冤罪の構図 -1
- 2007.05.29
- 山根治blog
ブログのコメント欄に、冤罪と闘っている方からの意見が寄せられました(コメントNO.1326、山下進弁護士を救う会、代表廣瀬直樹氏)。
冤罪(えんざい)。『無実の罪、ぬれぎぬ(広辞苑)』のことです。かつて冤罪といえば一般の人達とは無縁の世界のことと思われてきましたし、通常はあまり使われることのない言葉でした。ところが昨今、数々の冤罪事件が白日のもとに晒(さら)されるに至り、決して他人事ではなく、誰にでも起りうることが認識されつつあります。
ごく最近も、強姦の罪で三年の懲役刑が確定し実際に服役した人が、服役を終えて出所した後に無実であったことが判明しました。真犯人が別に名乗り出たのです。あるいは、電車内での痴漢行為によって逮捕・起訴された人が無罪をかちとるまでの軌跡が映画化されたりもしています。
全ての冤罪事件に共通しているのは、捜査当局による事件の捏造、つまりデッチ上げです。うっかり逮捕あるいは起訴したといった生やさしいものではありません。事実ではない架空のストーリーを勝手に創り上げて、ネライをつけた人物を犯人に仕立て上げるのです。積極的に犯罪事実を創り上げるのですから悪質です。
実は私も自らが冤罪事件の当事者になるまでは、民主国家である現在の日本において、まさかこのようなことがなされているとは夢にも思っていませんでした。検察は正義の味方であると単純に思い込んでいましたし、社会正義の最後の砦(とりで)であることを信じて疑わなかったのです。
しかし、それは幻想でしかありませんでした。正義の味方どころか、暴力団も顔負けの犯罪集団として私に襲いかかってきたのです。この間のいきさつについては、『冤罪を創る人々』に記録として書き留めましたので、ご高覧賜れば幸いです。感情をできるだけ押さえ、職業会計人として、第三者的視点から冷徹に書き上げたものです。
投稿いただいたコメントに記されているアドレスを、早速クリックしてみました。
冤罪事件とされている事案についてまとめてみますと、次のようになるようです。このように曖昧な書き方をせざるを得ないのは、一体何が問題とされ、どのようなことが捏造されたのか一読しただけでは極めて分かりづらいからです。取り敢えず、私が理解した範囲で、一部推測も含めてまとめてみました。その結果、この事案は間違いなく冤罪であると確信しました。私がこのように確信するに至った根拠については後ほど明らかにいたします。尚、これは、山下進弁護士が平成19年3月6日、東京地裁刑事部に提出した「意見書」をもとにしましたが、適宜、「廣瀬直樹氏の記事」をも参照しました。(※以下に示す2つのホームページ)
冤罪事件をなくそう
http://shinnjitu.blog80.fc2.com/
山下進弁護士を救え!
http://mujitu.blog81.fc2.com/
***[事案の概略]
+冤罪事件の被害者は山下進氏。弁護士、60歳。弁護士経歴30年。
+捏造事件の概要。山下氏は、着手金300万円で私的整理を受任。任意整理がうまくいかずに破産手続きに移行。偽りの根抵当権が設定されていた資産を、当事者達が勝手に売却して売却資金を着服。山下氏は一連の隠蔽工作を指示し、主導的役割を果したとして逮捕・起訴。物的証拠はなく、当事者の証言のみ。
+容疑は破産法違反(おそらくは、詐欺破産罪-破産法265条、隠滅等の罪-同法270条)
+当事者達が不正に得たお金 (*注)
++当事者(3人) 約1億1千万円
++仲介者(2人) 1,400万円
+山下氏が逮捕され、小菅(こすげ)拘置所に勾留(山下氏は“監禁”と表現)されていたのは、平成17年10月26日から、同18年7月18日までの265日間。
+第一審判決は、平成19年4月17日東京地裁で言い渡され、懲役2年の実刑。山下氏は直ちに控訴、現在、東京高裁において審理中。
+山下氏の法律事務所は、逮捕後ほどなく崩壊。その後、場所を移して再開。山下氏は長期の勾留によって拘禁症に。
+山下氏を支援し、冤罪を雪(そそ)ぐための活動をしている中心人物は、廣瀬直樹氏。山下法律事務所の元事務局員。当初の弁護団は山下氏と弁護方針をめぐって対立し、一審の終り頃辞任、総入れ替え。
(*注) 1. の約1億1千万円については、そのうち5千万円が裁判所の和解勧告によって破産財団に返還されている。残りの5,800万円は、隠匿先・費消先が公判において明らかにされていない。山下氏が得たのは300万円の弁護士報酬と50万円の実費のみ。
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ここで一句。
(このごろはやりの鈍感力。感性豊かな作家が言うから意味をもつもの。もともと感性の大半が欠落している政治家が喋ってもシャレにもならない。)
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