012 預かり金は一切費消せず収入の範囲内で経営をしていた証明-重要争点 その3
- 2016.09.27
- 山根治blog
***4、預かり金は一切費消せず収入の範囲内で経営をしていた証明-重要争点 その3
****一、レッドとグリーンの峻別と黒字経営
昭和57年4月から、59年7月末日までの間、顧問料等の収入金(社内では、レッドと言っていました)の範囲内で経営を行い、顧客からの預り金(社内ではグリーンと言っていました)のお金は使わない経営をしていました。レッドのノルマ必達による経営をしていましたので、経常収支は常に黒字でした。はっきりとレッドとグリーンという区別で分けていたわけです。豊田商事やアオイのように顧客からの預り金の中から給料を出したり、経費を出したりしていなかったということです。
当局は修正損益計算により、29ヶ月間で、91億7968万5824円の赤字であったと結論づけていますが、これは独断と偏見と無知によるものであります。間違った修正を故意に加えたために、このような結論となったのです。
修正前の公表損益計算におきましては、基幹6社は、5億4320万6239円の黒字でした。証券金融4社については、赤字でありましたが、当局指摘のごとく税務対策として、赤字としていたわけです。ただ、証券金融4社の赤字といいましても、金融会社の性格上そんなに費用はかかりませんので、公表損益計算書で基幹6社を合算して考えるなら、全体として実質黒字であったわけです。
投資ジャーナル社を初め投資顧問各社は、購読料収入と顧問料収入の一部について、前受金処理をしていました。実質黒字過ぎて困っていたからであります。売り上げの一部を来期に繰り延べてもなお、5億4320万円もの黒字であったわけです。国税の調査をしばしば受けておりそれで問題もありませんでしたので、当然のことながら違法な会計処理ではありません。国税局の調査官はキチンと筋が通っており、警察とか検察とは月とすっぽんでした。調査には一貫性があり、決していいかげんなものではありませんでした。
ところが、検察の場合はどうでしょうか。黒字であっては自分達の作り上げた虚構と合わなくなるために、一貫性に欠ける非論理的やり方によって改竄し、修正を加えているのです。57年3月期以前の公表損益計算書の修正においてもそうですが、とにかく一貫性に欠けるわけです。一本筋の通った方向性が見られないのです。場当たり的に、とにかく利益をけずり、赤字にするようにやっているだけのことです。会計の専門家が嘲笑したような、乱暴なことをやっているのです。
たとえば、57年3月末までの修正では株式売買損益を認めず、その株式売買のためにかかった金利だけ追加して修正しているのです。あるいは、町村家よりの預り株を費消の跡などみじんもないにもかかわらず、私が全て費消してしまったとして、修正しているのです。修正を加えるならば、当然その裏付けをとるべきなのです。ところが、町村家から預ったソニー株がらみで、私が関東電化株で損をしたと言いながら、それを裏付けるような計算などしていないのです。あるいは計算はしたものの、思ったほど損をしていないのでごまかしたのでしょう。
このようにいいかげんなものが、法廷という神聖なる所へ出す資料として許されるのでしょうか。許されるはずがありません。以下、57年4月以降について、彼らの非合理的な修正を具体的に指摘し、一貫性のある再修正を当局の加えた修正の上に施して真実の損益計算をすることにいたします。
****二、正当な収入について
*****①顧問料収入としての成功報酬
成功報酬は、このたび成立しました投資顧問法でも認められておりますように、顧客よりもらって当然の正当なる収入です。成功報酬なくして投資顧問業の発展はありえません。投資顧問法制定時の議論において、「顧客の利益を減らすことになる」ということと、「儲けさせようとするあまり、投機に走りやすくなる」といった短絡的意見が出たとのことですが、結果的には、逆に顧客の利益につながるとして、成功報酬が認められた経緯があります。
当社の場合も同じことで、当社が成功報酬制をとっていたということは、顧客と当社の相互の利益を考えていたからであります。アオイや他の悪徳金融とは全く違い、顧客よりの預り金を飛ばそうとするどころか、逆に儲けさせることに努力してきたわけです。
公判において裁判長からご質問のありました『分譲』につきましても、顧客にとってプラスにこそなれ、決してマイナスになるものではないのです。たまたま、ガサ入れによって結果的には返済できなかった人もありますので、あるいは絵に書いたもちのように思われるかもしれませんが、すでに返済されている人の方がはるかに多いわけですから、それらの人のことを考えていただくなら、何ら責められるべきことではないのです。
以下、分譲と預り金との関係について申し上げ、営業のシステムとして預り金の収支バランスがとれるようになっていたことを、具体的にご説明いたします。
たとえば、1000万円預け入れた人が、株の分譲を利用して2000万円にして引き出した時、営業マンのグリーンの成績は1000万円のマイナスの成績になってしまいます。1000万円入れて、1000万円引き出せば、営業マンの成績は0ですが、利益分を引き出しますと、その利益分が、その営業マンのグリーンの成績ではマイナスとなってしまうのです。
営業マンには、グリーンのノルマとレッドのノルマの2つがありますので、2つとも達成せねばなりません。そこで、営業マンは、営業マンの勧める銘柄を指示通り買わず自分勝手な銘柄を買っている客の損分を、指示通り売買する人に分譲することによって儲けさせてやり、その儲けの中から半分とか決めて成功報酬をもらうのです。
