暴かれたカラクリ-⑴

 平成30年1月12日、脱税事件に関する注目すべき判決があった。4年前の山根治ブログ(2014年4月29日付、“狂える検察官-⑴~⑸”)で取り上げた“狂える検察官”、沖慎之介検察官(当時、岡山地検、現在、大阪地検)が扱った脱税事件についての控訴審判決である。



 この沖慎之介検事、今から5年ほど前に、私の口封じを図り、なんとか私を逮捕して社会的に抹殺(Character Assassination)しようとして企てた男である(「民主党政権の置き土産-偽りの査察調査-⑭」)。

 この検事が陣頭指揮をとって、平成26年2月13日、倉敷民主商工会(以下、民商という)の事務局長以下3名の事務局員を、税理士法違反容疑で岡山県警に逮捕させている。かねてから反税団体の烙印が押されている民商だ。

 税理士の資格がないのに、税理士業務を行った、つまり「ニセ税理士」として逮捕したのである。

 沖検事は広島国税局の査察部門だけでなく、岡山県警の公安部門まで動員して、民商の組織破壊をしようと企んだ。

 更には、脱税の実行行為をしたとされたA社の社長などA社の責任者は逮捕せずに、A社の担当をしていた民商の女性事務局員だけを、法人税法違反(脱税)容疑で逮捕している。

 つまり、共産党系の組織を、脱税犯罪というデタラメな凶器を用いて破壊しようとしたのである。戦前、治安維持法というデタラメな凶器を用いてやりたい放題を行った「治安警察」、「思想検事」と何ら変るところがない。

 “狂える検察官”・沖慎之介検事は、第一審では有罪判決をかちとったものの、控訴審判決でドンデン返しが待っていた。原判決が破棄され、裁判を一審に差し戻されたのである(平成29年(う)第24号法人税法違反幇助、税理士法違反被告事件)。

 一審判決が、犯則事実(脱税)を証明する上で中核的証拠である査察官報告書を鑑定書に準ずる書面(刑訴法第321条第4項)として法人税法違反(幇助)の事実認定に用いたことに対して、控訴審判決は、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があると断じている。伝聞証拠排除法則違反を検察官だけでなく、第一審裁判官も行っていたことが明らかにされた。伝聞証拠が証拠能力を有しないことは、刑事裁判における基本中の基本である。それが検察官と裁判官の裁量権の名のもとに、密かに骨抜きにされていたのである。検察官も裁判官も狂っているとしか言いようがない。
 査察官報告書が、伝聞例外として限定列挙されている刑訴法第321条第4項に該当する鑑定書面として第一審で取り扱われていた事実は、驚き以外の何ものでもない。検察官・裁判官の裁量権を逸脱した行為であり、裁判官の訴訟指揮、あるいは弁護人の対応いかんによっては、弁護人による反対尋問権の抹殺にもなりかねない。検察官も第一審裁判官もともに、裁量権の名のもとに、査察官を証人採用しない、あるいは、査察官が証人採用されたにしても、証人(査察官)の鑑定書作成の真正性(適格性を含む)にまで及ばない場合には、憲法第37条2項が保障する反対尋問権の封殺という事態にもなりかねない。

 検察官も裁判官も、査察官報告書を、伝聞例外として限定列挙されている刑訴法第321条第4項に該当する「鑑定書面」として扱っていた、-このようなトンデモないことがこれまで刑事法廷でまかり通っていたということは、驚きを通りこして、ただ唖然とするばかりだ。
 査察官報告書がどのようにデタラメなものであろうとも、犯罪を立証する証拠としてスンナリ通ってしまうからだ。
 国税庁が、犯罪でないもの(脱税)を犯罪にデッチ上げて告発し、冤罪であることが証明されている脱税事件(「冤罪を証明する定理」(山根定理))を検察が裁量によって起訴をし、脱税事件を立証する中核的な証拠である査察官報告書とか質問てん末書を伝聞例外として裁判官が証拠採用する、-刑事法廷で繰り広げられた茶番劇である。

 国税庁だけがインチキ(冤罪の捏造)をしていたのではない。検察官も裁判官も冤罪(無実の罪)である脱税をスンナリ有罪にできるように、トンデモない小細工をしていたのである。立件された脱税事件の有罪率は100%!!と豪語してきた国税庁の自信の背景には、検察官と裁判官による刑事法廷におけるカラクリがあったのである。

(この項つづく)

 

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