検証!! 『ホリエモンの錬金術』-3

 堀江氏の虚言の第二は、
『これ(山根注:借名株のことです)は、まったくのでっち上げ。実際この事は特捜部でも聞かれた。でも、私はそんなことはしていない。もしやっていたら、それこそ立件の対象になったであろう。』(「ホリエモンの錬金術なんていう下らないサイトがあったのだが。」)
と、借名株が事実であったならば立件の対象になったはずだ、と一人よがりの言説を展開して開き直っていることです。この虚言にミス・リードされたブログの読者(IT経営者ホッティさん)が、『島根の山根公認会計士は、ひどすぎますね!! 確かに、これが事実なら検察は立件化していたはず。これを検察が立件化しないということは、根拠がないということ。つまり、堀江さんが名誉毀損で山根公認会計士を訴えた場合、勝てるはずです!!』(「ホリエモンの錬金術なんていう下らないサイトがあったのだが。」コメント33、2009-04-26 22:02:14)
と調子を合わせて、堀江氏の虚言をフォローして一人で盛り上がっています。

また別のブログの読者(Daisukeさん)は、

『検察がこれを武器にしようとしたのに、結局立件できなかったということは実際に事実無根だったのでしょう。山根会計士はどう動くのでしょうね。今さら後には引けないとか思っているかも?』(「ホリエモンの錬金術」サイト批評2」コメント62、2009-04-28 10:11:25)

などと、堀江氏の虚言に付和雷同し、したり顔の解説を付けています。その上、私の動向についてあらぬ妄想までしたりして。
 ホッティさんにしても、Daisukeさんにしても堀江氏の心強い応援団といったところでしょうか。たいしたものですね。

『借名株は山根のデッチ上げ。自分はしていない。もしやっていたら、立件の対象になったはずだ。』

 この堀江氏の言い分を敷衍(ふえん。趣旨が徹底するように説明を加えること、-新明解国語辞典)すれば、ホッティさんのように、

『確かに、これが事実なら検察は立件化していたはず。これを検察が立件化しないということは、証拠がないということ。』

といったことになるのでしょうし、Daisukeさんのように、

『検察がこれを武器にしようとしたのに、結局立件できなかったということは実際に事実無根だったのでしょう。』

といったことになるのでしょう。
 このような言い分が何故一人よがりの虚言であるか、以下、説明を加えていきます。

 虚言である理由は3つあります。

 一つは、検察は仮に犯罪事実があったとしても、敢えて立件しないことがあることです。むしろ、立件しないほうが圧倒的に多いはずです。犯罪事実があったら検察官は必ず立件しなければならないということではないのです。立件するかしないかは検察官の自由な裁量に委ねられているからです。起訴便宜主義(刑訴法第248条)といわれているものです。

 二つは、公訴時効(刑訴法第250条)が完成していることです。
 刑訴法第250条は公訴時効の期間について次のように定めています。

『時効は、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
+死刑に当たる罪については25年
+無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
+長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
+長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
+長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
+長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
+拘留又は科料に当たる罪については1年』

 証券取引法で定める罰則(197条~209条)で最も重いのは懲役5年。有価証券報告書とか届出書の虚偽記載はこれにあたります。大量保有報告書の虚偽記載についてはこれより軽く、3年以下の懲役とされています。
 堀江貴文氏は、『A氏(有馬純一郎氏)名義の上場時点の株式960株は、真実A氏の所有になるものであって、借名株などではない。』と主張しているのですが、仮に借名株であったとしても、公訴時効が完成していて、検察としては立件しようとしてもできなかったのです。
 具体的には次の通り。
+上場時の新株発行届出目論見書は、平成12年3月に提出されています。仮にこれに虚偽記載があるとしたら懲役5年以下の刑が用意されているのですが、刑訴法第250条5項によって5年で公訴時効が完成します。つまり、平成17年3月には時効が完成しており、これは私が『ホリエモンの錬金術』を公表しはじめた時ですし、ライブドアが東京地検特捜部に摘発された平成18年1月より10ヶ月も前にあたります。
+上場直後に作成された堀江貴文氏と有馬純一郎氏名義の株式についての大量保有報告書と大量保有の変更報告書が提出されたのは、平成12年6月。仮にこれらに虚偽記載があるとしたら懲役3年以下の刑が用意されているのですが、刑訴法250条6項によって3年で公訴時効が完成します。つまり、平成15年6月にはこれらの時効が完成しており、平成18年1月に摘発した時点では、いくら虚偽記載の事実があったとしても東京地検としては立件することは不可能だったのです。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“ねえアナタ あんた 父ちゃん このジジイ” -宝塚、忠公。

(毎日新聞、平成21年5月16日付、仲畑流万能川柳より)

(“ねえハニー おまえ 母ちゃん このババア”)

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