Aという客が1000万円を入れて、投資ジャーナル銘柄以外の売買を勝手にやって損をし、預り金が500万円に目減りしたとします。Aという客は引き出しても500万円しか引き出せません。Bという客は、よく言うことを聞き投資ジャーナル銘柄を売買するものとします。こういう人は、また成功報酬もくださる人です。そこでBには、Aの損した500万円分を分譲で儲けさせてあげるわけです。そして、成功報酬をもらうわけです。投資ジャーナル銘柄は、私が大量に保有していましたので、その中から分譲に回して確実に利益を確保してもらうことができたのです。投資ジャーナル銘柄以外も分譲していましたが、その比率は、おおむね3割以下であります。私が回した分譲株はすぐに売却していたようです。
すなわち、Aは1000万円→500万円、Bは1000万円→1500万円となり、当社としては預り金の収支全体としてみたとき変化はないのです。営業マンは、自分の顧客は管理していますので、Aが1000万円→1500万円、Bが1000万円→1500万円になるような分譲はしないわけです。もし、こんな分譲をしていたら、グリーンのノルマが達成できなくなるからです。
また、Aを1000万円→500万円、Bを1000万円→500万円としたのでは、今度は逆にレッドのノルマが達成できませんので、ほっておかないのです。グリーンのノルマは、このパターンですと達成が容易ですが、しかしレッドのノルマができなくなります。そこで、顧客に分譲をして儲けさせて、その中から成功報酬をもらうわけです。
グリーンとレッドという2つのノルマがありますので、営業マンはこの点をシビアにやっていました。従って、成功報酬を考えに入れた場合、顧客からの預り金の収支が合わなくなるということは、営業体系の仕組みとして、ありえないことなのです。
確かに、営業の点で行き過ぎた分譲が一部にあったようですが、その背景には、分譲をした金額以上に損をしている顧客があったからこそその分譲ができたという事情があるのです。投資ジャーナル銘柄以外の株を自分勝手に売買する人は成功報酬をくれない人であり、その人が損をした分だけ他の人に分譲をして、その中から成功報酬を得てノルマの達成がなされていたというように考えていただければわかりやすいと思います。分譲や成功報酬は決して悪いものではなく、優良な客の利益につながっていたと考えてください。
もし、顧客への返済金を減らすことを考えていたならば、注文の窓口を投資顧問の営業マンにして飛ばす努力をさせていたことでしょう。アオイを始め、他の悪徳証券金融は、全て投資顧問と金融の窓口が一緒になっています。それは、客に損をさせることにつながります。当グループはそういう受注体制ではありませんでした。顧客は各証券金融の窓口へ、自分自身の最終決断にもとづいて、注文をだすことができるようにしなっていました。証券会社へ顧客が注文するのと同じシステムにしていたのです。
もし、当社が顧客の保証金を減らそうと考えていたならば、レッドやグリーンと同じように成績管理を厳しくやっていたはずです。グリーンやレッドのように、顧客の保証金を減らした数字を毎日白板に書き上げ、ノルマを設け、それについての報償金体制を作っていたことでしょう。グリーン、レッドに対して、あるいはイエローとでも言っていたことでしょう。しかし、そういう現実は一切ありませんでした。故意に顧客に損をさせようと思っていたことなど微塵もなかったのです。
成功報酬は返済金額を減らすためのものではなかったことを、これでわかっていただけたことと思います。また、成功報酬を考えに入れれば、預り金の収支が合わなくなることはないことが、ご理解いただけたと思います。
組織体系、営業体系、ノルマ体系、受注体系を客観的に考えるならば、成功報酬が正当な顧問料として当然収入に含まれてよいものであると結論づけられます。全体的に組織体系を考えることなく、「一部の分譲の行き過ぎ」とか「程度の低い偽りの収支バランス」をとりだしてきて成功報酬を正当な存在として認めないのは、今回の投資顧問法制定の経緯での言葉を借りるなら、「あまりにも短絡的な見解」ではないでしょうか。しかも、成功報酬は客の了解のもとにもらっていたものなのです。
角度を変えて説明しましょう。たとえば、1000万円を入れた顧客が1200万円になって、儲けの半分の100万円を成功報酬としてくれたとします。この顧客が残りの1100万円を引き出していたとします。ガサ入れによって事件になったので、成功報酬として受け取っていた100万円は当社に返済義務があるというのでしょうか。私は、どう考えても返済する必要はない金と思います。またこの顧客も、返済してほしいとは思っていないでしょう。このように考えますと、成功報酬分の約60億円は返済の義務はないということです。
更に申し上げますと、私の株式売買が百歩譲ってプラスマイナス0であったとしても、この成功報酬の60億円については、金融4社を利用していた全顧客の売買損分で十分埋まるということです。先程申しました、営業マンの仕組みそのものでも説明できますが、全体としても説明しておきます。
検事は、1万人のうち損したのは2割くらいという私の公判供述により、単純に合計の儲けと損が、8対2と考えたのかもしれません。しかしそれは、余りにも単純な考え方で、現実に即しているものではありません。人数での損得の比率が、金額での損得の比率と一致するとは限らないのです。いや、一致しない場合の可能性の方が高いのです。
59年5月と6月に私は、金融会社に追証の必要な客と穴をあけている客のリストをコンピューターにより出させました。
-(注) 追証とは、評価損が、ある一定金額を越えた場合顧客から徴求する追加保証金のこと。
-(注) 穴とは、元金の保証金以上に評価損が出た場合のことであり、当社にとって穴に相当する金額は顧客に対する債権となり、顧客にとっては元金を越える損分が当社に対する債務となる。
