マルサ(査察)は、今-②-東京国税局査察部、証拠捏造と恐喝・詐欺の現場から
- 2012.05.29
- 山根治blog
***2.マルサの取調室-その1
平成24年4月××日、午後2時。私は、東京国税局の拠点である大手町合同庁舎3号館にいた。リョウチョウ(資料調査課による調査)の用事などでいつも通り抜ける1階の右側のゲートではなく、左のゲートから入り、エレベータで4階へ。4階のエレベータ・ホールで待ち受けていたのは、野間田芳徳(東京国税局査察部査察第31部門査察官)であった。
エレベータ・ホールと廊下の蛍光灯は明かりが落としてある。4分の1位しか点いていない。薄暗い。
廊下を50歩ほど(27m前後)歩いて施錠のついたドアを開け、窓のある2mほどの廊下に。廊下を左に折れてすぐの部屋が取調室であった。
再び施錠のついたD-1と記されたドアを開けて取調室の中へ。6畳ほどの狭い部屋、窓がない。密室である。室内にも取調室D-1の札が張ってある。二重に施錠されているので外に出ることはできない。
部屋にはもう一人の査察官が待機していた。
である。
この部屋はともかく狭い。椅子に座ると身動きができない。窓のない狭隘な密室、圧迫感は尋常なものではない。
二人の査察官に税理士証票を呈示し、それぞれに名刺を渡す。税務代理権限証書は、すでに嫌疑者を通じて渡してある。ちなみにこの証書、通常の税務調査の場合には各税務署長宛にするのであるが、査察調査であるから東京国税局長宛にするように指示され、かつ備考欄に「査察調査の件について」と付記するように指示されて作成したものだ。二人は身分証明書などをチラッと見せただけで、名刺を出そうとはしない。無礼である。
私は嫌疑者ではない。“独立した公正な立場”(税理士法第1条)にある職業会計人だ。嫌疑者の代理人として、査察調査に対して主張・陳述することを“業”としている(税理士法第2条)税理士である。公務員であるこの2人から無礼な仕打ちを受ける立場にはない。
更に言えば用意されていた椅子である。二人が座っているのは上質の回転椅子であったのに比べ、嫌疑者と私に与えられたのは粗末な折り畳み椅子だ。その上、2人の査察官は部屋の奥でふんぞり返っている。対する私達は入口のドアぎりぎりのところに座らせられた。座る位置が差別的だ。税理士である私に対しては勿論のこと、嫌疑者に対しても、このような差別的な処遇は間違っている。
嫌疑者はあくまでも嫌疑者であって、刑の確定した罪人ではない。無罪が推定されている一般国民である。この点では税理士である私と何ら変るところはない。
対するこの人達は公務員である。憲法第11条で、「全体の奉仕者」、つまり公僕とされている存在だ。上から目線の対応など許されるはずがない。
税務職員に限らず、一般に公務員のお上(かみ)意識はぬぐい難いものがある。ベッタリとこびりついて離れない。国家権力を行使する税務職員の中でも、司法職である査察官は特別の存在だ。暴力的な権力の行使が日常的になされているからであろうか、公僕意識が完全にマヒしている。私が若い頃教わったビジネス・マナーのイロハについては、次週の号外で触れる。
私達に応対した2人の査察官は、現場の行動隊だ。デスクに陣取って、この2人を差配しているボスがいる。このたびの脱税ストーリーをもっともらしく組み立てた人物だ。
森秀寛 (東京国税局査察部査察第31部門総括主査。平成23年10月現在)
の2人である。私の事件の背後で冤罪のストーリーを組み立てて、藤原孝行査察官(当時)を操っていた大木洋(当時、広島国税局調査査察部第三部門統括国税査察官。現在、税理士。税理士法人広島経営センター代表社員、TKC全国会会員)と同様の存在だ。更にこの2人を総括しているのが、査察総括第二課である。強制調査を実施する16の部門(査察第21部門~査察第36部門)を統括し、強制調査を指揮している。この査察総括第二課の責任者は次の3名だ。
石橋史祥(東京国税局査察部査察総括第二課長補佐。平成23年10月現在)
馬見塚武治(東京国税局査察部査察総括第二課総括。平成23年10月現在)
以下、松井洋、野間田芳徳、五十里秀朗、森秀寛、森川宣義、石橋史祥、馬見塚武治の7名の査察官(以下、松井査察官らという)に的を絞って、これらの公務員が嫌疑者に対して、一体何を行なったのか明らかにする。証拠捏造と恐喝・詐欺の現場からの生々しいレポートである。
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ここで一句。
(きっちりと取る? いやいやどうして、あやふやです。)
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