査察Gメンを犯罪人として告発!!-⑯
- 2016.05.31
- 山根治blog
判例7.(承前) この判例7.は、金子宏氏が「租税法」第18版において脱税犯罪の根拠としている主な最高裁判例7つのうちで最後のものだ。 改めて判例1.から判例7.までを掲げると次の通りである。 ***1.「偽りその他不正の行為」に関する判例-判例1.物品税法違反、昭和42年11月8日、大法廷判決。本稿④~⑥(「査察Gメンを犯罪人として告発!!-④」など)で詳述。-判例2.所得税法違反、昭和2 […]
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判例7.(承前) この判例7.は、金子宏氏が「租税法」第18版において脱税犯罪の根拠としている主な最高裁判例7つのうちで最後のものだ。 改めて判例1.から判例7.までを掲げると次の通りである。 ***1.「偽りその他不正の行為」に関する判例-判例1.物品税法違反、昭和42年11月8日、大法廷判決。本稿④~⑥(「査察Gメンを犯罪人として告発!!-④」など)で詳述。-判例2.所得税法違反、昭和2 […]
判例7. 法人税法違反事件についての最高裁の判決である。原審は東京高裁(昭和35年4月27日判決)。また第一審は東京地裁(昭和34年10月10日判)であり、犯則事件があったとされるのは、 -昭和31年3月期事業年度と -昭和32年3月期事業年度 である。この犯則事件があった時期は、いまだ基本法たる国税通則法が制定されていない時であることに加え、当時の法人税法には目を疑うような怪しげな規定が存在 […]
判例6.(承前) 判例6.の要旨は、「逋脱罪は、本来納入すべき税金額を納めないで納期日を徒過したことによって既遂となる」というものであった。 ここでのポイントは「本来納入すべき税金額」と「納期日」である。これらは、一体何を意味するのか、租税法の基本となる事柄が整備された、昭和37年の国税通則法を参考にして考えることにする。 同法によれば、賦課課税方式の国税(物品税、酒税など)については、 […]
判例6.(承前) 賦課課税方式の物品税の納付すべき税額の確定については、当時(昭和29年)法文上明記されていなかった。そのため、判例6.は、国税徴収法第六条を持ち出して、「税務官署は納税人に対し申告にかかる納金額及び納期日を告知するものである」から、納付すべき税額と納期日とを告知することが法律によって定められている、といった解釈に至ったものであろう。 この点について、その後に成立した国税通則 […]
金子宏氏は、今一つの租税犯の構成要件である「税を免れたこと」を論ずることなく、租税犯の未遂・既遂の問題にスリカエている。暴論である。加えて、逋脱犯の既遂の時期についての結論も誤っている。前回述べたところだ。 租税犯の既遂の時期、即ち、いつ犯罪が成立するかについて金子宏氏は、以下、2つの最高裁の判例を引用している。一つは決定であり、今一つは判決である。+最決昭和31年12月6日刑集10巻12号1 […]
これまで金子宏氏の『租税法』第18版に引用されている判例1.から判例5.までの5つの最高裁判例を取り上げてきたが、それらはいずれも、「詐偽(偽り)その他不正の行為」に関する判例であった。 金子宏氏は、「偽りその他不正の行為」については、それら5つの最高裁判例を引用することでその説明を終え、次に 「逋脱犯が成立するためには、租税債権の侵害がなければならない」(『租税法』P.923) とし、 「し […]
判例5. 法人税法違反事件と会社臨時特別税法違反事件についての最高裁の決定である。原審は大阪高裁(昭和60年11月5日判決)。この判例5.には、全く異ったケースについて、同一の判断が下されている誤りがある。確定申告書を提出した場合と提出しなかった(不申告)場合とを同一のものとして捉えているからだ。 まず、法人税法違反事件について。これは、確定申告書を税務署長に提出しているケースであり、虚偽申 […]
判例4.(承前) 更にこの判決4.が「ことさら判決」と呼ばれている部分を、原審・東京高裁の判決文から引用する。「所得税脱税罪を規定した所得税法第二百三十八条第一項(同法に依る改正前の所得税法第六十九条第一項(下線は筆者)に謂う「偽り(詐偽)その他不正の行為」とは、同税逋脱の意図を以て、その手段として、同税の賦課(下線は筆者)、徴収を不能若しくは著しく困難ならしめる様な何等かの偽計その他の工作を […]
判例4.(承前)次に、判例4.の原審判決について検討を加えることにする。 原審・東京高裁の判決文によれば、この裁判は、“所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六九条一項に謂う「詐偽その他不正の行為」”(下線は筆者)をめぐって争われたものである。 逋脱行為、即ち「詐偽その他不正の行為」が実際に行われたのは、 “(一)昭和三十八年分の真実の所得金額(下線は筆者)は二千三百七十万六千四 […]
以下に述べる、判例2.と判例3.も、判例1.と同様、由々しい問題を抱えている。即ち、 判例2.最高裁の判決日が昭和24年7月9日であるから、原審・大阪高裁の判決文を見るまでもなく、明らかに、昭和37年4月1日より前の事件である。先例価値がない。 判例3.原審・名古屋高裁金沢支部の判決文を見ると、“被告人山口太三の原判示営業部門における昭和二五年中の所得を、二,一六〇,八二八円、これに対する所 […]