追証を含まず、穴の金額の合計だけで、59年5、6月の時点で約40億円もありました。この他に、追証や追証とまではいっていないものの評価損となっている金額は、おそらく40億円の数倍はあったと考えられます。仮に、2倍の80億円としても、穴の40億円を加えれば、120億円の評価損となります。120億円の評価損と40億円の穴をあけた顧客への債権があったということです。つまり、成功報酬の60億円をはるかに超える顧客に対する債権が存在していたということです。
次に、成功報酬の事務的な点について申し上げます。成功報酬は各証券金融から投資顧問各社への直接振り込まれていました。これは、各証券金融から顧客へ、顧客から投資顧問各社へというのを、事務を簡素化して、各証券金融から投資顧問各社へ直接振り込んだものにすぎません。1000万円預け入れていた顧客が200万円の利益を出し、その半分の100万円を成功報酬として払うとした場合に、まず顧客へ100万円返金し、そして、顧客が自分の意思で投資顧問各社へ振り込んだものと同じことなのです。ただ、その事務を証券金融各社が顧客に替わってやっていたにすぎないのです。
もし、この成功報酬の振り込みを無効とするならば、顧客へ今まで返済した分を全て、無効と考えねばならなくなります。とするなら、利益をあげて引き出した人の分も無効と考えねばならなくなります。利益をあげて引き出した人の分を合計し、その金額をその人達が取りすぎた分として、当グループの債権として加えて勘定してもらわないと矛盾してしまいます。
一方における考えともう一方における考えが、互いに矛盾するわけです。矛盾していては、正しい答えは出てきません。「御都合思考」と言うべきもので、非論理的思考の代表であります。
検察の考えはまさにこの「御都合思考」そのものです。成功報酬を収入に加えない収支計算は、さしずめ「御都合経理」とでもいうべきものであり、真実を曲げるものであります。
以上詳しく述べてきましたように、成功報酬は収入に加えられるべきであります。表6-1では、成功報酬を加えて、収入を計算いたしました。
*****②有価証券売却益
収入合計の中に有価証券売却益が含まれておりますが、まず、この数字が間違っていたことはみなさんすでにご承知と思いますので、すべて排除いたしました。①の成功報酬を加え、有価証券売却益を差し引いて計算した数字が、表6-1の④です。
有価証券売却損益を計算する際に、樽見ノート分を全くの独断と偏見によって処理していたことからみても、彼らのやり方が、もはや、客観とはほど遠いものであることが明らかです。さらに、経理解明報告書資料6-(9)で不明有価証券なるものを勝手に算出し、50億2099万3761円もの不明差入れ有価証券をバランスシートの中にもぐり込ませているのです。このようなインチキをしておいて、バランスシートが合いましたと、よくもまあ堂々と裁判所に提出できたものです。これ一つをとってみても、彼らの報告資料は信用するに足りないものであることがわかります。適当にバランスを合わせているだけなのです。明らかに間違っているこの有価証券売却益を排除することは、誰にも異論のないことと思います。
さて次の問題は、当局より新たに計算しなおして算出された有価証券売却損益を損益計算書に加えるべきか否かです。私は否と思います。と申しますのは、株式売買の全口座が出されていませんし、しかも、中江の売買が全体の中で大きな比重を占めているにも拘らず、中江の取引の扱いが中途半端でありいいかげんなものだからです。
更には、中江の個人的持ち物であった京都のマンションや駒形のマンションが、事件後被害者へ弁済されているにも拘らず、これらは、合算損益計算書にも、合算バランスシートにも載っていません。
中江の給料も、支出としては損益計算書に載っていても、収入としては載っていないのです。つまり、中江個人分を全て合算しているわけではないのです。これは、片手落ちです。
基幹の10社プラス中江とするか、あるいは基幹の10社のみとするか、いずれかに考え方を統一すべきです。
中江への貸し付金の約18億円は、仮に10社プラス中江として合算するならば、グループ間の振替として、両建てにして落とすべきです。それなら株式売買損益を加えてもよいでしょう。そして、昭和57年8月から昭和59年5月までの中江からの株券での入庫分については、中江がどこかで儲けてきたとの考えにもとづいて株式売買収益に加えねばなりません。それなら証券金融へ支払った金利も加えてもよいでしょう。ただし、顧客の客注分の金利については顧客よりの収入としなければなりません。
次に、10社のみを合算し中江分を入れないのであるならば、中江の株式売買を入れてはおかしく、金利も入れてはおかしいのです。会社に関係なく、中江が会長玉として株式投資をやっていたというのなら、金利は中江個人が支払うべきものですので、金利を入れてはおかしいということです。
これらの件については、のちほど損益結論のところで改めて説明いたしますので、ここでは単に有価証券売却益を、収入から差し引いておくとのみ考えてください。
*****③合算10社以外の売り上げ
合算の対象となる10社を、当局が勝手に選び出して損益を計算したことも、実体とかけ離れた計算結果が出た原因の一つです。また、この合算10社についても、当局の都合のいいように解釈され、一貫性に欠けるものがあります。
例えば、売上高のうちの広告料収入ですが、この10社以外のグループ各社からの広告料収入を削除しています。合算10社以外のグループ各社からの収入を削除するのであれば、当然合算10社以外のグループ各社への支出も削除すべきです。不動産経費、広告料あるいは飲食費のほとんどは10社以外のグループ各社への支払いであり、これらを全て削除すべきです。支払いだけ立てて収入を立てなければ、赤字になるのは当たり前のことです。
