高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-号外

 ウラ金については、普通の企業であれば、税務上の制約がついており、表立って堂々と支払うことはできない。ウラ金として支払った金額とほぼ同じ額の税金が、ペナルティとして企業に課せられるからだ。本稿(「高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-4」)で述べた通りである。

 ところが、犯罪企業である東京電力(「11/28講演会「闇に挑む『原発とは何か?』-福島第一と島根-」」参照)のような電力会社は、ウラ金については全く様相を異にする。ウラ金が使い放題なのである。

 何故か。法律によってそのように定められているからだ。その法律は電気事業法。この法律が定める特殊な料金算定方式である総括原価方式の中にそのカラクリが潜んでいる。電力料金の値上げに際して何かと話題になっている摩訶不思議な計算方式だ。

 総括原価方式。まず、電気事業法第19条第1項で

「一般電気事業者は、電力の供給に係る料金について、経済産業省令で定めるところにより、供給約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも同様とする。」

と定められているのを受けて、同法第19条第2項で、

「経済産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。
一 料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。
二~四  略」

と規定されている料金算定方式のことである。

 以上のように、電気事業法で定めているのは、

電力料金=「能率的な経営の下における適正な原価」+「適正な利潤」

といった抽象的なものだ。具体的な規定は、「経済産業省令で定めるところ(同法第19条第1項)」に委ねられている。つまり、経産省の役人のサジ加減一つでどのようにでも細工ができるようになっているのである。
 この経産省の省令、原発政策を強引に推し進めるために作られたものであると言っても過言ではない。
 原発を多くつくればつくるほど電力会社が儲かる仕組みになっているからだ。
 しかも、経費はウラ金も含めて使い放題、全て電気料金によってソックリ回収できるときている。その上、新たな発電所を作るにしても、コストの制約がない。大盤振舞の青天井だ。減価償却費が「適正な原価」の中に入っていることから、建設費は全て消費者に電気料金として負担させればいいし、固定資産の価額の3%が「適正利潤」として電気料金に上乗せされる仕組みになっている。
 つまり、原発のような巨大施設をつくればつくるほど、しかも、建設コストが高ければ高いほど(!!)電力会社が潤うシステムになっている。役員報酬や社員の給料も取り放題、豪華な福利施設も全て電力料金で回収できる。地元対策費、政治家へのワイロ、広告宣伝費もいくら使っても構わない。御用学者や天下りの役人にいくらでも金をまわすことができる。建設コストと同様に、これまた大盤振舞である。ソックリそのまま国民にツケを回せばいいからだ。これが「国策民営会社」としての電力会社の経理の実態だ。

 さて、ウラ金である。
 電気事業法第19条にもとづいて制定された経済産業省令(一般電気事業供給約款料金算定規則、平成十一年十二月三日通商産業省令第百五号。以下、規則という)は、電気事業法第19条の「適正な原価」を、「電気事業を運営するに当たって必要であると見込まれる原価」(規則、第2条第1項)とし、具体的には、営業費として役員報酬以下、50の費目が列挙されている(規則、第3条)。
 実は、この50の費目の中に、まさに目を疑うような費目がもぐり込んでいる。最後の50番目にある「法人税等」だ。ナント、「法人税等」が営業費(!!)なのである。

 「法人税等」が、「適正な原価」の中に組み込まれて電気料金に反映し、電力消費者から電力料金として回収されるシステム、つまり、いくら税金を払おうが、電力会社は痛くも痒くもないということだ。
 このことは、ウラ金を堂々と支出して仮にウラ金と同額相当のペナルティを税金の形で支払ったとしても、ソロバンに合うことを意味する。電力会社としては決して損をしないのである。
 フザケタ話である。

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 ここで一句。

“女房は野党のように反対し” -豊田、イヤーネ

(毎日新聞、平成24年4月5日付、仲畑流万能川柳より)

(理由などいるものか。ダメなものはダメ!!)

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