2007年8月

冤罪の構図 -号外

 司法公務員(とくに検察官と裁判官)の非行に関して、読者の方からご意見を賜りました(コメントNO.1343、三治さん)。『よく刑罰による抑止力、という言い方がされますが。抑止力を運用する側には、その絶大な力を制御しきるだけの高い倫理意識が必要なのだと思います。……(抑止力の)間違った運用、例えば冤罪による訴追と、裁判によるその追認を抑えるためには、再び抑止力を使えばいい。即ち、そうした行為に対して […]

185 碩学の警鐘 -2

***その2)  40年余り前、私は大学院で経済学の勉強に励んでいた。J.M.ケインズの「貨幣論」とドン・パティンキンの「貨幣、利子、及び価格」-貨幣理論と価値理論との統合、の輪読を軸としつつも、産声を挙げたばかりのポートフォリオ・セレクションとかターンパイク理論などについて、研究仲間とともに取り組んでいた。長澤惟恭教授、藤野正三郎教授には懇切丁寧に教わったほか、折にふれて都留重人教授の指導も受け […]

冤罪の構図 -13

 嘘の自白をすること、あるいは嘘の自白をさせられること、これが冤罪を生み出す最大の要因であることは、多くの人が指摘している通りです。  何の罪も犯していないのに、何故『罪を犯しました』と喋ってしまうのでしょうか。実は私自身も長い間疑問に思っていました。第二次大戦後だけでも、数多くの冤罪事件が取り上げられ再審請求がなされているのですが、それらは果して本当に冤罪だろうかという一抹の疑いを拭い去ることが […]

184 碩学の警鐘 -1

***その1)  平成19年7月29日、参院選において自民党は歴史的な敗北を喫した。その選挙結果について、一人の経済学者が地元紙に寄稿。「自民惨敗の参院選に思う」と題する一文だ(平成19年8月9日付、山陰中央新報)。寄稿したのは米子市出身の経済学者であり、世界的に著名な宇沢弘文氏である。1928年生まれの宇沢氏は当年79歳、10年前に文化勲章を受章している東京大学名誉教授である。理論経済学における […]

冤罪の構図 -12

 新井将敬代議士を死に追い詰めた、東京地検特捜部のインチキ小細工は、検察官の手前勝手な法律の運用がその出発点でした。法律で定められた処罰要件をどんどん拡げていくのです(“冤罪の構図-10”参照のこと)。このようなことは当然のことながら、独裁国家ではない現在の日本においては認められていることではありません。  このようなワナを仕掛けた上で、次に彼ら東京地検が行ったことは、このワナにピッタリと合うよう […]

183 珍書 -5

***その5)  田中森一弁護士と金貸しの森脇将光。片や、闇社会の手先となって蠢動(しゅんどう)したヤメ検、片や、汚職を生業(なりわい)としている政治屋を相手に暴利をむさぼった高利貸し。共に人生半ばを過ぎた得意の絶頂期に挫折し、それぞれの思いのたけをもっともらしい文章にまとめ、上梓。いずれも甲乙つけ難い曲者(くせもの)の手になるシロモノだ。京都三条河原で釜煎(かまいり)の刑に処せられた天下の大ドロ […]

冤罪の構図 -11

 11年前に中島行博検事が私を前にして言い放ったなんとも信じ難い言葉、『検察は時に法律の定めを超えて動く。司法の中にとどまるのではなく、立法的な機能を果さなければならないことがある』 これを、はじめて聴いたときには何のことかよく分かりませんでした。私は納得できないことはそのままにせずに、トコトン問い質(ただ)すことにしていますので、この時も中島検事に「立法的な機能」とは何か、その真意について質した […]

182 珍書 -4

***その4)  久しぶりに森脇将光の珍書「風と共に去り、風と共に来りぬ」を読んでみたくなり、県立図書館に行った。貸出禁止の郷土図書となっていたため、書庫から出してもらって閲読。  執筆当時(昭和29年~30年)の森脇将光は50歳代半(なか)ば。今の私より10歳も若い。彼が謀略であったと断じている、3年前(昭和27年)の逮捕劇が全ての出発点となって、事実は小説より奇なりを地でいくストーリーが展開。 […]