2013年7月

縁結びということ-2

“袖振り合うも多生(たしょう)の縁”(道行く知らぬ人と袖が触れ合うことさえ宿縁による。すなわち、ちょっとした出来事もすべて宿世の因縁によるという意。-広辞苑) という諺がある。  「縁結び」が仏との結びつきに始まって、物事との結びつき、人と人との結びつきを経て、男女の結びつきに至ったことは前回述べたところである。  現在「縁結び」については、第一義的には男女の結びつきがイメージされるようになってい […]

縁結びということ-1

 出雲地方で縁結びの神といえば、大国主命(オオクニヌシノミコト)と稲田姫(イナタヒメ)だ。それぞれ、出雲大社(出雲市)と八重垣神社(松江市)に祀られている神である。この縁結びの神、男女の仲をとりもつ神であるという。このところ、結婚願望の強い若い女性に人気がある。  大国主命も稲田姫も、古事記、日本書紀に登場するおなじみのキャラクターである。ともに物語性の豊かな存在ではあるが、必ずしも縁結びの神では […]

日本神話のヘンシン-4

 日本神話のヘンシンの最後は、明治維新の際に創作された「国家神道」だ。7番目のヘンシンである。  「国家神道」で使われている神道という言葉自体、それほど古くからのものではない。平安時代の末頃から用いられたものといわれ、「シンドウ」、あるいは「ジンドウ」と発言が濁っていたらしい。それが「シントウ」と清音になったのは室町時代以降のこととされている。  この神道が突如として強烈なイデオロギーと化した。そ […]

日本神話のヘンシン-3

 平安時代の終り頃から日本の政治の表舞台に武士が躍り出てくる。平氏であり源氏である。  武士の躍進に伴ない、これまで貴族と共に政治支配の一翼を担い、自前の領地を確保していた各地の寺社が新興の武士達に経済的基盤を奪われていった。  このような社会経済情勢の変化につれて、天皇を頂点にすえた貴族社会のための宗教から、武士を中心とする一般市民の救済をも配慮に入れる宗教へと変容せざるを得なくなった。神社関係 […]

日本神話のヘンシン-2

 日本神話の4回目のヘンシンは、仏教伝来に関連する。  欽明天皇13年10月に、百済の聖明王が、 +釈迦仏(しゃかほとけ)の金銅像一軀(かねのみかたひとはしら) +幡蓋若干(はたきぬがさそこら) +経論若干巻(きょうろんそこらのまき) を献上している。日本書紀が伝える仏教公伝である。1.の釈迦仏の金銅像が真っ先に置かれているのは、日本に入ってきた仏教が、偶像崇拝に変容した仏教であったことを意味する […]