民主党政権の置き土産-偽りの査察調査-②

 日本国憲法は、法の規定にもとづく国民の納税義務(憲法第30条)を定めると同時に、国は法の規定によらなければ国民に課税することができない(憲法第84条)と定めている。

 「法の規定」についてはそれぞれ、「法の定めるところ」(憲法第30条)、「法律又は法律の定める条件」(憲法第84条)という文言が使われている。

 つまり、これまでは国民の納税義務(憲法第30条)についても、国民が不当な課税を受けない権利(租税法律主義の原則、憲法第84条)についても、「法の規定」そのものが欠けているか、あるいはあったとしても、どのようにも解釈できるいいかげんなものであった。

 自らをドジョウと称した野田佳彦総理といえば、消費税の増税に道筋をつけたことが一般に知られている。
 ところが、この人物が菅内閣の財務大臣の時に何をしたのかについては、余り知られていない。国民的な議論が十分になされないままに、いつの間にか成立していた税金がらみの重要な法律がいくつかある。
 財務官僚にうまく丸め込まれて、相続税の増税に手を付けたり、脱税の罰則を懲役5年から10年に引き上げたり、新たに不申告罪を創設してこれまでの脱税並みの罰則(懲役5年以下)にしたりと、驚くような改正が矢継ぎ早になされているのである。
 その中の一つに国税通則法の改正があった。従来、法人税法とか所得税法など、個別の税法に置かれていた質問検査権、つまり税務調査の規定が、国税通則法に組み込まれて、一本化されたのである。
 税務調査は、強大な国家権力の行使でありながら、驚くべきことに、これまでは具体的な手続きが法律で定められていなかった。そのために、税務当局のやりたい放題、デタラメな税務調査がまかり通ってきた。「脱税摘発の現場から | 間違いだらけの税務調査」で詳しく指摘しているところだ。
 納税者の代弁人であるべき税理士が、完全なまでに税務当局にコントロールされ、税務行政の下請けに堕していることも、税務当局の好き勝手な振る舞いを助長した。

 国税通則法の改正によって、税務調査の手続きが定められたのは遅きに失した感がある。とはいえ、具体的な手続きが不十分ながらも法律で定められたのは、納税者にとっては大きな前進であった。
 詳細については別稿に譲るが、例えば「大阪国税局の犯罪-暴力組織としての“資料調査課”」で紹介した東京国税局や大阪国税局の資料調査課による怪しげな税務調査など、改正後の規定によれば明らかに違法であり、調査そのものが手続違反によって無効となる。
 これらのケースに限らず、ミニマルサと称され好き勝手な振る舞いをしてきた「料調」(資料調査課による税務調査。たてまえは任意調査であっても事実上の強制調査(査察)。)は今後影をひそめることになろう。料調方式の事実上の終焉(しゅうえん)である。

 税務調査についての法改正は平成23年12月になされ、平成25年1月1日から施行された。
 改正法が施行されてから8ヶ月が経過した現在、思いがけないことが判明した。改正法の中にとんでもないものが仕込まれていたのである。
 財務官僚の小間使いであった、当時の野田財務大臣は勿論のこと、改正案を作成した財務官僚もあるいは気付いていなかったのではないか。私自身、明確な形で確認したのは、法が施行されて3ヶ月が経過した、平成25年4月のことであった。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“橋下と遼が嫌いってヘンですか?” -秦野、てっちゃん

(毎日新聞、平成25年7月26日付、仲畑流万能川柳より)

(正常です。)

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