検証!! 『ホリエモンの錬金術』-20

****(6)堀江氏の自白によるインチキ上場の実態

 これまで検証し、事実として確認したことをベースとして、『ホリエモンの錬金術』で摘示した、3つのトリックのスタートをなしている詐術についてまとめてみることにいたします。



 この詐術は、オン・ザ・エッヂ(ライブドアの前身)が東証マザーズ上場の前に、会社の評価額を不当にも1,440倍にもつり上げていることでした。上場前のわずか7ヶ月の間に、5つの小細工を施して、5万円の評価額であった株式を、ナント1,440倍の7,200万円にもふくらませていたことです。



 その5つの小細工(『ホリエモンの錬金術-8』)とは、具体的には、

+平成11年8月3日から同年9月4日という、わずか1ヶ月の内に、評価額が5万円から300万円へと60倍に引き上げられたこと。

+1.の架空の評価額である300万円をもっともらしく装うための小細工(一種のアリバイ工作)、つまり、平成11年11月5日に堀江氏が有馬晶子氏から一株300万円で購入したことにしてみたり(架空)、同年12月17日に、株式会社光通信パートナーズと大和証券SBCM株式会社へ実際に一株300万円で売却したりしたこと。

+堀江氏は、株式買取資金として、有馬純一郎氏から250百万円を借り入れたことにして(架空の金銭消費貸借契約)、偽りの契約書まで作成していたこと。

+平成12年1月12日に、1:12の株式分割を行って株式を12倍に増やすと共に、平成12年3月28日、一株600万円の値決めをしたこと(新株式発行目論見書の第4回訂正分)

の、4つの小細工に加え、このたび堀江氏自らが明らかにした株式譲渡日のバックデイト(捏造)がありますので、都合5つの小細工ということになります。上場までのオン・ザ・エッヂの発行済株式数、株主構成の推移について、このバックデイトを修正した一覧表は号外13で示します。ちなみに、1,440倍という数字は、1.の60倍に、4.の12倍を掛け、更に300万円から600万円へと2倍になっていることから、60×12×2=1,440として算出したものです。

 4年前『ホリエモンの錬金術』を執筆した時点では、
+平成11年8月3日から同年9月4日までの間に一株5万円で、オン・ザ・エッヂの株式が譲渡されたこと。
+平成11年11月5日における、有馬晶子氏から堀江氏への一株300万円の株式譲渡は架空であること。
この2点に関しては、あくまで推断の域を出るものではありませんでした。しかし、これまで続けてきた検証作業の結果、上記の2つは推断の域を超え、事実であることが確認されました。確定的な事実となったのです。堀江貴文氏本人がこのたび自らのブログで自白したからです。

 以上によって何が変るか? 推断していたものが事実として確認されたことによって何が変るのでしょうか。
 ズバリ、堀江氏が行った詐術(インチキ)が事実として証明されるに至ったということです。
 これまで私は、上場前の評価額が1,440倍にもつり上げられたことに対して、不当という表現は用いてきましたが、違法とまでは言っていませんでした。推断はできるものの、あくまで公表された資料だけからの判断であり、事実関係の確認ができなかったからです。そのため、不当という表現にとどめざるを得なかったのです。ちなみに、不当というのは、妥当性を著しく欠くというほどの意味合いのもので、限りなく違法に近いものの、違法とまでは言い切れない、というほどのものです。
 しかし、検証作業の結果、推断の域にあった、上記の2つのことがらが事実であることが確認された以上、堀江氏が行った詐術の違法性が確認されることになりました。単に不当であるにとどまらず、違法であったということです。
 堀江氏は私に罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせることによって、かえって上場詐欺を行った詐話師(普通、ペテン師とか詐欺師と言われているものです)であることを自ら証明するに至ったのです。

 ここで、インチキ上場についてまとめてみます。

『まず堀江氏の自白等によって導き出された事実関係。
+平成11年8月3日、オン・ザ・エッヂの株式が一株5万円で、
++堀江貴文氏から和井内修司氏へ8株、
++堀江貴文氏から小飼弾氏へ2株、譲渡。
+平成11年8月3日の直前に、オン・ザ・エッヂの株式が一株5万円で、
++有馬晶子氏から堀江貴文氏へ48株(1:3の株主割当後換算で192株)、
++有馬晶子氏から宮内亮治氏へ2株(1:3の株主割当後換算で8株)、譲渡。
+平成11年9月3日、株式会社光通信と株式会社グッドウィル・コミュニケーションに合計200株を一株300万円で第三者割当増資。
+平成11年12月17日、オン・ザ・エッヂの株式が一株300万円で、
++堀江貴文氏から大和証券SBCM株式会社へ30株、
++株式会社光通信パートナーズへ10株、譲渡。
 上記1.~4.の事実関係はほぼ同一の時期に、60倍の開差のある株式の時価が存在することを意味する。
 つまり、
+平成11年8月3日直前、及び、同日 … 一株5万円、
+平成11年9月3日 … 一株300万円、
2つの時価。

 

 2.の時価(300万円)の算定方式はDCF法(目論見書P.78。「ホリエモンの錬金術 -10」、「ホリエモンの錬金術 -7(※資料)」参照)。1.の時価の5万円は同一の算定方式(DCF法)による限り、算定不能。一株5万円という時価と一株300万円という時価が、ほとんど同一の時期に併存することはありえない。

 以上のような矛盾する2つの時価の存在をカムフラージュするために、次の4つのトリック、つまり詐術(捏造)が施された。
+バックデイト(日付の捏造)。
++上記1.の平成11年8月3日を、一年前の平成10年8月3日にバックデイト。
++上記2.の平成11年8月3日直前を、一年三ヶ月前の平成10年4月30日にバックデイト。
+平成11年11月5日、有馬晶子氏から堀江貴文氏へ、一株300万円で120株譲渡されたことにした(捏造)。
+2.の捏造をカムフラージュするために、架空の金銭消費貸借契約書まで作成して有馬純一郎氏から2億4千万円を借りた形式にした。
+2.の捏造をカムフラージュするために、著書では銀行から5億円の融資を受けた、とウソの事実を公表。
 1.~4.の捏造は、目論見書の株式公開情報のトップに位置する「特別利害関係者の株式の移動状況」の主要部分が虚偽であることを意味する。つまり、株式公開にあたって重要な情報を捏造し、偽って上場審査をくぐり抜けたものである。』

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“つけづめの 嫁が買ってる 無洗米” -今治、土岐佳子。

 

(毎日新聞、平成21年6月11日付、仲畑流万能川柳より)

(“連れ合いは 若いオシャレな その昔 シャモジ使って 米洗い”)

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