特に、投資顧問部門においての収入が入っていません。証券ニュース社や、証券ハイライト、ケイニチ等の合算10社以外の投資顧問各社の売り上げは膨大な金額となります。証券ニュース、証券ハイライト、株界、ケイニチは投資ジャーナルと同じように、出版もしながら投資顧問もしていたのです。
これらの法人は、会社ごと私が買収したものです。バランスシートの項で詳しく申し述べますが、商法第285条17により他から買い入れた時には資産と認められるノレンを買い取ったわけです。買収するにつき、「前オーナーから株を買い取り、それとは別に、買収した法人に金を貸す」、これが条件でした。そして、出版は出版で別会計で行わせ、それとは別に、その出版社の名前を使って各柱に投資顧問をやらせていたのであります。投資ジャーナルの電話を使い、社会保険の関係で投資ジャーナルから給料をとっている社員が営業をしていたわけです。広告も、投資ジャーナル扱いでもらっていたのです。すなわち、当局が作成した集計表にのっている一般管理費等の支出を使って売り上げを得ていたのであります。これらの会社の顧問料売り上げを加えなければバランスは保てません。
検察側がいっているようにいくつもの会社で投資顧問を営んでいたわけであり、それらの収入金が合算10社以外ということで漏れているのです。収入や残資金が、合算10社以外にも存在するのです。勝手に合算10社を選び出し、さもこれで投資ジャーナルグループの収入と資産の全てであるかのように装った、当局のトリックがうかがえます。余りにも汚いやり方であると言えるでしょう。
以上、収入については、成功報酬と合算10社以外の顧問料収入が抜けていることを明らかにし、有価証券売却益は計算から外すべきであることを明らかにしました。これにもとづいて作成したのが、表6-1です。
尚、細かいことですが、指導料収入の57年10月のマイナス5000円というのは明らかにおかしいのです。こういった、その他の私にとって不利なことについてはあえて修正を加えず調べもしないままほってあります。調べればおそらく、前後の収入から考えてゆうに2000万円は収入が増えることでしょう。その他細かい点は多々ありますが、大きな点のみで考えることにします。
****三、支出について
*****①広告宣伝費
59年4月と7月が約3億円、普通の月と比べ異常に多くなっています。これは、4月は広告会社の期初ですので、1年分を前払いしたからではないでしょうか。税金対策のためこういったやり方をしておりました。ただ、これについては調べてみないと正確にはわかりません。
別の所でも述べますが、広告宣伝費は、活動期の後半においてはそのほとんどがグループ内の広告宣伝企業へ支払われていたものであります。グループ内ということで広告収入を削除したのであれば、広告費の内でグループ内の企業へ支払われた分は削除すべきであります。広告宣伝費21億1878万8886円の内、グループ内企業への広告費、証券ニュース、ケイニチ、証券ハイライト等の業界誌紙、及びインデックス出版への広告、さらにトロンワンというグループ内の広告代理店への支払手数料については削除すべきものです。21億円の内、これらを大雑把に見て2割の4億円としておきます。
*****②接待交際費
合計で3億3546万3651円が計上されていますが、これもその大半がグループ内の飲食店への支出でございます。大鳥のやっていた「ラグー」や「オンエアー」。寺本のやっていた「あたらし」、当社が直接やっていた赤坂の「アミー」。グループの食堂であった「ヒロ」、グループの喫茶店「ルディー」への支払いがそのほとんどなのです。これは本当なら、グループ内振り替えというべきものです。これらこそ、実際にお金が動いていなかったわけであり、グループ内での取引ですので、削除すべきです。
例えば、大鳥のやっていたラグーという店で、小野班が400万円使ったとします。ラグーから小野班へ400万円の請求がいき、小野班の成績が大鳥班へ成績として400万円移動するというだけのことなのです。まさにグループ内振替の典型というべきものです。これこそ、成績の移動だけですので、相殺し修正すべきものです。当局は、自分らの不利になることについては修正をしていないのです。
捜査当局のやり方は偏見にみちており、一方的であり一貫性がありません。客観的な捜査資料などできるはずがありません。以上によって、接待交際費3億3546万3651円の内、約2億円をグループ間の振替として削除します。
*****③支払手数料
合計で8億7000万円もありますが、原稿料以外の顧問料の支払金と不動産業者に対する仲介手数料で8億7011万5328円になるとは考えられません。しかも不動産の仲介手数料とありますが、この不動産会社も当グループの会社であり、グループ間振替であります。8億円の内、半分の約4億円はおかしいものと一応考えることにします。
*****④管理諸費
4億3840万9293円もありますが、これも多すぎます。顧客紹介料をグループ間振替で修正する時に間違いがあったのではないでしょうか。信用取引の損益だけでも3億円もごまかした当局ですので、ここの管理諸費においても同じことがなされていると疑われて当然でしょう。
*****⑤営業外費用の中の支払利息割引料
親金融への支払金利は、中江の個人勘定を合算するかどうかに、かかっています。損益結論のところで詳しく説明しますので、ここでは、支払利息割引料を一応差し引いて、支出の各月合計を出しておきます。
ただ、57年12月は34億3865万円の借り入れで、58年1月は42億3940万円の借り入れです。ところが利息は、12期が6154万6706円で、58年1月は1億1658万5746円にもなっています。これはどう考えてもおかしいわけであります。58年2月の借り入れが50億6970万円で、利息は9800万7164円です。これが正しいと思われます。ということは、58年5月も約2億円おかしいことになります。
