検討してみると、立石英

 生が脱税という犯罪を証明しようとして明示している証明方法が、

 不完全なものであり、その意味では、明らかに間違っていることが

 判明する。





(続きはWebサイトにて)

http://www.mz-style.com/item/136





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●山根治blog (※山根治が日々考えること)

http://consul.mz-style.com/catid/21



「ゴーイング・コンサ-ンの幻想-1 西武鉄道」より続く

http://www.mz-style.com/item/134



・ゴーイング・コンサ-ンの幻想-2 西武鉄道



  以上の計算は、会社の主な資産である鉄道事業固定資産等、合わせ

 て6,705億円をそのままにして計算したものです。これらの資産

 は、本当にこれだけの値打ちがあるのでしょうか。

  ゴーイング・コンサーンの幻想を取り払うだけでなく、一歩進んで、

 西武鉄道をどこかのファンドに売却する場合を考えてみましょう。



  負債総額は9,055億円ですので、ファンドが全額引き受けると

 仮定します。一方、西武鉄道が一年間に稼ぐ金額を計算してみますと、-

  支払利息が141億円程ありますが、これを差し引く前の経常利益

 をベースに考えることにします。

  経常利益は122億円ですので、これに支払利息の141億円を加

 えると、263億円になります。いわば税引き前粗経常利益とでもい

 えるものです。

  実効税率を40%とすれば、税金が105億円となり、税引き後で

 158億円。

  つまり、9,055億円で購入した会社(西武鉄道)が一年間に稼

 ぎ出す利益が158億円であるということです。

  利回りを計算してみますと、158億円を9,055億円で割って

 100を掛けると、1.74%ということになり、利回りとしては極

 めて低いものであるといえます。収益性が悪いのです。



  次に、ゴーイング・コンサーンの幻想を外した資産の額が8,930

 億円でしたので、これに合わせて、負債を125億円(=9,055

 億円-8,930億円)カットしてファンドが8,930億円で買い

 取るものとして計算してみますと、利回りは、1.77%となり、低

 いことにさほど変わりがありません。

  仮に、利回りを年2%にして、会社の資産価値を逆算(これを収益

 還元といいます)してみますと、158億円÷0.02=7,900

 億円ということになり、債務が1,155億円も大幅に超過してしま

 います。

  ここで、利回りを3%、4%、5%、10%として計算してみます

 と、会社の資産価値はそれぞれ、5,266億円、3,950億円、

 3,160億円、1,580億円と減少していき、債務免除を要する

 額はそれぞれ、3,789億円、5,105億円、5,895億円、

 7,475億円と逆に増大していきます。

  このような分析の結果言えることは何でしょうか。



  それは、鉄道事業固定資産等の資産6,705億円(公表値)の評

 価が高すぎるのではないかということです。仮にこのままの評価でファ

 ンドが引き受けるとしたら、期待利回りは年間でたかだか1.74%

 にしかならず、通常の場合、投資対象の物件とはなりにくいからです。

  通常のファンドは、年の利回りを最低でも5%は求めるでしょうか

 ら、西武鉄道の会社の価値は3,160億円ということになり、この

 場合、6,000億円弱の債務免除が必要になるでしょう。



  次に、各マスコミが口を揃えて報道している含み益-膨大なものが

 あるそうですが-を加味して考えてみましょう。

  まず、含み益のありそうな勘定科目を決算書(平成16年3月期)

 から拾い出してみますと、-



 1. 鉄道事業用固定資産 3,519億円

 2. 付帯事業用固定資産 2,888億円

 3. 各事業関連固定資産    17億円

 4. 分譲土地建物      476億円

 5. 投資有価証券      245億円

       計      7,145億円



 の5つの資産項目が考えられます。これは、公表の総資産9,765

 億円の73.1%に相当します。これ以外の資産項目については、評

 価減を要するものはあっても含み益のあるものはないようです。

  西武鉄道は鉄道事業をやっている会社ですので、まず金額でも一番

 大きい1.の鉄道事業用固定資産(以下、鉄道資産)について検討し

 てみます。公表値で3,519億円とされているこの鉄道資産は、会

 社の資産としてはどのように考えたらいいのでしょうか。資産として

 どのように評価することが妥当なのでしょうか。



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 ここで一句。



   “この保険よいことずくめで不安だな” -交野、大沼章

          (毎日新聞:平成16年10月16日号より)



(厚化粧しているのは保険だけ? 会社の決算数字にしても、ごまかし

 がないからといって安心できません。上場会社の中には、合法的な厚

 化粧をしているものがかなりあるようですので、優良企業と思われて

 いた会社が、化粧をとってみたらとんでもないオンボロ会社だったり

 して。)

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