冤罪捏造の犯人は国税庁長官だった!!-⑥

***4.冤罪捏造の第四ステージ(その3)

 前回述べたように、査察調査(国犯法第1条に基づく質問・検査・領置)は、任意調査である。

 巷間、査察調査は一般の税務調査とは異なり、強制調査であると言われているが誤りだ。査察調査が強制調査であるのは、ガサ入れ時に行われる臨検・捜索・差押(国犯法第2条)のみである。

 ちなみに、

臨検とは、一定の場所に立ち入ることであり、

捜索とは、犯則嫌疑者の身体や所持品を調べ、住居その他の場所に立ち入って探索することであり、

差押とは、物の占有を強制的に取得し、または、占有を強制的に継続することである。

 つまり、捜索令状(臨検捜索差押許可状)によって強制的になされるのは、国犯法第2条で定められている臨検・捜索・差押だけであって、国犯法第1条で定められている質問・検査・領置ではない。

 一般の税務調査は、質問・検査をすることをいう。
 ところが、質問・検査とは一体何であるか、どのような手続きを踏まなければならないのかについて、これまで実体法上の規定が存在しなかった。実体法上の規定が整備されたのは、平成23年12月(施行は平成25年1月1日)、民主党政権の時だ。私の査察調査は平成5年であるから、当然のことながらいまだ何の規定も存在していない。
 国税当局は、税務調査について具体的な法律の規定がないのを奇貨(きか。もっけの幸い)として、やりたい放題であった。

 一般の税務調査だけではない。本来、査察調査は一般の税務調査とは全く異なる目的(刑事告発をすること)を持った特殊な手続き、即ち、実質的には刑事手続きに準ずる手続きであるにもかかわらず、強制力を持った行政手続きである一般の税務調査と同じようになされてきた。デタラメな査察調査が横行した最大の理由である。

 図式的にまとめると次のようになる。

項目 一般の税務調査 査察調査
(1)目的 課税標準の算定(注1) 刑事告発
(2)手続き 行政手続 刑事手続(注2)
(3)任意性 強制調査 任意調査

(注1)課税標準とは、課税所得(法人税、所得税)、課税価格(相続税)のこと。
(注2)実質的に刑事手続に準ずる手続。当然、嫌疑者には黙秘権がある。

私の事件に即して言えば、デタラメな査察調査を敢行し、数々の犯罪行為を行った主な連中は、以下の7名である。
+大木洋(おおぎひろし。マルサの現場の統括司令官)
+松田憲麿(まつだのりま。ガサ入れ時の組合関連の捜査責任者)
+藤原孝行(ふじはらたかゆき。大木洋の指示のもと私の取調べを担当)
+三瀧恒雄(みたきつねお。査察第4部門の統括官)
+永田嘉輝(ながたよしてる。大木洋の後任。検察への告発書類を決裁した人物)
+前原非利(まえはらひとし。査察第4部門統括主査)
+黒目啓治(くろめけいじ。査察第2部門査察官)
(以上、1.~7.までの査察官については、現在、当時の生々しい言行録が残されている。「冤罪を創る人々」-第三章 三、関係者の証言 四マルサ取調べ言行録参照のこと)。

 中でもヤクザ顔負けの恫喝を行ったのが2.の松田憲麿と4.の三瀧恒雄だ。この二人は、嫌疑者とその配偶者を取り調べ、

「正直に白状しなかったら、お前たちの家を末代まで破産状態にしてやる。」

と申し向け、虚偽の自白を強要して恫喝した。このため嫌疑者とその配偶者は真っ青になり、とくに配偶者にいたっては文字通り腰が抜けてしまい歩けなくなったほどである。この二人、まさに暴力団そのものだ。
  7.の黒目啓治の所業については、反面調査の対象になったベテランの証券マンが、私に対して悔し涙をにじませながら、次のように語っている。

「まったく、やくざに絡まれて脅し上げられているような感じでした。一人は、わりかた静かな男だったんですが、“黒目”(黒目啓治)というやつが、広島弁でやくざみたいな男でした。

 

“おまえも共犯じゃないか。山根と一緒に株で相乗りしているんじゃあないか。この1億か2億の山根の玉(ぎょく)の中に、お前のお金も入れて、チャンポンで資金運用をしているんじゃないのか。山根に女でも抱かせられたり、500万か1千万円位の謝礼金でももらって、裏金の管理をしているんじゃないのか。”

 山根先生は、もちろん呼び捨てで、私のことも“おまえ”呼ばわりですから。定年間近の私が、30才前後の若造に、“おまえ”呼ばわりされるなんて、本当に情けなくなりましたよ。
 我々証券会社は、銀行と同じように、大蔵省の管轄にあるものですから、査察としては好き勝手なことができると思っているんですね。私は、長い株屋生活の中でも、このような査察は初めての経験でしたので、改めて、とんでもない連中だと思いましたね。」
「冤罪を創る人々」(3)証券マンは語る コスモ証券YH氏の話。

 松田憲麿三瀧恒雄黒目啓治の三名は、嫌疑者あるいは参考人を監禁状態において、脅迫しているのであるから、監禁の罪(刑法第220条)だけでなく、脅迫の罪(刑法第222条)を免れない。
 松田、三瀧の両名は、その後も同様の犯罪行為を重ねた挙句、無事に退官して現在は何食わぬ顔をして税理士としての仕事についている。
 黒目啓司は、当時30歳前後であったというから、現在は50半ばであろう。この監禁と脅迫の罪を犯した犯罪者は広島西税務署の筆頭特別調査官(法人税等)を最終ポストにして、平成28年7月9日付で退職し、直ちに税理士登録をして、現在は呉市で税理士事務所をはじめている。

 以上7名の犯罪者は犯した罪を償うことなく国家公務員として定年まで公権力行使の第一線にいたばかりか、定年退職後は難関とされている正規の税理士試験を受けることなく、当然のような顔をして税理士登録をして余生を送っている。冗談じゃない!このようなことが許されていいはずがない。

(この項つづく)

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 ここで一句。

 

”冬なのに眼には蚊が飛ぶ耳にや蝉” -大分、春野小川

 

(毎日新聞、平成29年2月11日付、仲畑流万能川柳より)

(古稀すぎてようよう薄れゆく眼の力、ようよう晴れゆく心の眼。馬齢を重ねるもまた楽し。)

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