保守王国の悪あがき-2

 この夏の総選挙で雪崩現象のような大敗を喫した自民党ではあったが、保守王国島根の自民党は2つの小選挙区の議席を確保している。底堅い自民党支持基盤に加えて、対峙する島根の民主党が余りにもだらしないことが、自民党が議席をかろうじて守ることができた原因である。



 島根の民主党。この人達は一体何をしているのか。総選挙前と同様に、民主党政権に移行してからも民主党らしいまともな活動をしている気配が全く伝わってこないのである。

 従来から、島根県議会をはじめ、県内の市町村議会は自民党の独壇場であった。歴代の県知事は自民党のヒモ付きであり、各市町村の首長も同様であった。島根における国政と地方行政は、一握りのボスに牛耳られており、ごく一部に利権が集中するシステムが構築されており、自民党のやりたい放題であったというのが偽らざる実情だ。これが長年、島根県の公共事業費(一人当り)が全国一位であった実態である。島根県民の一人として恥かしい限りである。

 このような政治風土の中にあって、これまでの民主党は大政翼賛会よろしく、ひたすら自民党に迎合するのみで、独自色を示すことはなかった。仲間内の仲良しクラブである。

 平成20年12月12日。私は島根県の民主県民クラブに所属する7人の県議のうち4人を集めて、大橋川改修事業がいかにゴマかしに満ちたものであるかデータを示してレクチャーし、このようにムダな財政支出は直ちに中止するように働きかけることを促した。しかし、その後の反応は皆無であり、相変らずこのインチキ事業に加担し、自民党に迎合していることに変りがなかった。政権奪取後も同様であり、同じ穴のムジナである。

 平成21年3月28日。当時、民主党と共に反自民をかかげる国民新党の参議院議員である亀井亜紀子氏が秘書と共に来訪した。亀井氏から大橋川改修事業の問題点を教えて欲しいという要請があり、元島根大学学長北川泉先生同席のもとで2時間にわたってレクチャー。亀井議員は熱心にメモをとりながら聴いて下さった。

 その折、亀井氏の父親である亀井久興代議士(当時)と亀井静香代議士とにそれぞれメッセージを手渡した。
 亀井久興氏には今から20年程前のことであろうか、氏が国会に打って出る直前にお目にかかったことがある。一夕、玉造温泉の湯に入り一献傾けながら5時間にわたって歓談。氏の見識の高さと高邁な人柄に触れることができた。懐かしい思い出である。
 亀井静香氏とは直接の面識はない。私の亀井静香氏に対する評価はすでに公表した記事『亀井静香氏は守旧派か』に尽きる。立派な政治家である。
 以上3人の国民新党議員からはその後反応はないが、国民新党も政権与党の一角を占めるに至った現在、全国的に注目されている事業仕分けの中に是非とも大橋川改修事業を入れていただき、このインチキ公共事業が客観的にいかなるものであるか、全国民の前に明らかにしていただきたい。国民新党は、政党としての体(てい)をなしていない島根の民主党にかわって、政権中枢に働きかけ、亀井静香氏が下した本庄工区干拓中止と同様の英断が、新しい政権によって下されることを期待する。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“自民党 再生じゃなく 蘇生でしょ” -三重、織田信勝。

 

(毎日新聞、平成21年12月2日付、仲畑流万能川柳より)

(ゾンビの群れだったりして。)

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