八ツ場(やんば)ダムの中止と税金ドロボー-4
- 2009.11.03
- 山根治blog
7.群馬県知事の誤りの二つ目は、「政権が変ったから中止した」と、短絡的に決めつけていることだ。
ダム工事を中止するのは、法律(政策評価法)の上で事業継続の必要条件が備わっていないからであって、もともと時の政権に左右される筋合いのものではない。自公政権下でも中止すべきものは中止すべきであったということだ。これまでの自公政権は、なすべきことを怠り、頬被(ほおかぶ)りを決め込んでいただけのことである。
一年ほど前、なんとも奇妙かつ滑稽な国会論議が交わされている。平成20年6月3日、参議院財政金融委員会において、群馬県選出の富岡由紀夫参議院議員(民主党)が八ッ場ダムについて質問し、平岡たくや国交省副大臣(自民党)が答弁しているものだ。
富岡議員が八ッ場ダムの費用対効果分析(B/C)について、より詳しい計算資料の提出を求めたところ、
といった、明らかに嘘の答弁がなされている。会議録は次のようになっている。
(中略)
一番基本となる年平均被害軽減額、①というところですね、それぞれブロックごとの。これを算出された根拠がないという、資料がないというふうに説明を事前に昨日受けたんですけれども、それは本当でしょうか。確認の、念のためにお伺いさせていただきたいと思います。
○副大臣(平井たくや君) これ、私もないはずがないと思っておりまして、捜していただいたんですけれども、これが本当にないわけでありまして、これ、この分野に関しての文書の保存期間は一応三年ということにはなっているものの、これ今事業中の案件でありますから、本来あるべきだと私も思っております。しかしながら、それがないということでございます。
なんとも人を食ったようなトボケた答弁である。末期的状況にあった自民党とはいえ、このようなオソマツな答弁しかできない副大臣には呆れ果てる。役人達にいいようにあしらわれている、単なる操り人形ではないか。
このことは、思わず口について出た
といった言葉遣いによっても明らかである。目下の者が目上の者に対して用いる言い方が当り前のようになされていることは、常日頃、役人達のご機嫌を伺いながら、役人達の思うがままに使われている政治家の実態を端的に示すものだ。50年以上の長きにわたって、国の税金をはじめ、さまざまな利権を役人達と一緒になって食いものにしてきた政権政党とそれに属する利権政治家のなれの果てであり、政治家の堕落以外の何ものでもない。
このような答弁こそ、私達国民がスンナリと理解でき、納得しうるものではないか。一緒になって利権あさりをしている同じ穴のムジナには、とうてい発することのできないものだ。
現時点では、八ッ場ダムの費用対効果分析についての比較的詳しいデータがネット上で開示されている。
しかし、肝腎なところが抜けていたり、あるいは、十分なとりまとめがなされていないために、第三者が理解するには相当の難物である。情報を開示するのであれば、国民にもっと分かり易い形で開示すべきではないか。
次回以降、稿を改め、八ッ場ダムの費用対効果分析について検討を加え、それがいかにデタラメなものであるか明らかにする。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(「ブー」もいたような。)
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