合計の利息の計算では、約2億3000万円おかしいということとなります。(表6-4)
*****⑥その他営業外費用
経理解明報告書81ページ52、有価証券評価のところで、「担保差入れ有価証券の評価下落で、追証金が計上されている」とありますが、約129億円相当の株券を入れ、103億円しか借りていない時に、追証になるわけがありません。しかも、わずか約2000万円の追証というのです。仮に追証を払っていたとしても損金扱いにしてはおかしいのです。修正計算において株式売買損益を一本化した以上、追証分だけを損金扱いにすると、二重に損金を計上することになるのです。
ここでも、検察の有利な場合には修正するが、被告人に有利になりそうな時には修正しないという当局の修正計算の基本姿勢が現われています。およそ彼らのやった修正は信用するに足りないものです。その場その場で場当たり的に、収支が赤字になるように赤字になるように、資産が少なくなるように少なくなるように、トリックをしていっているのです。
この、その他営業外費用の有価証券評価損は2000万円の違いですので、どうってことはありません。しかし、たとえば、当初の修正計算では信用取引で3億3678万7093円もの損失が計上されていたのに、計算を吟味したところ、約2億5000万円の計算違いと約1億円の手数料の二重計上が判明したことにより、一転してプラス勘定へと転化した事実があります。当局作成の資料が、被告人におそろしく不利になるように、数々のトリックをもって創作されていることを如実に示すものであります。
****四、損益結論《考え方 その1》
検察の作成した資料にもとづいて、収入の合計から有価証券売却益を引き、成功報酬を加えると、109億5976万9225円となります。(表6-1の④欄)
支出から有価証券売却損を引き、支払利息割引料の内、親金融への支払利息のみを引きますと、97億2751万9769円となります。(表6-1の⑧欄)
すなわち、当局作成の損益計算に成功報酬を加え、有価証券売買損益と株に関する金利分を差し引きますと、12億3224万9456円の利益となるわけです。
ここで、有価証券売買損益は、いかなる立場をとったとしても考えに入れる必要がないことを詳しく説明いたします。
株式売買損益一覧表によりますと、57年4月から59年8月まで、買い代金の合計が1057億4800万4458円、売り代金の合計が967億4069万707円であります。すなわち差し引き90億731万3751円を買い付け代金としてキャッシュを使っているわけです。これだけの時価評価の株券が残っていれば、株式売買損益はプラスマイナス0となります。
さてこれ以外に、顧客よりの預り株があります。経理解明報告書の資料6-7によりますと、預り株が累計で156億3610万5435円あり、返戻株が累計で109億7045万3013円あります。差し引きでは46億6565万2422円となります。預り時の株価で考えて、46億6565万2422円分の株券が残っていればよいわけです。
すなわち、原価90億731万3751円の株と顧客よりの預り株46億6565万2422円の合計136億7296万6173円分の株券に加えて、57年3月末にあった1億6792万分の株券の総合計138億4088万6173円分の株券が投資ジャーナルグループに残っていれば、株式損益は最低プラスマイナス0であったと考えてよいわけです。
実際には、顧客の預り株は預り時の時価と59年8月23日の時価とでは開きがあります。資料がないわけでもなくコンピューターなので、すぐ出てくるにもかかわらず、どういうわけか当局はこれらの計算を提出することを拒否しているようですので、一応当局の考え通り、預り時の時価分で株券を顧客に返すと考えることにいたします。おそらく、預り時より株価が下がっていますので私が顧客へ返却すべき株の量が減ってしまうから、当局は故意にこの計算を出してこないのでしょう。
さて、138億4088万6173円分の株券が残っていれば、株式売買に関しては損はなかったとしてよいということです。(注 この考えに基づいて57年4月から株式損益を出したのが表7です。これを実質株式売買損益と呼ぶことにします。)
親金融に130億5901万7132円(資料6-8)、会社に2025万4682円(資料6-11)、信用取引と先物取引の担保に1億761万2000円(資料6-12)の株券が残っていたことがはっきりしています。合計しますと、131億8688万3814円です。(実質上は私が明らかに手持ちしていたと計数的に逆算できる株券を加えねばなりませんが、ここでは計数的逆算による私の手持ち株は一応考えに入れないで計算してみます。)とすると、138億4088万617円マイナス131億8688万3814円の6億5400万2359円が評価損ということになります。
ところがこの残株の評価は、8月24日朝投資ジャーナルへ強制捜査があり、投資ジャーナル銘柄が急落した後の株価による評価です。公平を期するためには、8月23日の大引けで残株を在庫評価せねばなりません。8月23日の大引けと8月24日の大引けでは、関東電化株だけをとって考えても、一株で200円の株価の差があるのです。300万株くらい残っていたと思いますので、これだけで考えても6億円となりますので、8月23日の大引け値で残株の時価総額を考えますと、138億4088万6173円以上となり、株式売買では少なくとも損はなかったということになります。すなわち、59年8月23日の損益計算に株式損益は考えなくてもよいということです。本当は逆に益を考えなくてはいけないくらいなのです。
