検証!! 『ホリエモンの錬金術』-9

****2.堀江貴文氏以外の人物が被っている実害についての検証



 借名株の疑惑に関して、これまで関与していると私が考えてきたのは、次の5人でした。

+堀江貴文氏

+宮内亮治氏

+中村長也氏

+有馬晶子氏

+有馬純一郎氏

の5名です。

 堀江氏以外の人達といえば、上記の範囲でいえば2.~5.の人達となります。順番に、これらの人達に果して実害があるかどうか検討していきます。

 まず、2.の宮内亮治氏と3.の中村長也氏。この2人はオーナーである堀江貴文氏の部下であり、上場前の資本金に関することは全て、堀江氏の意向に従っていると考えて差し支えありません。つまり、堀江氏の指示のもとで事務手続をしていただけとみていいでしょう。
 従って、私が借名株の疑惑を指摘し、仮にそれが事実でないとしても、およそこの2人にはイメージダウンとかその他の被害など考える余地がありません。

 次に、4.の有馬晶子氏と5.の有馬純一郎氏。この有馬氏親子については、私の『ホリエモンの錬金術』で次のように位置づけ、ホリエモンのインチキ上場には全く関っていないと考えてきました。

このインチキ・ドラマを創り上げ、実行に移したホリエモン賭場のご一党は、次のような面々です。
****1.胴元
-ホリエモン … [利得]:ライブドアの持株220,975,000株他。
****2.親分衆(かご脱け親分)
-(株)光通信 … [利得]:14億円余り。
-(株)グッドウィル・コミュニケーション(グッドウィルグループ(株)の当時の子会社) … [利得]:不明。
-有馬純一郎ことホリエモン … [利得]:20億円余り。
-(株)光通信パートナーズ … [利得]:不明。
-大和証券SBCM(株)(ぽん引きと二役) … [利得]:不明。
****3.三下(さんした)
-宮内亮治 … [利得]:不明。
-和井内修司 … [利得]:不明。
-小飼弾 … [利得]:不明。
****4.ショバ貸し
-東証マザーズ … [利得]:不明。
****5.ショバ目付
-監査法人神奈川監査事務所(現、港陽監査法人) … [利得]:不明。
****6.客引(ぽん引き)
-大和証券SBCM(株)(現.大和証券SMBC(株)) … [利得]:不明。
****7.客人(カモ)
-一般投資家 … [損失額]:上記の1.~6.の利得の合計額。

 

(『ホリエモンの錬金術-9』より引用)

 上記のように、“ホリエモン賭場のご一党”の中に、私は有馬氏親子を入れていませんでした。
 堀江氏が主張するように、私が指摘した借名株疑惑が事実無根のデタラメであるとしたら、有馬純一郎氏名義の960株は、真実、有馬氏の所有であった、ということになるはずです。
 するとどうなるか。
 “ホリエモン賭場のご一党”の中に、有馬純一郎氏が入ることになってしまいます。つまり、上記の2.親分衆の3番目「有馬純一郎ことホリエモン」のところが、「ことホリエモン」の部分が消えて有馬純一郎となるからです。このように、有馬氏がインチキ集団の一味であるということになるのであれば、堀江氏の言い方を借りるとすれば、有馬氏にとっては大変なイメージダウンにつながります。借名株が否定されることによって、有馬氏はイメージダウンという被害をこうむるのです。つまり、『ホリエモンの錬金術』の中の全体の文脈からすれば、仮に堀江氏の言い分が正しく、私の推断が誤っているとすれば、逆に有馬氏がイメージ・ダウンという被害をこうむるという結論になります。このことは、私の指摘した借名株の疑惑が、有馬氏に何のダメージを与えていないばかりか、反対にプラスのイメージを与えていることを意味します。つまり、有馬氏だけでなく、その娘さんについても、堀江氏の言っている“実害”などありえないということです。

***<付記>

 借名株の問題は全体の構図の中の枝葉にすぎないことは、ここで改めて掲げた“ホリエモン賭場のご一党”によって説明すれば分かり易いかもしれません。
 堀江貴文氏の言う通りだとしたら、前述のように、親分衆の中の
-有馬純一郎ことホリエモン

-有馬純一郎
になるだけのことで、インチキ・ドラマの全体構図が変ることはないのです。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“政治家を してなきゃ何を してるやら” -茅ヶ崎、河野健二。

 

(毎日新聞、平成21年5月24日付、仲畑流万能川柳より)

(口先三寸、口説(くぜつ)の徒、他には何ができるやら。献金と いう名のワイロで 世を渡り。)

Loading