山根治blog

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江戸時代の会計士 -12

恩田木工が提言した7つのことがらは、領民にとっては都合の良いものばかりでした。この7つの提案を前提として、いよいよ領民の負担となる3つの提案を“無心”という言葉を用いて切り出すのです。ちなみに無心は、広辞苑によれば「遠慮なくものをねだること」とされています。 恩田木工が領民に対して行った無心の第一は、次のようなものでした。 “先納・先々納致候者共へは、何卒(なにとぞ)御返済なされたきものなれども、 […]

江戸時代の会計士 -11

次に木工は、領民のうちで御用金(江戸時代、幕府、諸藩が財政窮乏を補うため臨時に御用商人などに賦課した金銭。-岩波書店、広辞苑)を出している者達に向って、問いかけます。 “御用金を出したる者ども相詰め候や。其方共は何故に御用金は差上げ候や。上納すれば利足(りそく)にても下され候や。何ぞ勝手によろしき筋これあり候て指上げ候か如何(いかが)。”(御用金を出した者たちはここに来ているか。お前達は何故御用金 […]

江戸時代の会計士 -10

恩田木工は、次の3つの提案に移っていきます。この3つの提案は、前の4つの提案とは異なり、領民にとって一方的に有利なものではなく、それに対応する“無心”とセットになっているものでした。 木工はまず、年貢の先払いをしている者達に向って、何故年貢の先払いなどしたのかと問いかけ、 “先納すれば、何ぞ勝手によろしき筋これあり候て先納致し候や如何(いかが)。”(年貢の先払いをすれば、何か暮し向きにいいことでも […]

江戸時代の会計士 -9

 領民に対する第二の提案は、これまでワイロ政治が横行していたことを改め、今後は袖の下(ワイロ)は一切受け取らないし、領民の側も渡してはならないというものでした。 “手前儀、祝儀愁嘆(しゅうたん)によらず、惣(そう)じて音物(いんもつ。おくりもの、贈答の品)を一向(いっこう)受けず候間、何程軽き品たりと持参無用いたすべく候。 …… 以後皆々の願の筋は手前が承り届け候間、その外へ賄賂遣(つか)ふに及ば […]

江戸時代の会計士 -8

次いで、領民たちとの対話に移ります。 日時を取り決めて、百姓、町人の主だった者達をお城の大広間に召集。同時に、老中、諸役人にも同席を要請。 領民たちを前にして恩田木工は、この会合が藩からの一方的な申し渡しの場ではなく、領民の意見に耳を傾ける場であり、その趣旨は対話にあることをまずもって強調します。 「自分の働きにてこの役儀相勤まる事にこれなき故、今日皆の者どもと得(とく)と相談致す儀これあり、呼び […]

江戸時代の会計士 -7

恩田木工は、妻子をはじめとする身内の結束を固めたうえで、いよいよ藩の財政改革に着手します。 木工は、自らの改革案を藩の役人達と百姓町人達に呈示して、それぞれ心から納得させていきます。藩財政の建直しという一つの目標に向かって、上下の心を一つにまとめあげていく手法は見事というほかありません。 決して自らの提案を一方的に強引に押しつけるのではなく、十分に考える時間を与えた上で、納得ずくで、木工の提案を領 […]

江戸時代の会計士 -6

恩田木工は、一度は、妻子、家来、親類縁者に対して、離別等を申し渡したものの、その理由を問い質す妻子たちの理詰めの懇請を承諾する形で、改めて彼らを受け入れることにしました。 このような一連の木工の行動について、イザヤ・ベンダサンは、 “これも、命令指示は朝令暮改せず、言明した通りにして、必ず実行するという、人びとの信頼感の獲得のためなら、方法が日本的で非常に面白いという点を除けば、どの国でも行われた […]

カネボウ事件の会計士 -検察の生け贄か?

コメントNO.421についてお答えします。 マスコミの報道だけですので詳しい事実関係は分かりませんが、私のケースと同様に検察のデッチ上げであり検察の生け贄にされたのではないかと思われます。これが私の第一印象です。 中央青山監査法人はかつて私も勤務していたところです(その当時は、監査法人中央会計事務所)。30年も前のことですが、法人の監査方針は当然のことながら明確で、企業との安易な妥協など入り込む余 […]

ホリエモンと小泉純一郎 -3

二人に共通する第4の点は、共にプロ顔負けの手品師であることです。 ホリエモンが数々の違法なトリックを駆使し、株式市場を騙して巨万の富を築き上げたのは、このブログで具体的な根拠を示して明らかにした通りです。 またこの人物は、自分自身をも手品のタネと思っているようですね。フジテレビとのドンパチの時など、数々の傲岸不遜な言辞を弄していながら、自分の立場が悪くなるとトタンに手のひらをかえすように、「従業員 […]

ホリエモンと小泉純一郎 -2

共通する第3の点は、二人とも目的のためならば手段を選ばないところです。反社会的な行為であろうと犯罪となる違法な行為であろうとおかまいなしです。 ホリエモンについては具体的には私のブログで詳述した通りです。 小泉さんについては、他にもあるでしょうが、ごく最近の驚くべきケースについて触れることにします。 共同通信の配信記事でしょうか、「首相の執念で転進決意」との見出しのもとに、新潟県旧山古志村長の長島 […]

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