高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-④
- 2012.04.24
- 山根治blog
私が睨(にら)んだのは、従来からこの会社にもぐり込んでいる複数の顧問税理士の存在だ。この連中がユスリ行為の重要な役割を演じているのではないか、ということだ。
つまり、この国税職員、在職中にネライをつけた産廃企業にもぐり込むための大芝居を打った。この猿芝居の片棒をかついだのは元ホステスだけではなかった。会社の内情を知悉している顧問税理士が重要な役割を演じたのではないか。更にこの三文芝居を完璧なものにするために、会社の副社長をも取り込んだのではないか。
私の推理は次の通りである。
まず、この産廃企業のプロファイリングをしてみる。
財務内容は良く、毎期しっかりと利益を出している。しかしウラ金の出し方が尋常ではない。巨額のアブク金の存在をうかがわせるものだ。とても真っ当な商売をしているとは思えない。地域住民からは迷惑企業の一つとみられており、トラブルが絶えない。過去に違反行為をして、営業停止などの行政処分を受けている。行政の便宜を図ってもらうために、政治家に多額の献金(ワイロ)を渡している。住民からのクレームを抑えるために、警察OBをかかえたり、ヤクザにみかじめ料を支払っている。政治家、ヤクザをはじめとして、表に出すことができない支出金(ウラ金)が相当額以上に存在する。この会社は、ウラ金を税務上の経費(損金)とするのにグループ会社とか下請を利用して小細工をしている。隠ぺい・仮装である。このようなウラ金を一手に扱っていたのが、副社長だ。
以上のプロファイリングはあくまでも私の推測である。事実として確認されたものではない。ただ、この企業グループを直接調べることができるとすれば、これらを一つ一つ確認することはさほど難しいことではない。
ウラ金といえば、今の私に真っ先に思い浮かぶのは原発だ(「原発とは何か-金まみれの原発の歴史」、「原発とは何か-島根の原発について」参照)。この会社の本拠地は四国の松山市、近くに伊方原発がある。四国唯一の原発で、3基の原子炉をかかえている。この企業グループが伊方原発と何らかの関係があるとすれば、それこそウラ金のオンパレードだ。
ウラ金であっても、支出についてはしかるべき処理(例えば使途秘匿金扱い-特措法62条)をすれば税務上問題になることはない。しかし、その場合には、収入金の2倍近くのキャッシュが社外に流出することになり、営利企業としては割に合う話ではない。唯一の例外が電力会社であるが、詳細については号外(「高松国税局-恐喝と詐欺による天下り-号外」参照)で触れる。その上に、ウラ金として受け取った収入金については、税務上は益金として計上すれば済むものの、ウラ金である以上、何らかの違法性を帯びている。収入についてまで詮索されて表沙汰にされたら、場合によれば会社の存亡にかかるだけではない。関係者の刑事責任さえ問われかねない。
このような事情もあって、ウラ金を受け取った会社は徹底的な隠ぺい工作に走るのが常である。初めから脱税目的ではないが、結果的に脱税に手を染めるということだ。ウラ金の収受が脱税に直結するメカニズムである。
ウラ金の捻出のカラクリについては、資金の還流の事実さえ確認できれば十分だ。その全てを知っているのは、この会社の副社長である。
すでに複数の国税OB税理士がこの会社にもぐり込んでいる事実を念頭において、このようなプロファイリングとウラ金一般論とをからませて考えを進めていくと、にわかには信じられないような事件の構図が浮かび上がってくるのである。
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ここで一句。
(「アンタほどでは」、うっかり言って取っ組み合い。)
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