検証!! 『ホリエモンの錬金術』-15

 株式売却代金360百万円のうち、240百万円については、現金の支払い時期及び現金の調達方法が間違っていたことを、堀江氏自ら初めて認めたことはすでに検証した通りです。つまり、

+支払時期についてこれまでは、上場前の平成11年11月5日であるとしていたのを翻して、上場後の平成14年8月9日以後であると訂正。

+調達方法についてこれまでは、上場前に5億円を銀行から借入れしていたとしていたのを翻して、上場後の平成14年8月8日に持株1,600株を売却して調達したと訂正。

 以上のことは、このたび堀江氏が自らのブログで公表している事実です。今回は、この堀江氏の言い分が本当に納得できるものかどうか、検証いたします。

 検証することは2つあります。
 一つは、360百万円のうち240百万円については堀江氏自身が虚偽であったことを認めたのですが、残りの120百万円については依然としてあいまいなままですので、本当のところはどうか、ということです。
 堀江氏は、平成11年11月15日に、有馬晶子氏から120株を譲り受けて持株を700株に増やし、その中から、同年12月17日に、大和証券SBCMに30株、光通信パートナーズに10株を一株300万円で譲渡し、それぞれから90百万円、30百万円、合わせて120百万円を受け取っています。この120百万円については、これまでの堀江氏言い分によりますと、2つの会社に転売した時に、売却代金120百万円を直ちに有馬晶子氏に渡していることになります。果してこれは本当のことでしょうか? これについては号外10で詳述します。
 二つは、有馬純一郎氏名義の株式960株が、上場後も真実有馬純一郎氏の所有として残っていたのかどうか、つまり、上場前に所有権が第三者に移っていたのではないか? いわゆる借名株の疑惑です。

 私の結論を先に申しますと、-

 一.については、買取代金の360百万円のうち、240百万円だけが上場後に支払われたのではなく、120百万円をも含めた360百万円全額が上場後に支払われているのではないか、つまり、360百万円を上場前の平成11年11月5日に有馬晶子氏に支払った旨の記載全体が虚偽ではないか。
 二.については、上場前、しかも上場の準備を始めた時点で、有馬氏親子の持株は全て、堀江氏もしくは他の第三者に移されていたのではないか、つまり、上場時点での有馬純一郎氏名義の960株は真の所有者が誰かは明確ではないまでも、有馬純一郎氏の所有から離れていたのではないか、

ということです。

 上記の私の推断の根拠は次の通りです。

一.について。
 まず、堀江氏が5億円を有馬晶子氏に支払ったと言っている中味が、これまでとは全く変っていることです。5億円の支払いについては、従来、有馬晶子氏の持株の時価が5億円であったから、無理をして銀行から5億円の融資を受けて支払ったことを得意気に語っていました。(『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』P.119~P.122)
 ところが、私が『ホリエモンの錬金術-12』において、堀江氏が上場直後に提出した大量保有報告書の記載内容と矛盾することを指摘したためでしょうか、一転して、

『追記:共同経営者だったA氏は持ち株のすべてを私に一株300万で私に全部売り渡しました。売買代金は3.6億になりました。が、そのうち1.2億分は光通信キャピタルと大和証券SBCMに私から売り渡しましたので、実質2.4億がA氏からの買取価格になります。それをA氏の父親から借り入れた形式になりました。その2年後に持ち株を売却して利子も含め5億程度を支払ったため、私としてはA氏に5億支払ったという記憶になるわけです。』(”「ホリエモンの錬金術」サイト批評2”より)

といった、ツッコミどころ満載の苦しい言い訳に変っていきました。上場前に銀行から5億円を借りたと言っていたウソを、つき通すことができなくなったからでしょう。
 それにしても、「実質2.4億」とか、「A氏の父親から借り入れた形式」、あるいは、「A氏に5億支払ったという記憶になる」とか言ってみたり、まさにコドモの言い逃れそのものですね。また、5億円キッカリだったのがさり気なく「5億円程度」と言い換えられたりと、堀江氏はこのような稚拙な言い訳が、一般社会で本当に通用すると思っているのでしょうか。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“真夜中に ジイは徘徊(はいかい) 子は暴走” -福岡、ちわわ。

 

(毎日新聞、平成21年5月31日付、仲畑流万能川柳より)

(オヤジ酩酊 母酒乱)

 民主圧勝、自民惨敗。ここで三句。

“任期より 人気満了 した総理” -宇治、浅井智成。

 

(毎日新聞、平成21年8月15日付、仲畑流万能川柳より)

“結局は マンガでしたね 麻生さん” -都城、西博隆。

(毎日新聞、平成21年8月5日付、仲畑流万能川柳より)

“あの党は 自民負けたら どこにつく” -町田、保和庵。

(毎日新聞、平成21年8月5日付、仲畑流万能川柳より)

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