もう一点、信用取引の損益はプラスとなりました。と申しますのは、当局は最初3億3678万7093円の損としていたにもかかわらず、ケタ違いをしていたということで8619万4093円の損になったわけです。ところがさらに追求していくと、信用取引の損益において、現引き、渡し株の時の経費分が信用取引でも引かれてかつ現物取引においても引かれていることが判明しました。その合計金額は1億682万7421円となり、結局信用取引では、差し引きで、2063万3328円の利益であったことになったのです。
以上により、現物取引も信用取引もプラスとなりますので、株式の損益は一切考えることはないということになります。当局の計算によりますと、138億4088万6173円分の株が元金で、取引での評価損が10億7368万4120円あったということになりますので、差し引きしますと、127億6720万2053円の株券しかないはずなのです。ところが、実際は8月24日の時価評価でさえ、131億8688万3814円の株券が実在したわけです。
この誤差は一体何でしょうか。考えられるのは、
+損益計算のまちがい
+中江が個人の株を入れた
+顧客よりの預り株の評価が上がった
この3つが考えられます。どの理由であれ、8月23日現在においては、買付原価以上の株券、預り時の時価以上の株券が残っていたわけですから、最悪でも株の損は考えなくてもよいという結論になります。
最悪に考えても株式の投資は損ではなかったことを念頭において、さらに考えを進めますと、あとは支払金利をどう考えるかということです。この親金融への支払金利は株式売買と裏表一体のものです。株式売買を集計計算の中に入れれば、金利をも入れねばならず、金利を入れれば株式売買を入れないと矛盾することになります。ところが、当局は私のやっていた株式売買の氷山の一角しかつかんでいないわけです。先の各論1,での主証明1や、各論2,で証明しましたように、私は明らかに他で大量の利益を得ていたことが客観的にわかっています。また、検察の主張する簿外で私が使ったという約30億円は、一体どこから私が得たというのでしょうか。検察はその30億円を中江滋樹へのグループよりの貸付金約18億円と、使途不明金約16億円により説明しようと試みましたが、それは経理知識の欠如に起因するインチキであったことがすでに露見しております。中江滋樹への貸付金は株の受け渡し(金利含)に使用されたものであり、かつ使途不明金が約16億円あるとした考えも、樽見ノートによる不明株券を50億2099万3761円も偽って計上していたオソマツ極まりないインチキの露呈により、もろくも崩れさったのです。
では、簿外で中江が使ったとされた約30億円ものキャッシュはどこからきたのでしょうか。中江が当局のつかんでいない口座によりマネーウォッシングなどによって、儲けていたとしか考えられないわけです。すでに詳しく申し述べたところです。とするなら、もし合算10社に中江の株式売買を加えるとき、一部の口座での株式売買損益だけを加えたのでは、実態とおそろしくかけ離れた数値になることは自明の理であります。
国税当局にはあまり儲かっていない口座を提示するはずです。つまり、表の口座ではあまり儲けないということです。その通りです。私は推奨銘柄を決める立場にいたわけであり、最も安い値段で買える立場にいたわけです。100パーセント儲けられる立場にいたのです。そんな私が、20万株50回を越えたら利益の80パーセント近くも税金でもっていかれるようなことをするでしょうか。50億円儲けても、40億円も税金でもっていかれるようなことをするでしょうか。するわけがないのです。
すなわち、安い値段で大底を買う時は、社員は勿論、国税に絶対にわからないようなところで買うにきまっています。国税対策を万全にやっていた私の裏取引口座が警視庁生活課ごときの経理と株の素人にわかるわけがないのです。
私がグループ企業以外、表口座以外のところから大金をもってきていたことは、
+簿外での30億円もの費消
+57年8月、10億9342万7948円分もの株券をグループに貸している現実(各論の証明1)
+59年5月、5億4117万2172円分もの株券をグループに貸している現実(各論 ○○ )
から証明されるわけです。これらにより、中江が裏口座で大量の株式売買益を得ていたことがわかるわけです。
表の口座での売買益が少ないのは、税金のことをふまえ、かつ株式売買上のテクニックを考えるなら当然のことであります。と申しますのは、裏の口座で安いところを大量に仕込み、表の口座で派手に売った買ったを繰り返し人気をつけていったわけです。表の口座が収支トントンか、あるいは少し損か少し利益となっているのは当たり前です。
その最もわかりやすい例が信用取引の口座での売買です。あれほど大量に売買をしながら、わずか数千万円の利益であった(マイナスとなっているのは警視庁の間違い)現実を見るなら、納得していただけることでしょう。表の口座は税金の関係と人気をつけるための売り買いを頻繁にやるための口座であり、儲けるための口座ではないのです。いわば犠牲フライと同じことです。点数を稼ぐために犠牲のバンドをしたり、犠牲のフライを打っても打率は下がりません。これと同じで表に出ている口座や、その犠牲のための金利だけで全体の株取引の損益を計算してはおかしいのです。当局はまさにスクイズバンドばかりを計算して、「お前は打率が低い」と言っているようなものです。
当局は表の口座の損益(これも間違っています)と支払金利のみを10社分に加えて全体の損益を出していますが、これが実態からみて誤りであることはもはや明らかとなりました。この損益がおかしいことは当局も準備手続きでも薄々認めておりました。最後には「もっと他によいやり方があれば教えてほしい」などと言っていました。どうして私に聞かなかったのでしょうか。いくらでも教えてあげます。本件の捜査資料が極めていいかげんなのは、まさに私から直接に取調べをしないで、勝手に自分達の創った虚構に基づいて資料を作成したからです。いたるところで間違いや矛盾が出ているのは当然のことです。
