前代未聞の猿芝居-④

前回、査察官島村仁士が、検甲8号証の中で、

「実体法の規定に明確に反している嘘」

をついていると断言した。
実体法の規定に反していることは、同様に検甲2号証でもなされている。検甲2号証は、検甲8号証などの増差所得の確定を受けて、査察官島村仁士が税額の計算を行ったものだ。

実体法の規定に明確に反している、とはどういうことか。それが何故、嘘となるのか。

国税通則法は、「国税についての納付すべき税額の確定の方式」として、

「第16条 国税についての納付すべき税額の確定手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとして、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一. 申告納税方式 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告にかかる税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
二. 賦課課税方式 納付すべき税額がもっぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
2 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く)についての税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一. 納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式
二. 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式

のように定める

本件は、法人税法の事案である。法人税は納付すべき税額を申告すべきものとされていることから、国税通則法第16条第二項第1号、第一項第1号により、申告納税方式によることになる。
嫌疑法人A社は長年、TKC会計事務所に記帳代行を依頼し、同事務所の税理士の署名を得て申告している。無申告ではない。
従って、各年度の申告において確定したA社の「納付すべき税額」を変更するためには、税務署長の処分によるものとされている。
しかも、

「その申告にかかる税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合、その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り(下線は筆者)」

と、厳しい限定がついている。

つまり、こういうことだ。
嫌疑法人A社を所轄する税務署は、松江税務署である。検甲8号証が査察官島村仁士によって作成されたのが平成30年12月14日。この時点での松江税務署長は、登川幹雄だ。嫌疑法人A社の申告税額に変更を加えること(処分)ができるのは、登川幹雄松江税務署長だけである。
しかも、松江税務署長に強大な権限(課税権)が与えられているといっても勝手なことができるわけではない。

「当該税額(注.当初の申告税額)が税務署長の調査したところと異なる場合に限り」

という限定がついている。つまり、嫌疑法人A社の申告税額に変更を加えることについては、「松江税務署長の調査」が大前提となっている。
平成30年12月14日に検甲8号証を作成した査察官島村仁士は、もちろん松江税務署長ではない。
このように松江税務署長ではない人物が、「調査所得(調査による増減金額)の説明書」(検甲8号証)を作成し、「調査所得(調査による増減金額)」を算定し、しかも、「確定」したとまで豪語している。戯言(たわごと)である。
ここで指摘したいのは、査察官島村仁士が用いている「調査所得」とか「調査による増減金額」の中の「調査」という文言だ。
この「調査」、査察調査であるものと思われる。しかし、査察調査であろうとその他のいかなる調査であろうとも、「松江税務署長・登川幹雄の調査」(国税通則法第16条第一項1号)でないことだけは明らかだ。「松江税務署長の調査」ではないことを示す厳然たる事実が存在している。
平成30年12月14日(検甲8号証作成日)においては、松江税務署長は、「調査」のツンボ桟敷に置かれていた。

「税務署長の調査」(国税通則法第16条第一項1号)については従来、野放し状態であったが、平成25年1月1日に初めて、国税通則法という実体法の中に、調査の手続が規定されることになり、
1)調査の始めの手続(納税義務者に対する調査の事前通知等、第七十四条の九)
2)調査の途中の手続(提出物件の留置き、第七十四条の七等)
3)調査の終結の手続(調査の終了の際の手続、第七十四条の十一)
が法定化され、税務署長にこの遵守が義務付けられることになった。これら1)~3)の手続きを踏まないことには、「税務署長の調査」とはなりえないことが定体法の中で定められたのである。
松江税務署長・登川幹雄は、平成30年12月14日の時点で、上記の
1)調査の始めの手続
2)調査の途中の手続
3)調査の終結の手続
のいずれの手続にも着手していない。実体法で規定されている「調査の手続」が着手されていない、という厳然たる事実は、査察官島村仁士が用いている「調査」に、松江税務署長が一切かかわっていないことを示している。

検甲8号証の作成者が、査察官であろうが誰であろうが関係ない。検甲8号証は、松江税務署長と一切関係ない「調査」によって創り上げられたものだ。捏造である。
検甲2号証、検甲3号証、検甲7号証~検甲17号証は、実体法(国税通則法第十六条、同七十四条の九,同七十四条の七,同七十四条の十一)の規定に明らかに反している。松江税務署長の専権事項である国税通則法第16条の「調査」がなされていないにも拘らず、なされたかのように偽った虚偽の文書だ。
査察官島村仁士は、単に大ウソをついただけにとどまらない。行使の目的をもって内容虚偽の公文書を作成していることから、「虚偽公文書作成罪(刑法第156条)を免れない。

(この項つづく)

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