173 続・いじめの構図 -17
- 2007.06.05
- 引かれ者の小唄
****その17)
12月28日は朝から小雪のちらつく寒い日であった。午後1時、約束通りM審査委員長と事務局のF氏が私の事務所に現われた。前日の27日が仕事納めであったので、山根ビルの3階はガランとしており、私一人で応対した。
部屋に入った二人はバツの悪そうな複雑な顔をしている。今までは好き勝手なことをしてイジメ抜いていたところが、急転、いじめることができなくなったばかりではない。逆に釈明するために、バスで3時間以上もかけてわざわざ松江まで出向く羽目になったのである。しかも、暮も押し詰まった28日ときている。二人の顔付きも複雑になろうというものだ。
しばらく雑談を交わすものの、M氏は何やらモゴモゴと喋るばかりで、一向に要領を得ない。察するに、3ヶ月が経過する年明けの1月11日までには登録は完了しないが、1月の20日過ぎには完了する見込みである、ついては、1月11日が過ぎても、審査請求書を出さないでくれないか、ということが言いたかったようである。
そうであれば私としては大歓迎だ。なにも好きこのんでことを構えたくはない。審査請求書を出した場合、登録までに最低でも更に2ヶ月か3ヶ月を要するであろう。それを半月ほど待ってくれというのであるから、M氏の提案を喜んで受け入れたのである。
ただ、M氏の物言いは慎重になされており、1月20日過ぎに登録を完了するとは言っていない。あくまで完了する見込みという言い方に終止している。
この時点で私は、諸般の事情を総合的に勘案し、M氏の言っている完了見込みは、99%の確率で実現するものと判断した。しかし、99%はあくまで99%であり、100%ではない。実現しない可能性が1%でも残っている限り、手を抜くことはできない。
そこで、事前に事務局のF氏が触れていた、東京税理士会の調査報告書について尋ねてみることにした。私を再度尋問する理由として、第一回目の尋問の後に東京税理士会の報告書が届き、どうしても追加尋問をする必要性が生じたことを挙げていたからだ。
私はM委員長に対して、その内容について問い質したところ、言を左右にしてなかなか話そうとしない。こうなったらなんとしても聞き出さなければならない。私も会計士のはしくれである。放っておくわけにはいかない。報告書の内容は、これまでの経緯から概ね推察することはできたのであるが、ここは直接M委員長の口から話してもらわなければならない。
しぶしぶながらM氏が口を割ったのは、概略次の通り。
ここに出てくる税理士法第52条は、
とする、いわゆるニセ税理士排除の規定である。これに違反した場合には、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられるおそれがあるものだ。
要するに、東京税理士会は「税理士法第52条違反の非違行為は濃厚」(報告書原文)と認定し、私を犯罪容疑者呼ばわりしているのである。
このような筋書きは想定していたことではあるが、何故そのように認定したのか、その根拠について更にM委員長に問い質した。
分厚い報告書をめくりながらM氏が明らかにした内容は、にわかには信じ難いものであった。「初めに結論ありき」の見本のようなもので、国税局のマルサと検察とが一体になってデッチ上げた、数多くの調書と軌を一(いつ)にするものであった。つじつま合わせである。
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