税務署なんか恐くない!-6
- 2010.12.07
- 山根治blog
***6.税務調査の立会い-天下り税理士
現在、日本には7万人ほどの税理士がいる。この7万人の税理士が税金に関係する仕事(税理士業務)を独占しており、他の介入を許さない。無資格者が少しでも税理士業務をしようものなら大変だ。直ちに刑事事件として摘発されかねない。しかも、無料で税金の相談を受けたり、代わりに申告書を書くことも禁じられている始末だ。
私は、このように税理士が税金に関係する事務を独占すること、なかでも、無料であっても税理士以外の者が税理士業務を行なうことが禁じられていること(無償独占性)は合理的な理由を欠いており、あらゆる観点から間違っていると考えている。すでにたびたび述べたところである(「脱税摘発の現場から-7」参照)。
このような税理士業界における最大の問題点は、7万人の税理士のうち、3分の1を占める国税OB税理士の存在だ。以前から国会の場でもたびたび取り上げられてきたところである。そこで論議されてきたのは主に税理士試験のあり方であった。正規の試験を受けざるを得ない一般の人に対して、税務署の職員には特別のコースがあって優遇されていることに対する批判である。一定年限税務署に勤めるだけで、タナボタ式に税理士になることができるからだ。一般人に比べて著しく不公平だというのである。
私がここで取り上げるのは、歪(いびつ)な試験制度ではない。もちろん、このような間違った試験制度は、できるだけ早く改正されるべきであるが、より大きな問題は、税務職員が退職する際に、顧問先をあてがわれることだ。税務職員の天下り、いわゆる天下り税理士のことである。退職後の生活を保証するためと称して、国税庁がお膳立てをして、国税OB税理士に仕事を斡旋するのである。
このようなことは、考えるまでもなくおかしなことだ。税金の面でニラミをきかせている国税庁が、あろうことか退職者を納税者である会社に送り込むのである。徴税権を背景にした天下り以外の何ものでもない。
受け入れる側の会社は営利を目的とする組織である。国税OB税理士と顧問契約を結び、それなりの報酬を支払う以上、当然のことながらその見返りを期待する。徴税の面で何らかの手ごころを加えてもらうということだ。国税OB税理士に、実際そのようなことができるかできないかはともかくとして、少なからぬお金を払う以上会社は手ごころを期待し要求するはずだ。不正行為を期待し、要求するのである。
お金を受け取って不正行為に加担する、あるいはお金を払って不正行為を要求する、このようなことは公平を宗とする徴税制度からすればあってはならないことであり、一般の納税者にはにわかには信じ難いことである。しかも、顧問先の斡旋についてコソコソと隠れるようにやっているのではない。国税庁は、堂々と胸を張ってやっているのである。正常な感覚がマヒしているとしか言いようがない。
かつてこの顧問先の斡旋については、国会で取り上げられたことがある(第164回国会、財務金融委員会、平成18年2月27日参照)。質問に立ったのは佐々木憲昭氏(共産党)、答弁したのは石井道遠氏(国税庁次長)だ。石井氏が臆面もなく明らかにしたのは次のようなことであった。
+平成17年7月の退職者に関して、斡旋を行った者の数は359名。
+一人当りの斡旋企業件数は10.9件。
+平均の顧問料は月額66万円。
つまり、年間4,000件近い企業を斡旋し、平均したら一人当り800万円近い収入を保証しているのである。中には年額報酬が1,000万円を超える人物がいることも明らかにされた。これを毎年、当然のように繰り返しているというのである。
なお、359名という数字は、正式に斡旋したとして国会の場で公表されたものであって、その他にもはるかに多くの天下り税理士がいることはまぎれもない事実だ。隠れ天下りである。
この石井道遠なる人物、私にとっては忘れようにも忘れることができない存在だ。
「冤罪を創る人々」のキーパーソンの一人であるだけではない。ハニックス工業にインチキを仕掛けて倒産せしめ、オーナー社長を自殺にまで追い込んだ東京国税局の査察部長であった(「ハニックス工業事件の真相」参照)。更には、私の税理士再登録に関しての妨害行為の背後にこの人物が見え隠れしているばかりか、東京国税局と広島国税局とが私を税理士法違反で逮捕しようとした陰謀の背後にもこの人物がチラつくのである(「続・いじめの構図」参照)。この人物が実際に何をしたのかは、「冤罪を創る人々」に記したこと以外定かではない。しかし、それぞれの時点で、関与しうる公職についていたことだけは事実である。
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ここで一句。
(そんなこと 知ったことかと 犬が言い。)
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