それでは私が現実的かつ実質的な株式売買損益の計算を当局にお教えいたします。これが今考えられる最も真実に近い株式売買損益の出し方であります。今後私のこの売買損益の出し方を、実質売買損益法と呼ぶことにします。極めてむずかしいのでよく精神を集中し、頭を冴えさせて聴いてください。
計算するに際しては全て当局作成の資料の数字を使うことといたします。ただ一点、中江がどこかから稼いでもってきたことが明らかな株券に関しては、投資ジャーナルグループへ入れた株券は8月24日までに、中江の裏口座へ返却されたわけではありませんので、会社としては中江からその株券をもらったと考えてよいわけです。すなわち、もし表の口座で損をしていたなら、中江が裏口座の儲けで埋めて責任をとったと考えていただければよいわけです。といっても、中江が投資ジャーナルグループに入れた株券の金額をいいかげんに算出するのではありません。計数的に逆算により算出しますので公平であります。
イ、株券の存在量すなわち残っている株券の金額の総量と、
ロ、証券会社を通して買い付けた株券プラス顧客より預かった株の総量、
このイとロとを比較することにより、実質上の株式売買損益を出そうというものです。株式売買損益として厳密にいえば正しいわけではありませんが、少なくとも当局のやった机上の空論的損益よりは、はるかに実態に近づいた株式売買損益となります。
表7を見てください。買代金の累計から売代金の累計を差し引いて累計買越代金を出しました。証券会社からの差引累計買越代金をAとし、顧客よりの差引累計預り株の評価額をBとします。A+B+57年3月末残っていた株の評価額1億6792万円を加えた数字を各月毎に出していったのがCです。すなわち、Cの数字以上の時価総額の株券があれば、株式売買は57年4月1日よりその月末までの累計としてプラスだったことになります。逆にCの数字を下回っていれば、下回っている分だけ損をしてきたことになるわけです。Cはいわば原価みたいなものです。あとは実際残っていた株券がいくらであったかを計算すればよいだけです。
親金融へ差し入れられていた株券の累計は資料6-8に出ています。また、信用取引および先物取引への差し入れ株券の累計残は資料6-12に出ています。この2つを足したものが目に見える残株です。Dにその累計を載せました。
ところがこれだけでは足りません。証券会社で買い付けた株や顧客から預かった株は、全て親金融へ入れるか信用取引および先物取引の代用にするなんてことは常識としてありえません。キャッシュを全額必ず銀行に入れ、銀行口座のキャッシュ以外ありません、と強盗に言っても信用してくれないのと同じです。必ず、手持ち現金というものがあるのは常識です。しかもこの場合株券です。金が余っているのに、高い金利を払って親金融へ株を担保に入れて金を借りるバカな経営者はいません。すなわち、手持ち株が存在したと考える方が当局のように存在しなかったと考えるより、数段常識的であり合理的であります。
計数的逆算により、57年8月までの手持ち株の存在はすでに各論の証明1で明らかとなっております。また、57年9月以降についての手持ち株も計数的な逆算で明らかとなっています(4-4)。目に見える残存株(すなわち、親金融へ差し入れられていた株券プラス信用取引、先物取引の代用として差し入れられていた株)の合計(D)に、最低手持ちしていたであろうと計数的逆算により計算された株の金額を加えねばなりません。その数字がEです。EからCを引くと累計株式損益が出てまいります。Fが累計での株式売買益となります。59年8月の数字が2つあるのは、下段に押収株券2025万4682円を加えた数字を入れたからです。
このようにして最も真実に近い株式売買損益が出てきたわけですが、この株式の売買益を全体の収支に加える以上、金利を経費に加えねばなりません。表6-3が、実質株式売買益を加え、そこから親金融への割引利息料を引いた数字です。この12こそが真実のもっとも近い損益計算となります。
57年4月は赤字ですが、これは立ち上がりであったので何かと費用が要ったことに加え、57年4月より新しく“柱”制度が始まったためにそれ以前の精算をしたことによるしわ寄せがきたものと考えられます。しかし、わずか、467万3257円であり、取るに足らない赤字です。それ以降は、一貫して黒字であります。
59年7月、6億9011万5684円の赤字となっておりますが、これについては明らかなる支払利息割引料のまちがいであった約2億3000万円と、グループ内への支払分10億円を差し引くなら、黒字となります。
59年8月は、まだ8月がしまっていない段階で考えるというのもおかしい話ではありますが、あえて考えるとしても、わずか、12億9127万4841円の赤字となっており、支出の間違いの約12億2000万円と収入分で10社以外の投資顧問の売り上げがスッポリと抜けている分を考え合わせるならば、十二分に黒字であったといえます。
以上により、投資ジャーナルグループ10社と、中江の表の株式売買の損益と金利を加味した損益計算は、黒字であったという結論が導き出されました。損益計算が黒字であった以上、損益計算書と貸借対照表の関係からして、当然返済能力があったということになります。
****五、損益結論《考え方 その2》
次に全く違う観点から、黒字であったことを証明します。
当局のやり方には経理を考えるにあたっての基本的条件に統一性がありません。ここでは、条件を整理しながら統一した考えのもとで損益の計算をしてみたいと思います。
