大塚家具の親子ゲンカ-⑤
- 2015.04.07
- 山根治blog
この親子ゲンカの裏には、(株)三井住友銀行という金融機関が控えており、娘である大塚久美子氏を巧みに操っているのではないか。前回指摘したことである。
それにしても何故この女性が操り人形の役割を演じているのか不思議である。彼女は一橋大学出身のいわば才女だ。実の父親を足蹴にし、父親が苦労して育てあげた会社の存続を危うくする行為を平然と行ない、しかも、結果的に自らも破綻するおそれのある行動をしているのであるから、通常の理解を通りこしている。何かに取り付かれているとしか言いようがない。
この女性の理不尽な言動を見ていると、20年前、地下鉄サリン事件を起したオウム真理教を思い出す。東大卒、京大卒など高学歴の信者が信念をもって殺人兵器を造り、平然として殺人に手を染めた事件だ。グルと称する麻原某によってマインド・コントロールされていたと言われている、いまわしい事件である。
さきに「理不尽な言動」と述べたが、具体的に言えば彼女が大塚家具の社長として行ってきた第38期(平成20年12月期)以降の資本政策、つまり株主還元策がデタラメであることだ。
このことは第1表と第4表を見れば一目瞭然だ。
赤字に転落しても増配を続け、しかもまともな経営者であるならば心得ている配当金の支払い限度額(仮に「配当可能限度額」とした)を大幅に超える配当金の支払いをしているのであるから唖然とする。会社の資金繰りなどお構いなしだ。企業経営において資金繰りがいかに大切なものであるのか、彼女には分っていないようだ。
ことに、このたびの株主総会で、これまでの一株40円の配当金を2倍の80円にしようとするなど狂気の沙汰である。プロキシー・ファイト(委任状争奪戦)のためとはいえ、あまりのことに開いた口が塞がらない。
父親のほうにも問題がある。対抗策として打ち出した配当政策がそれだ。背に腹はかえられないとばかり、娘の2倍の提案に対して、3倍の120円の配当金の支払を提案しているのである。120円の配当をした場合には通常の資金繰りに19億円もの穴(第4表)があくことになる。しかも、120円の配当を当面続けると言っている。
親娘ともども、このような配当金の支払資金をどのようにして調達しようというのか。大塚家具の貸借対照表の資産の部を見るに、さほど多くない運転資金が細くなる一方である。運転資金が足りなくなれば、投資資産を取り崩したり、借入金か増資に頼らざるを得なくなる。無理な配当をするために戦略的に保有していた投資資産を売り払ったり、借金したり、増資したりする、-これではまるでブラック・ジョークの世界だ。
以上のようなことを考えながら、平成27年2月13日に公表された決算短信(平成26年12月期)をのぞいてみたら案の定、資金繰りの小細工がなされている。しかも単なる資金繰りの小細工だけにとどまらず、経常利益の段階で242百万円赤字が出ているのを補うために、特別利益として2,149百万円もの投資有価証券売却益が計上されているのである。
さらに子細に見ていくと、特別損失として見なれない勘定科目が飛び出してくる。
+減損損失 440百万円
+厚生年金基金解散損失引当金繰入額 507百万円
である。
つまり、2,149百万円の投資有価証券(特定投資株式)売却益がなければ、税引前当期純利益は実に1,189百万円(242百万円+440百万円+507百万円)もの大幅な赤字であったということだ。違法であるかどうかはともかくとして、決算書のドレッシング(粉飾)であることに変わりない。
この異常な株式売却益に関連して実際にいくらキャッシュが動いたのか。キャッシュフロー計算書を見るとこの特定投資株式の売却によって4,750百万円の運転資金を手に入れていることが判る。
以上の事実をもとにすれば、大塚久美子社長が考えていたのは次のようなことではなかったか。
これでは単なる決算のつじつま合わせと姑息な資金のやり繰りである。経営判断以前の問題だ。これまで経営戦略的な意味合いから大切にしてきた重要な取引先との「円滑な取引関係の維持」もへちまもあったものではない。取引先に絶縁状を突きつけるに等しい行為だからだ。まともな経営者のすることではない。大切な取引先の株式を前後の見境もなく売り払ってしまうのであるから、創業者である大塚勝久氏が慌てふためいたのも想像に難くない。
この女性、頭の中がスポンジ状態にでもなって、何ものかに操られているロボットに堕しているとしか言いようがない。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(“この猫はどんな姿で寝てるだろ?”)
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