中江滋樹氏からのダイイング・メッセ-ジ-③
- 2020.04.03
- 山根治blog
投資ジャ-ナル巨額詐欺事件は、虚偽の証拠の捏造(ねつぞう)によって、立件されたものであった。しかも証拠の捏造は、警視庁(東京国税局)と東京地検が行っている。刑事訴訟法によって、極めて大きな証拠能力が与えられている、検察官面前作成調書(略して検面調書)が警視庁と東京地検の担当者によって、極めて杜撰(ずさん)な形でデッチ上げられたのである。それぞれの担当者は、「中江滋樹の弁明」において仮名で記した。
尚、中江氏自らが記した「中江滋樹の弁明」では、警視庁と東京地検の担当者のみが明らかにされているだけで、東京国税局の担当者は出てこない。理由は簡単だ。中江滋樹氏と東京国税局との直接の接触がなかったからである。東京国税局がどのように関わっていたのか、中江氏は知らなかったのである。
中江氏だけではない。倉田まり子さんについても、税務関係は全て、私・山根治税理士が税務代理人として処理している。2人に代わって修正申告を行い、支払うべき税金の手続きをしたのは私だ。
つまり、税金について言えば、中江滋樹氏も倉田まり子さんも課税関係だけで終わっており、脱税という刑事事件に至ってはいない。告発を考えていた東京国税局資料調査課(リョウチョウ)と査察の空振りである。
投資ジャ-ナル事件の後にリョウチョウが襲いかかったのが、相場師・加藤嵩(あきら)氏であった。中江氏同様カリスマ性を有していた仕手集団「誠備グル-プ」のボスだ。
加藤嵩氏についてもネライは脱税の摘発であった。東京国税局のリョウチョウと査察によって告発され、東京地検特捜部によって所得税法違反で起訴されたが、裁判の結果、執行猶予のつかない有罪、即ち実刑となっている。
予定された通り、有罪しかも実刑になったのであるから、一見すると国税・検察の勝利であるかのように見える。しかし、この勝利は血塗られた勝利だ。
何故か?肝腎なところで、検面調書が捏造されているからだ。犯則事実(脱税という犯罪の事実)の中核である脱税金額が特定されていないのである。仕手筋の原資である大口の金主(きんしゅ)からのお金が特定されていないことから、脱税金額のストックとフロ-など特定しようもない。東京国税局の査察が、脱税所得金額、脱税金額をデッチ上げて「質問てん末書」を捏造し、東京地検特捜部が「質問てん末書」をベ-スにした「検面調書」を捏造したのである。
当時、株取引は税制の上で優遇されており、一銘柄20万株未満、年間取引回数50回未満の株取引については「非課税」であった。加藤嵩氏は、「誠備グル-プ」を標榜していたのであるから、取引の口座は多くの名義になっていた。借名口座(他人の名前あるいは架空の名前を借りて作成された銀行口座のこと)は当時禁止されておらず、野放し状態であった。東京国税局の査察は、どのようにして加藤嵩個人の口座を特定したのであろうか。疑問である。
仕手相場の場合、チョウチン(相場に便乗して株取引をする投機家のこと)がつくのが常道であった。加藤嵩氏が仕手本尊として君臨した「誠備グル-プ」には数千人規模のチョウチンがいたと報道されている。
加藤嵩氏は、500億円とも1000億円とも言われた資金を動かしていた。加藤嵩氏個人の資金などたかが知れたものだ。ほとんどの資金は、大口の金主(きんしゅ)からの預り金とチョウチンのお金だ。
仕手本尊(してほんぞん)と見られていた加藤嵩氏の実体は、特殊なファンド・マネ-ジャ-だ。大口の金主から火の付くような高利の金を借りて株式市場で運用し、運用益の分け前にあずかるファンド・マネ-ジャ-だ。丁半バクチ賭場(とば)の胴元(どうもと)の子分であるサイフリといった役割である。当然運用益の大半は、大口の金主のものである。
尚、チョウチンがたとえ何千人いたとしても、加藤嵩氏個人の所得とは関係ない。たかだか「誠備グル-プ」に支払う会費ぐらいのものが、加藤嵩氏個人の所得に加味されることになるだけだ。
以上を要するに、加藤嵩氏の所得税違反事件において、東京国税局査察部がインチキをしたのは、「誠備グル-プ」を加藤嵩個人とみなして、大口の金主の収益であろうが、チョウチン(特に借名口座を使っているチョウチン)の収益であろうが、問答無用とばかりに、加藤嵩個人の収益に合算したことだ。同工異曲(どうこういきょく。ちょっと見ると作り方が違うようだが、実は大体おなじこと-明解国語辞典)のインチキは、私の脱税事件(「冤罪を創る人々」)においてなされているだけでなく、これまで私が受託したほとんど全ての脱税事件においても施されている。
インチキの正体は、「実質課税の原則」、あるいは、「推計課税」である。これらは、課税処分においてのみ認められるものであり、刑事処分においては認められていない。(この項つづく)
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ここで一句。 ”コロナ費用 予備費じゃなくて防衛費” -神戸、意固爺(毎日新聞、令和2年4月1日付、仲畑流万能川柳より)
(東京オリンピックを中止にして、膨大なムダな費用(不要不急)を医療崩壊防衛に転用すべきでは。アスリ-ト・ファ-ストとか復興五輪などの世迷いごとは通用しない。福島の第一原発の汚染水は“アンダ-・コントロ-ルにある”などの大嘘をつき、多額のワイロまで使って誘致したマネ-・ファ-ストの東京五輪。日本経済の底がスッポリと抜けてしまった現在、マネ-・ファ-ストの五輪の強行は、日本国にとってマイナス以外の何ものでもない。“五輪の環(わ) コロナと共に消えていく”)
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