査察Gメンを犯罪人として告発!!-⑫
- 2016.05.03
- 山根治blog
金子宏氏は、今一つの租税犯の構成要件である「税を免れたこと」を論ずることなく、租税犯の未遂・既遂の問題にスリカエている。暴論である。加えて、逋脱犯の既遂の時期についての結論も誤っている。前回述べたところだ。 租税犯の既遂の時期、即ち、いつ犯罪が成立するかについて金子宏氏は、以下、2つの最高裁の判例を引用している。一つは決定であり、今一つは判決である。+最決昭和31年12月6日刑集10巻12号1 […]
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金子宏氏は、今一つの租税犯の構成要件である「税を免れたこと」を論ずることなく、租税犯の未遂・既遂の問題にスリカエている。暴論である。加えて、逋脱犯の既遂の時期についての結論も誤っている。前回述べたところだ。 租税犯の既遂の時期、即ち、いつ犯罪が成立するかについて金子宏氏は、以下、2つの最高裁の判例を引用している。一つは決定であり、今一つは判決である。+最決昭和31年12月6日刑集10巻12号1 […]
これまで金子宏氏の『租税法』第18版に引用されている判例1.から判例5.までの5つの最高裁判例を取り上げてきたが、それらはいずれも、「詐偽(偽り)その他不正の行為」に関する判例であった。 金子宏氏は、「偽りその他不正の行為」については、それら5つの最高裁判例を引用することでその説明を終え、次に 「逋脱犯が成立するためには、租税債権の侵害がなければならない」(『租税法』P.923) とし、 「し […]
判例5. 法人税法違反事件と会社臨時特別税法違反事件についての最高裁の決定である。原審は大阪高裁(昭和60年11月5日判決)。この判例5.には、全く異ったケースについて、同一の判断が下されている誤りがある。確定申告書を提出した場合と提出しなかった(不申告)場合とを同一のものとして捉えているからだ。 まず、法人税法違反事件について。これは、確定申告書を税務署長に提出しているケースであり、虚偽申 […]
判例4.(承前) 更にこの判決4.が「ことさら判決」と呼ばれている部分を、原審・東京高裁の判決文から引用する。「所得税脱税罪を規定した所得税法第二百三十八条第一項(同法に依る改正前の所得税法第六十九条第一項(下線は筆者)に謂う「偽り(詐偽)その他不正の行為」とは、同税逋脱の意図を以て、その手段として、同税の賦課(下線は筆者)、徴収を不能若しくは著しく困難ならしめる様な何等かの偽計その他の工作を […]
判例4.(承前)次に、判例4.の原審判決について検討を加えることにする。 原審・東京高裁の判決文によれば、この裁判は、“所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六九条一項に謂う「詐偽その他不正の行為」”(下線は筆者)をめぐって争われたものである。 逋脱行為、即ち「詐偽その他不正の行為」が実際に行われたのは、 “(一)昭和三十八年分の真実の所得金額(下線は筆者)は二千三百七十万六千四 […]
以下に述べる、判例2.と判例3.も、判例1.と同様、由々しい問題を抱えている。即ち、 判例2.最高裁の判決日が昭和24年7月9日であるから、原審・大阪高裁の判決文を見るまでもなく、明らかに、昭和37年4月1日より前の事件である。先例価値がない。 判例3.原審・名古屋高裁金沢支部の判決文を見ると、“被告人山口太三の原判示営業部門における昭和二五年中の所得を、二,一六〇,八二八円、これに対する所 […]
前回述べた費用・収益についての発生主義と実現主義、会計監査の現場では常に問題となることだ。ことに収益(売上)をいつ認識して計上するかについては一筋縄でいく簡単な問題ではなく、時に企業と会計監査人との間で熾烈なバトルが展開されることがある。 たしかに租税は国家の側からすれば収入、つまり収益であり、一般企業の売上(収益)に相当するものである。企業会計上、いつの時点で収益として認識するかについては、 […]
判例1.(承前)前回、「賦課」という判例中の言葉に、筆者が敏感に反応したのは何故か。この言葉こそ、納税者が「納付すべき税額」が、いつ、どのようにして確定するかに関連する極めて重要なキーワードであるからだ。もちろん、査察調査を含む税務調査に密接に関連するものだ。「間違いだらけの税務調査」が白昼堂々と横行してきた根底を暴き出すキーワードと言っていい。この言葉を逋脱犯の基本判例の中に発見したことによっ […]
東大教授であった金子宏氏は、逋脱犯の構成要件の一つである、「偽りその他不正の行為」の意義について、5つの最高裁判所判決を持ち出している。根拠とされた判例の全てがデタラメであることについては前回述べたところである。 判例は5つ共それ自体内容に問題があるのであるが、それ以上に問題なのは、これら5つの判例を、現在の租税法における「偽りその他不正の行為」の意義の根拠として持ち出してきていることだ。スリ […]
査察官を含めた、国税庁職員が拠(よ)り所としている金子宏著・「租税法」は、著者が行った東大法学部における講義ノートをベースにしたものという(同書、初版の序より)。法律学講座双書として、弘文堂から刊行されている中の一冊で、昭和51(1976)年に初版が発行されて以来版を重ね、現在に至っている。私の手許にあるのは、平成25(2013)年4月15日発行の第18版第1刷である。1000ページを超える分厚 […]