まず、10社のみで損益計算するのか、あるいは10社に中江個人を加えて計算するかを考えねばなりません。検察の計算はこの点がきわめて中途半端なのです。10社のみで損益を計算するのなら、中江個人の株式売買と決めつけている株式売買損益やそのために使われた親金融への支払利息を支出に加えるのはおかしいわけであります。株式売買は中江が勝手にやっていたというのが検察の一つの考えのはずです。それならば株式売買とか金利とかは全体の損益計算から除外するべきです。10社のみで考えるということになったとき、株式売買損益と金利を除きますと、表6-3の11欄となり、一貫して黒字であったことになります。表の上では57年9月から58年4月まで赤字のようになってはいますが、これは57年9月の投資ジャーナルの決算対策のために、まだ支出する必要のないものを支出したためです。顧問料や広告等の経費を先払いしたのだと思います。
次に、10社プラス中江と考えて合計するということになりますと、まず中江の給料分はグループ間振替にするべきであり、かつ、貸借対照表に私の個人財産を加えねばなりません。また、中江への貸し付け金も、グループ間振替として消さねばならないはずです。とにかく検察のやっている計算には統一性がないのです。百歩譲っても、中江個人も入れて10社プラス中江で合算するというならば、中江の株式売買は会社のための株式売買であったと考えるべきであります。実際株式売買は、会社のため顧客のためであったのです。59年2月末までは顧客の客注株のうち約7割はつないでいたと考えています。投資ジャーナル銘柄を現実に保有していたからです。顧客よりの引き出し要請があれば、実際、これら保有していた株の中から顧客へ返戻していたわけです。返戻していたという証拠はいくらでもありますし、その証言はいくらでも得られます。当局が中江個人株式売買としている口座で買い付けられ親金融に預けられていた株が、実際に顧客へ返済されているのです。
172ページの資料6-(7)によりますと、株数にして1797万3965株、金額にして109億7045万3013円分もの株券を顧客に返済しているわけであります。これらは架空ではなく、実際に株券で返済されたものであります。
株式売買は、59年8月23日現在で考えると、最悪に考えてもプラスマイナス0であったことは、前項で証明しました。59年8月23日現在で金利を入れなければ実質の損益計算が12億3224万9456円の益となり、金利を入れてかつ株式売買をプラスマイナス0とした場合には18億7244万5523円の損となります。この18億7244万5523円分がここで問題となってくるわけです。
この損失となっている18億円余りのものは一体何なのでしょうか。実はこの18億7244万5523円分は顧客が当社に対して支払うべきものなのです。金利分累計31億469万4979円の内、実際つないでいたと考えられるおよそ70パーセントに対応する約22億円分の支払金利は、顧客が支払うべき金利だからです。
裁判長は「顧客が株式売買で損得がなかったかと考えなさい」と言われました。この裁判長の考えにそって損益を計算していきますと、顧客分の金利は支出の中に含めてはいけないのです。もしくは、顧客よりの収入として金利を計上し両建てにしなければならないわけです。
1000万円入れて、2年後1000万円引き出した人がいたら、その人は金利分を株式売買で儲けて引き出したことになり、裁判長の言われました株式売買損益は、プラスマイナス0であったと考えるという前提条件が崩れ去るわけです。すなわち、約31億円の金利の内の約70パーセントは、当然顧客よりもらわねばならない金利であったということであります。
とすると、当グループは細かい間違いの支出や抜けている収入をいちいち細かく調べなくとも黒字であったという結論となるわけです。ちなみに、修正前の10社合算公表損益計算書をみますなら、21億5837万8646円の支払金利となっております。顧客よりの受け入れ金利は、受入手数料20億2604万742円の中に含まれているわけでございます。公表損益計算書からも、顧客のための金利は21億5837万8646円として会社の経理に計上されており、残りの約10億円が、中江の個人的株式売買のための金利であるということがはっきりとします。
以上により、金利の支出31億469万4979円の内、約22億円は本来顧客よりもらえるものであり、支出に加えないで計算すべきであることが明らかになりました。このように考えてきますと、59年8月24日現在でもなお3億円の黒字であったという結論が出るわけです。一貫した条件下において損益計算を進めていきますと、黒字であったという結論に達するのです。
検察のやり方は御都合主義のやり方であり一貫性に欠けるものであります。条件がその場その場で変化するのでは、正しい計算はできません。検察は幼稚なトリックを思いついたものです。
正論によって公判を維持しようとしない検察には、法に保証されている検察としての権利はすでに存在しないものと思います。このようなインチキをしてでも、そしてそれが客観的におかしいことがわかっていても主張を変えないでゴリ押しして、ムチャクチャの論告求刑をやってのけた検察の姿は、まさに検察ファッショと呼ばれてしかるべきものです。
この検察の安易なる姿勢を許してきた裁判所にも、大きな責任があるのではないでしょうか。本間検事の言った「求刑によって判決がそのカケ目として決まる」ということがもし本当であり、検察の求刑により判決の判断が左右されるのが真実であるならば、判決とは一体何なのでしょうか。検察のインチキ起訴とハッタリ求刑を裁判所が安易に黙認していることにはならないでしょうか。
客観的数字によりここまで証明した以上、厳しく検察に対して注意を喚起していただきたいと思います。
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